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#333333  作者: チバスコウ
1.氷の少女
8/8

八咫烏

時間と共に祭りの色が強くなり、沢山の喜の音が周りを染ていた。



「とりあえず、どうするつもり?振り出しに戻ったみたいだけど…」

ヨラは少々ご機嫌斜めなのだろう。それもそのはずだ…結局集客はなかったのだから。


「そうだね、まだ考えてないけどこの時期を逃すのは良くないし、これ以上時間をかけるのも良くないから」


「そうね、確かにお祭りの日を逃すのは良くないわよね。ってことはエレは直接向かうってことなのかしら?」


「そうだね、一度部屋に戻って準備しようか。暗くなったら直接バビロンタワーに行こう!ヨラもそれでいい?」


「わかったわ。それならそれで、準備もいるし一番やり慣れてるやり方だからお任せするわ」


ヨラと話しながら、駅の方へと向かう道は祭りを楽しむ人で賑やかだった。

その人々の笑顔は、まるでこの街以外に世界は実在しなく、この街以外で起きている戦争は空想の中の出来事なのではないかと思っている顔だった。


部屋に戻るとウェスタンハットを被り、黒いロングコートにブーツを履いて、立ち上がれば2m位になりそうな大きな男がニヤニヤしながら、ソファーに座っていた。


「お帰り!どうだ?この街はいい所だろ?」

大きな男は、ヨラとエラが帰ってきた事に気づくと笑いながら二人の顔を覗き込んだ。


「そうね、いい街だと思うけどね、外見は!そんな事よりテネシアンは来るのが遅いんじゃないかしら?」


「俺もね、これでも忙しいんだよ!いくら、頼まれたからって言っても色々とやる事があるからね。それに、エレの荷物を持ち込むのだって簡単じゃないんだぞ?中立、平和をスローガンにしてる国に武器を持ち込むんだからな」


と言うと、男は壁に掛け立てている細長い袋を指差している。


「確かに、お前たちを昔拾ったのは俺だけど保護者じゃねーし、ここまで協力をしてやる義理はないんだぞ?他のやつからしたらズルになっちゃうからな」


とケラケラと笑いながらタバコに火をつけ始めている。


「わかってるよ。テネシアンには感謝してるよ。わざわざ報告書もくれて八咫烏(やたがらす)まで持って来てもらったんだから。ありがとう!」


「エレ、素直だな。お前が素直って事は対して情報がなくて機嫌が悪いな」

ニタニタしながら、タバコを吸いながらその煙をヨラに吹きかけた。


「一応、これはサービスとして八咫烏(やたがらす)は磨いておいてやったぞ!お前、それ貴重なモノなんだからもっと大事に扱えよ。」


「そんな事より、テネシアン!あんたが直接、エレの荷物を持ってきたって事は何か、私たちに話があるんじゃないの?」


「そんなに、急かすなってヨラさんよ!」

ケラケラと笑いながら、手元にあるコーヒーを飲み始め話し始めた。


「お前達は、屋敷に行ったんじゃないのか?第三区ブラオの屋敷に。でも、そこにはなにもないぜ?なぜなら、あの屋敷は偽物だからな」


「偽物?それはどうゆう事よ!」

ヨラは目を見開き、テネシアンの次の言葉をまっていた。


「全部は教えてあげられないな。だが、ヒントはバビロンタワーだ。ちなみに、同業者はこの街にはいなけど、これ以上手とり足取り教えたらちょっと他の人にも不公平だしな」

二本目のタバコに火をつけながら、薄気味悪い笑顔でこっちを見ている。


「もちろん、そのつもりで戻ってきたんだ。今夜にでもバビロンタワーに行くつもりだよ。」

壁に掛けてある、荷物を確認しながら言うとヨラが話を続けた。


「バビロンタワーに行く前に聞きたいんだけど、どうしてこの街にグリスがいるわけ?」


「そりゃ、氷の少女を守っているからに決まっているだろう!ヨラに聞いてないのか?氷の少女って言うキーワードの事を」


「聞いてるわよ。その氷の少女って一体なんなの?それを知りたいのよ」


ヨラがだんだんとイライラして来ているみたいだ。テネシアンはいつも、人を小馬鹿にした感じでしゃべるのが気に入らないと前にヨラが言っていたのを思いだした。


ヨラがイライラしてるのを楽しんでいるかの様に、テネシアンは話を続けた。

「いいか?正義って言うのは人それぞれだし、悪って言うのも人それぞれだ。正義と思えば正義だし、悪だと思えば悪になる。悪も、正義も人に押し付けてしまえば、押し付けられた奴を否定することになる。」


「どうゆう事?それが、氷の少女に関係があるの?」

僕がそう聞くと、無精ひげをさすりながらテネシアンはニヤニヤと話を続けた。


「エレ!お前はまだわからないかもしれないが、少しづつでいいんだ。そうゆう考えが出来る様になることがリハビリでもあるからな!」


「テネシアンの言ってることがわからないわよ!ね、エレもそう思うでしょ?」ヨラは遠まわしに言っているテネシアンにイライラも臨界点と言う感じで、さっきから爪を出したり入れたりしている。


「ヨラ!お前は短期でいけね~。もっと気楽に気楽にって感じが大切だぞ」


僕はテネシアンが持って来てくれた八咫烏(やたがらす)を確認しながら、ヨラがテネシアンに殴りかからない様になだめる事にした。


「とりあえず、ヨラ僕たちはご飯食べたらさっそく行動を移そうか?テネシアンもご飯は食べて行くの?」


「いや、俺はこれからちょっと用事があるからもう帰るぜ!あっ完了したらいつもの様に連絡をしてくれ。その確認が出来次第、任務完了で報酬発生だ」と言うとニヤニヤと笑みを浮かべながら、部屋を出て行った。

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