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カテゴリー  作者: 七賀ごふん


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80/88

#5



色々なこと。口に出してから心の中で反復した。

これまでのことと、これからのこと。猛省すべきことと、治さなければいけないこと。

影山はやらなくてはいけないことが山ほどある。

「でもいつか必ず、貴方に会いに来ると思います。もし良ければ……その時に会っていただけませんか。どんな言葉や感情をぶつけても大丈夫ですから」

少しだけ微笑むと、行木も目を細めた。口元は笑っていないが、先程より心がほぐれているように感じる。

「所長は今、俺より重いんですね」

とても小さな声で囁き、キャンバスをそっと抱く。彼は俯きながら、展望台の輪郭をなぞった。


「別れる時にも言いました。短い間だったけど、所長にお世話になったことを今でも感謝してます」


もっと厳しい言葉を聞くことになると思っていた。先の見えない不安と闘っているはずなのに、彼から返ってきた言葉は、品場が想像していたよりずっと優しいものだった。

「恨んだりしませんよ。俺もこれから、色んな世界を見に行きます。ひとつのことに囚われないように、自分が本当にしたいことを探します」

頼りない手に反して、力強い眼差し。強い人だと思った。一時は精神も体力も、落ちるところまで落ちたのだろうが……あとは這い上がるだけだと言うように、その瞳には強い光が灯っている。


闇の中で長く過ごして、目が慣れてきたのかもしれない。

人は強いんだ。どんな環境に投げ込まれたとしても、懸命に適応しようとする。そして知らず知らずのうちに誰かを救う。

本当に、素敵だ。早く彼に見せてやりたい。人は本当に素晴らしい生き物なのだと。知ってるかもしれないけど、もう一度一緒に感動したい。


窓際に舞う塵が光って、昼の暖かさを教えてくれる。

彼らが再び逢える日を思い浮かべて、そっと瞼を伏せた。




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