#7
人が存在する限り、暗い感情が消滅することはない。不安、畏れ、憂鬱。それらは人が一生付き合っていく不治の病だ。
明るい人と暗い人。善い人と悪い人。喜びと、悲しみ。怒り。
そのどれもが、突き詰めると無限に区分分けできる。明るさにも種類があって、レベルがあって、皆が皆正しいものではなかったりする。
かつて自分を長く支配していたのは「怒り」だ。悲しみによる怒りではない。怒りが巻き起こす、純粋な怒り。弱い者達を虐げる、大勢の人間に対する怒り。
プラスに働けば、闘争心に火がついて自身の成長にも繋がる。しかしコントロールが効かなくなると、周りを傷付けかねない。
「彼」もそうだった。品場は深いため息をつき、休憩がてら裏庭へ向かった。ここには、この施設を設立した時に植えてもらった一本の桜の木がある。その日陰に入って、アスファルトを焼く太陽を打ち見る。
相変わらず、空は青い。桜が散れば豪雨に酷暑が訪れ、休むことなく人をブルーにする。
環境破壊を散々してきたというのに、結局人が人を苦しめる。
世界が終わるのはいつだろう。できれば考えたくないけど、春が来る度に思い出してしまう。自分の世界は、あの日からずっと止まってしまっている。
一年、二年、三年。
始まりのときを待っている。




