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二 焦り

 翌週の週末のコーヒー店で、三村英一は一週間前に大森パトロール社の警護員に会っていた同じ席で、別の警護員と向き合っていた。

 高原晶生が、いつもと変わらぬ知性と愛嬌の同居した好感度の高い笑顔で、メガネの奥から英一を見ている。

「時間が許せば会いたい・・・と三村さんからお申し出を頂いたときは、もしかして河合警護員が警護に疲れて昼間の会社で仕事になっていないのかと思いましたが、そういうわけではないんですね」

 英一も少し笑った。

「大丈夫です。あいつはもともと仕事はダメですからね。」

「はははは。そういうときは同期入社の三村さんがしっかりフォローしてくれているでしょうしね。」

「まあ、それはともかく・・・・・。単刀直入に言いますと、一週間前に、葛城さんにお会いしたんです。」

「はい」

「心配されていましたよ。」

「・・・前の警護案件のことですか」

「それもありますし」

「前回に限らず、私が、”死にたくて警護しているように見える”ことですね。」

「そうです」

「・・・崇にも・・・山添にもこの間言われました。なんとなく、自分でも理解してきているつもりではあります。」

「きっちり自覚されているということでは」

 高原はコーヒーカップを持ち上げ、飲もうとして少しためらい、やがて静かにカップをソーサーに戻した。

 店は今日はあまり混んでおらず、磁器が触れ合う音も静かに響く。

「そこはなんともいえないです。でも一番言えることは、私自身、本当の本心では、そのことを問題視できてないのだと思います。甘えているということなんだと思います。」

「・・・・・・・」

「むしろ、自分の中に、ならばなおのこと、早くお前など死んでしまうのが一番なのだ、という強い声さえ感じる。でもね、それは、自殺願望とかそういうものとは、まったく違うものです。私は許される限りひとつでも多くの仕事を全力でやりたい。このことは真実です。」

「・・・・・・・・」

 高原はふと表情を変えて、目の前の黒髪の美青年の漆黒の両目を見た。その視線はすぐに合わなくなった。

 英一は視線を落とし、うつむいていた。

「三村さん・・・?」

「・・・・・私は、今まで、自慢でもなんでもないんですがひとつのことを除いては、自分はかなり物事をうまくやってきたと思います。唯一の例外が、人間関係なんですが。」

「そうなんですね」

「それも、うわべのものじゃなく、真実の意味での。・・・そして今、そのことを、改めていやになるくらい思い知らされています・・・・」

「三村さん」

「あなたと、決して短い付き合いではないし、なにより、相当尊敬し近しい間柄と思えるのに、同時に、ものすごく遠い。」

「・・・・・・」

「すみません・・・・高原さん・・・・あなたの役に立ちたいと思ったはずですが、それが絶対にできないことを確認しているだけかもしれません・・私は・・・・」

 応答に窮した高原の前で、英一は顔を上げるまでにかなりの時間を要した。



 高原が大森パトロール社の事務所へ戻ると、既に山添が席にいてこちらへ向かって手を振った。

 ほかに警護員は皆出払っていていなかったが、二人は打ち合わせコーナーではなく、空いている応接室へ入って扉を閉めた。

「お前が折り入って頼みがある、って言うときは、なんか絶対やばい事なんだけど」

「ははは」

「でも断る余地なんかないんだよな。今回もそうなんだろうな。」

「さすが崇、俺をよく理解してる。」

「理解できる自分が恨めしい」

 高原はもう一度笑い、そして真顔になって同僚の顔を見て、しばらくしてから少し言いにくそうに言葉を出した。

「念のためなんだけど、ちょっと潜伏してほしいんだ」

「え?」

「三時間くらい」

「いつどこに」

「来週の日曜日。場所は今から説明するけど、通信機を常時オンにして、大体十キロメートルくらいの範囲で、場所を調整しないといけない。」

「難題だな。でもバイクなら機動性があるからね。」

「ああ。」

 高原は手元の携帯端末の画面を示した。地図が表示されていた。



 茂は終業ベルというものがなくなり、フレックスタイム制が本格導入された会社で、しかし未だに夕方五時を合図に席を立つ習慣が抜けずにいる。

 いつものように給湯室に洗って干してあった弁当箱を回収して、鞄にしまい席を立ち上がろうとして、ふと茂は斜め向かいの席の同僚のほうを見た。

 三村英一は自席で座り作業をしているように見えたが、その視線はあまり焦点があっていなかった。

「三村」

 呼びかけたが返事がないので、茂はもう一度、少し声を大きくして言った。

「おい、三村」

 茂は、ゆっくりとこちらを見た同僚の相変わらず端正な顔立ちを見ながら、怪訝な表情で尋ねた。

「・・・・・なんか悩みか?三村。俺に相談していいよ。お前今日一回もしゃべってない気がするけど」

「・・・・・それ、高原さんからの伝言か?」

「そんなわけないし。大丈夫か?三村・・・俺ならともかく、頭脳明晰なお前が頓珍漢なこと言ってるのは真剣にやばいぞ」

「・・・・・・それもそうだな」

「簡単に肯定されてもアレだけどさ」

 英一は端末のスイッチを切り、もう一度同僚の琥珀色の両目を見た。

「今の警護案件、順調か?」

「・・・・ああ、高原さんがメイン警護員だからね・・・相変わらず芸術的だし、完璧だし。俺の・・・サブ警護員のやることなんかほとんどない。でもその分、高原さんの警護法をよく見られて、すごく勉強になるよ。・・・・というようなことじゃないか。お前の関心事は。」

「そうだな」

「まだ襲撃がないから、なんともいえないよ。・・・・高原さんが、一見警護に不可欠なようで、実は無用な危険を、冒されるような・・・そんな機会はないから。」

「そうか。」

「クライアントは、襲撃犯に心当たりがないんだよな」

「うん。誰か分からないんだけど誰かにつけられている気がして警護を依頼したっておっしゃってたからね。高原さんは違う意見だけど。」

「なるほど」

「いずれにしても・・・少なくともあの探偵社がからんでくる要素もないし、特に平日の送り届けは平穏そのものだよ。もう三週目に入ったからあと少しで契約も終わる。ちょっと退屈なくらい。」

「・・・・・」

「でも今週末は、土曜日は一日家におられるから警護はないんだけど、日曜日に少し初めて遠出されるから、リスクが高いといえるかも。」

「遠出?」

「隣の○○県にある、昔住んでおられた町に何年振りかに行って、なつかしい町を見ながら買い物とかされたいんだって。」

「へえー」

「そういう気持ちって、でも俺も少しわかるよ。三村、お前はずっとこの街で生まれ育ったから分からないかもしれないけど、俺は子供のころから二回引っ越ししてるから、小さいころ住んでた町に久々に行って、ただぼんやりと散歩したことがある。」

「そういうものか」

「そうだよ。・・・で、コースも指定されてて、山越えなんだ。回り込んでトンネルをぬける方法もあるんだけど、昔登った山だから登って降りて、ってなさりたいんだって。」

「警護員も大変だな。」

「お前、高原さんのこと心配なら、直接話してみればいいのに」

「それはもう一週間前にやった。」

「ふうん」

「でも、何の役にも立てなかったよ」

 そのまま沈黙した英一の顔を、茂はしばらく見ていた。

 そして少し柔和な表情になり、ゆっくりと立ち上がった。

「俺がちゃんと高原さんを見てるから、そんなに落ち込むなよ」

「・・・・・」

「それより一回目の告白で撃退されたあの素敵な女性に、二度目で成功する方法でも考えて。」

「うるさいなー」

「お前が幸せになったら、高原さんきっとすごく喜ぶよ。」

「・・・・・・」

「高原さんのためにできることって、そういうこともあるんじゃないかね」

「お前がそういうことを言うと、なんか素直に頷けないな」

「うるさいなあ」

 二人は少しだけ笑い、そして茂は同僚と周囲に挨拶して夜の副業へ向かうべく会社を後にした。



 日曜は快晴だったが、風がやや強かった。

 クライアントは県境の山を越えた向こうにある、静かで小さな町の住宅街を車を走らせ、運転席の高原に頼み、何カ所かで車を降りて少し歩いて、風景や住宅街の中のカフェでのコーヒーを楽しんだ。

「十年前と、全然変わってないけれど、なくなったお店もありますね」

「そうなんですか」

「でもあのカフェはまだありました。よかった。オーナーは代替わりされてたけど。・・・サブ警護員さんも一緒にお茶を飲まれたらと思ったんですが・・・なんだか申し訳ないですね。」

「いえ、距離をあけて警護するのがサブ警護員ですから、同じ店に入ることはなるべく避けるのがセオリーです。どうぞお気遣いなく。」

「今日もオートバイで追走されてるんですよね?でもほとんど姿が見えないけれど・・・」

「そのくらいがちょうどいいんです。接近する襲撃者をいち早く発見できるよう・・・・地図で予習はしていても、土地勘のない初めての場所では、警戒の範囲を少し広めにとります。常に通信はつながってますから大丈夫ですよ。」

「はい。」

 夕方といえる時間帯となり、満田は長いフェンスと工事中の壁に囲まれた広い空間の前で車を降りた。

 広い場所は、小学校だった。

「全面改修工事中みたい。」

 フェンスから背伸びをして校庭や建設中の校舎を覗き込む。

「そうですね」

「取り壊しや廃校じゃなくてよかった。」

「母校なんですか?」

 満田は小さく息をはきだして、微笑し、そして言った。

「亡くなった息子が通っていたんです」

「息子さんが?」

 バイクの上で、通信機器が拾う満田と高原の会話を聞き、茂ははっとした。

 かつてクライアントが結婚していたことは知っていたが、子供がいたことを一切知らなかった。警護員は、クライアントとの会話で自然に聞き出せる範囲を超えて、その経歴について調べることはしない。したがってこうしたことを知らなくても特に不思議でも不都合でもないのだが、しかし茂はそれがなぜか重大な過ちのような気がした。

 満田はしばらく黙って、深く掘り下げられた校庭を見ていた。夕陽の中、風が埃を舞い上げて吹き抜けた。

「あと一週間残ってますけど・・・・。もう、警護は、終わりにしてください。」

「え?」

「昨日の土曜日、一日考えたんですが、いつまでもよくわからない不安におびえていても仕方がないかなって。」

「・・・・・」

「それによく考えたら、私、命が惜しい理由もあんまりなかった。」

「満田さん」

「ずっと、ここに来るのが怖かったんです。」

「息子さんは・・・・」

「小学校のとき、亡くなりました。ここにあった、倉庫の中で、自殺したんです。」

「・・・・・・・・」

「母親としての私の責任です。引っ越ししたけれど、いつかここに来ようと思っていました。今日やっと実現できました。」

「はい」

「最後にあの子と話した朝、その翌日の冬山登山訓練の道具が揃わなくて慌てていて。息子と口げんかして、そのまま息子は学校へ行きました。それが最後だった。」

「・・・・・」

「今日越えてきたあの小さな山」

 満田が、高原の頭の後ろを指差した。近くに、低い山が見えている。

「今日、あの山道を越えてここまで来て、また戻ることにしたのは、十年ぶりにあの子の代わりに、私があの山を登るためです。」

「・・・・・そうなんですね。」

「車道が整備されてしまったから、登るなんて風情はないですけどね。来るとき、明るかったけど、帰りは夕陽がきれいでしょう。あの子が、下山のとき、見るはずだった美しい風景が、少しでも見えたらいいなと思ったんです。でも、帰りは自分で、ひとりで運転して帰りたい。我儘なお願いですみません。タクシー呼びますから、高原さんはこれで帰ってください。」

「・・・・・警護契約は、最低保証日数を過ぎていますので、お客様の任意のときに解除できます。今すぐ、ということも大丈夫です。」

「はい」

「しかしどのみち帰り道です。警護ではなく、ご自宅まで単にお送りさせてはもらえませんか?ご自分で運転されるのもよいとは思いますが、助手席にいらっしゃるほうが景色もよくご覧になれるかもしれません。」

「・・・でも・・・・・」

「ルートは満田様のお好きな道を通ります。」

「・・・・・・では、今日来たのと同じ、山道でいいですか?」

「了解しました」

 住宅街を通り過ぎ、小さなトンネルを抜けて隣町に入り、そして三十分ほど走ると山道が始まった。

 来たときとは違いかなり日が傾き、木々は黒々として見える。

 茂のイヤホンに、高原の声が入る。

「とても残酷なことをお尋ねしますので・・・お答えにならなくても結構ですが」

「はい」

「なぜ、息子さんは自殺なさったのですか・・・・」

 満田は予期した質問だというように、軽く息を吐き出した。

「息子の友達が、こっそり教えてくれました。いじめられていたって。とても、ひどく。」

「・・・・そうですか・・・・」

「家の、息子の机の引き出しから、遺書が出てきました。そこにも、同じことが書いてあった。」

「・・・・・・学校側は・・・?」

「調査はしてくれましたが、通り一遍。なにひとつ、解明されなかった。」

「・・・・・」

「その後、今は当時に比べれば学校側の対応も良くなってきているようです。お役所の指導も充実してきて。私、息子が死んだ後、いじめをなくすNPOでボランティアを始めて、しばらくやってたんです。」

「そうなんですね」

「そういう私の微々たる貢献を、息子は喜んでくれていると信じたいです。」

「きっと、そうだと思いますよ」

 少し黙った後、満田は少し声のトーンを変えて、尋ねた。

「高原さん、警護員さんは、犯罪から顧客の命を守る。・・・そうですよね」

「はい」

「それも、最後はご自分の命もかけて」

「そういうこともありますね」

「でもね、殺す側の立場とかって、お考えになったことはある?」

「・・・・愛する人を殺された人間が、復讐のために殺す、というような?」

「ええ。もしもあなたたちが守る客が、小さな小学生を殺したことがあるような、悪魔だったら?それでも、守ります?」

「守りますよ。誰かに違法に殺されようとしているのであれば。」

「・・・・お客が世にも酷い人間で、そして襲ってくる人間のほうに同情できる要素が多くても?」

「ええ。しかしそれは、我々警護員に感情がないからではありません。」

「・・・・・・・」

「その気持ちに同情できるような人であるならなおのこと、犯罪を犯してほしくはない。そう思っています。」

「裁判じゃ罰を受けない人もいる。つまり泣き寝入りすることになっても?」

「・・・・・・そうです。犯罪者を憎む人間が、自分が犯罪を犯したら、相手と同じレベルに堕ちることになります。」

「・・・・・・正論だけど、なんとなくやっぱり・・・」

「・・・・・・」

「自分の身内を殺されたことなど一度もない人の、言葉に過ぎないって思ってしまいます。」

「・・・・・・」

「ごめんなさい、気を悪くされないでね。」

「大丈夫ですよ」

「・・・・・・・貴方にどんな経験があるかなんてこと、私に分かることじゃないのにね。ごめんなさい。」

 茂は次の高原の言葉を聞いて、ほんの僅かだったがわが耳を疑った。

「いいえ、満田さん。それどころか私は、警護員の・・・いえ、自分のしていることが・・・必要なのかどうか、・・・・私は一度も確信などしたことがないような気がします。」

「そうなんですか・・?」

「人を守るために仕事をしている、そのつもりではあります。しかしほんの少しでも突き詰めて考えると、人ではなくて、自分を守るためじゃないかと思える。・・・いつも何かの罪滅ぼしをしたくて、誰かに許してほしくて、警護をしているような気がするんです。」

「・・・・・?」

「何をしていても、誰かを困らせたり苦しめたりしていると感じるし、それを絶対にしないですむ方法がわからないですから。」

「そんな、貴方のような立派な人がそんなことをおっしゃるなんて。優しいし、賢いし、献身的に仕事されているし・・・・もっと世の中酷い人間はたくさんいますよ。それに比べて貴方は・・・・・」

 高原は少し哀しそうに小さく笑った。

「私より劣っている人間がいるとして、そのことが、私が存在してよい理由・・・・・となるということですよね」

「・・・・・・」

「同様のことを私も人に言いますから、それこそ人のことは言えないですが、人と比べてなにかを考えるのは結局は拠り所のないことではないでしょうか。」

「まあ、そうかもしれないですね」

「やっぱり、自分で決めるしかない、そしてその自分がいくら考えても同じ結論になるなら、それが自分にとっての真実でしょう。ここにいるべき人間なのかどうか。なにをすべき人間なのか。」

「・・・・・・・」

「私が法律というものに頼る仕事をしているのは、仕事をする上でほかに拠り所がみつけられないからなんだと思います。」

「・・・高原さん・・・・」

 次の言葉を、高原はかなり躊躇した後、低い声で言った。

「犯罪からどんなことをしても人を守る、そのこだわりがどこから来ているかを考えると・・・・それは、自分が何に依って立つか分からないことから、逃れたい一心なのではないのかと思います。法律という唯一の線引きを、死守することだけは、「これでいい」「これじゃだめ」について、少なくとも考える必要のない基準をくれることですから。」

 満田は沈黙した。

 茂も同じ車内にいるような気持ちで、唇を噛んでいたが、しばらくしていきなり現実に引き戻された。

「た、高原さん」

 通信機から先輩の応答が入る。

「どうした?河合」

「すみません、ガス欠・・・・そんなはずないんですが・・・・」

「リザーブタンクで町まで戻れ」

「は、はい」

「給油したら追いかけてくればいいから」

「はい・・すみません・・・・」



 吉田恭子はカンファレンス・ルームの舟形机に向かって静かに座っていたが、目の前のふたりのメンバーが何か言いたげな様子になって久しいので、ようやく声をかけた。

「和泉、板見、あなたたちの気持ちは少しわかる。」

「吉田さん」

「ふたつあるわね。ひとつは、酒井と深山が心配。そうよね。」

「はい」

「・・・他のチームから二人のシニア・エージェントの応援を得ているけれど、酒井はひとつだけ絶対にきいてほしいという希望を、曲げなかったし」

「はい」

「深山は自分が直接手を下すわけじゃないとはいえ、きっと感情的になってるし」

「でも、それよりさらにあなたたちが、今思っていることがあるんでしょうね。」

「・・・・すみません」

 吉田は鼈甲色の縁のメガネの奥の、穏やかな両目を少し細めた。

「私たちが受けるべきお客様って、誰なんだろう。そう、思っている。そうよね。」

「はい・・・・・」



 町のガソリンスタンドを探しながら、茂はイヤホンから入ってきた音声に、我が耳を疑った。

 静かな、しかし明瞭な、クライアントの言葉だった。

「高原さん。・・・・私、人を殺しました。」

 高原の、クライアントへの返答はしばらくなかった。

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