#11
人間を中心に回っているから、地球全体が病気に罹ったような気持ちになるのだ。鳥や魚にとってはまるで関係ない。人がひとり残らず滅びようと、本当の意味で困る生き物はいない。
人を主食に生きる動物はこの世に存在しない。人が全ての頂点に立っている。ならば、人を滅ぼすことができるのはやはり人だけだ。
自滅の一途をたどる。便利になった世界で日々壊れていく人々。この連鎖が止まる時は……自分達が生きてる間にはやってこないだろう。
かと言って、死ぬにはまだ長い人生。彼と一緒に歩んでいきたい。
「Set a proper goal with deadline.and just do it.(適切なゴールを設定せよ。そして実行せよ)」
日が昇る。カーテンの隙間から、昨日と同じ光が射し込む。影山はビルの向こうに聳え立つ山々を眺め、どこか楽しそうに口を動かした。
「Time is running out.What should I do?(もう時間がありません。どうしたら良いですか?)」
「俺に訊いてるのか?」
「はは。品場さん以外誰が居るんですか」
彼はカーテンを全開にし、はだけたシャツのボタンを留め直した。
品場は冷蔵庫に入っていたビールに手を伸ばそうとして、やめた。代わりにポットに向かい、インスタントのコーヒーを二人分用意する。
朝が来てしまった。いつもと同じ朝日。でも、いつもの朝ではない。それが分かっているから、この一瞬すら尊く感じてしまった。
しかしまだ頭が働いてないのに、難しい質問を英語で訊いてくるのはずるい。
これからの展望なんて自分もまだ見えていない。方法も分からない。ただひとつ決定しているのは、……生きること。
生を放棄しない。前を向く。
無様に転んでもいい。その度に自分が抱え起こすから。
「じゃあせっかくだし、俺が好きな言葉を使わせてもらうかな。Don't be afraid of making mistakes.The greatest risk is standing still.(失敗を恐れるな。何もしないことが最大のリスクだ )」




