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#333333  作者: チバスコウ
1.氷の少女
6/8

Gloomy Sunday

その建物は辺り一面と一緒に時代とを逆戻りをしていた。

写真や案内図などで表示されるのと肉眼で見るのでは印象が全く違っていた。


建物に木を使わなくなり、最先端の科学などが溢れる、このロットシティに唯一不釣り合いな建物だろう。

資料で読んだ事がある様な、中世のお城を凝縮して小さくした様な二階建ての外観。

緑の三角の屋根と白いペンキで塗られた壁は太陽の光で優しく光って見えた。

きっと、色々な歴史を見てきた建物なのだろう。


隣には、木造の柱があり「1886/5/7」と建築された年月と思われるプレートが埋め込まれていた。


正面の門の入口には、警備人が長い某を持って一点を見つめ、蟻一匹通さない様な構えで立っている。


「やっぱり正面から入るのはちょっと無理みたいね」

ヨラがため息混じりに言いながら、地面の土を前足で押している


「だから、最初から侵入って言ったじゃないか。先ずは建物をぐるっとまわって様子を見てみようか」


敷地の周りはコンクリで出来た塀で囲まれていて、消して中を見せないと言わないばかりだった

年季が入ったコンクリの壁や、あとから付け加えられた様な壁のグラデーションが並んでいる


「さすが、ロットシティーの発祥の地だけあって、しっかりと中が守られてるみたいだね」


「そうね、一応ロットシティーのトップが住んでいた場所でもあるからじゃないかしら」


「明るいうちに壁をよじ登って入るのは逆に目立ちそうだけど…どうしたものか」


「こうゆう時はヨラさんが警備人の気を引いて、その間に僕が入るって言うのが鉄板だと思うんだけどな」


「イヤよ!なんで、私があんな暑苦しそうな男に色目を使わないといけないのよ。」


猫目で僕の方を睨みながら爪を出し入れし始めている。


「それじゃ、先ほどの王道通り壁をよじ登って潜入しますか」


そうこう言ってるいる間に、ヨラは隣の建物の上にひょいっと上り、僕が上がるのを待っていた。

少々、昼間に建物から建物に飛び移るのは目立つ。


「昼間だから、そこまで厳重じゃないけど赤外線とか出てないよね?ヨラ」


「大丈夫よ!外観のセキュリティは正面門の警備の人だけみたい。中から人の気配とかしないもの」


「それは助かるね。さっさと中に入って、例の絵画を調べちゃいますか」


ヨラが頷くと、隣の建物から屋敷の庭えと音もなく、飛び降りた。

それを、見て僕もヨラと同じ様に無音に飛び降りた。なんだか、かつてヨラと共に戦争中に敵の研究所を襲撃した時をふと思い出した。

その日も、昼間の任務でヨラと二人で研究所内にいるターゲットの抹殺、施設の破壊が目的だった。


「ちょっと!」

足をヨラが引っ掻いている


「何をぼーっとしてるの?あんまり時間もかけられないんだからしっかりしてよね」


「ごめん、ちょっと考え事してた」


「はいはい、じゃ気持ちを引き締めて入りましょう。私が、通気ダクトから中に入って鍵を開けるからエレはそっちの窓の所で待ってて」

と言うと、ヨラは通気ダクトに吸い込まれてあっというまに、窓の鍵を開けて僕を招き入れた。


「さすが猫は狭い所に入るのが早いね!」


「そんな当然な事言ってないで、さっさと調べるわよ。」


「多分、絵があるとしたら応接室みたない所じゃないかな?あんな写真を撮るくらいだし。」


「確かにそうね、でも部屋の数も結構あるみたいだから手分けして探す?」


「そうだね。それじゃ僕はこのまま二階から探すから、ヨラは一階をよろしくね。20分後ここでいいかな?」


「大声で、お互い呼び合うわけにはいかないからそうしましょう。」


年季が入った廊下の木の板は、重力の重さによって音色を奏でる。

乾いた音や湿った音で帰る主人が居なくなった、建物を音色で着飾る

でも、今はその音色を封印しておかないといけない。

全ての部屋は、誇りなどがつかない様に定期的に掃除をされている様だが、配置などは当時のまま残されてるいる様子だった。

そして、部屋には鍵はかかってなく、全ての部屋を見ることは思ったよりも簡単だった。


なん部屋かを確認していると、書斎を見つけた。

書斎には、見たことも無い様な字で書かれている本や、小さな本など無数に壁中に陳列されていた。


きっと、ノーリ知事の書斎だろうとすぐに、わかった。

そして、彼の机だったと思われる場所には2冊のノートが置かれていた。


「ここには、ちょっと手がかりはないかな?」

と1冊のノートをパラパラと捲ってみると、あるページだけが異様に気になった。

そこのページには、メモ書きみたいなモノが残されていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あなたが戻ってきたとき


私はもう逝ってしまっているだろう


椅子に座ったままで


目を見開いて


その瞳は


あなただけを見つめている


でも、どうか怖がらないで


私はあなたを愛しているのだから


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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