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カテゴリー  作者: 七賀ごふん


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67/88

#5



「恋人みたいですね」


手を揺らし、影山が肩を揺らしながら笑った。

「なら良いけどな。これは単純に、迷子防止だから」

「俺は勝手にどこかに行ったりしませんよ」

「嘘つけ。いなくなってばっかりだろ」

公園に戻り、正面の並木道で足を止めた。


「やっと見つけたと思ったらどこかに消えて。これからまた、俺の前からいなくなる」


握る手に力を込めた。強過ぎて自分でも痛い。影山はもっと痛いだろう。男とは思えないほど細くて小さい腕をしているから。

この手を離したら、彼は何の迷いもなくどこかへ消えてしまう。

自分が過干渉なことは分かっている。いっそ彼と縁を切った方がお互いの為かもしれない。だけど、自ら暗い世界に行かないか……それだけが心配だった。

暗い時はどこまでも落ちていける。それが人だ。


「……相談者と関わることが、俺の全てだったんです」


方向を変え、今度は影山に引っ張られた。人気のない城のお堀の前に連れていかれる。そこでも充分、ライトアップされた桜を眺めることができた。影山は幾分リラックスした様子で、近くの石灯籠に寄りかかる。


「所詮仕事の関係だってことは分かってます。でも人に頼られたことが生まれて初めてだったから嬉しかった。……いや、縋られたのが嬉しかったのかな。それこそ聖人にでもなったような気分で、うんうん頷いて聞いてました。案件が上手く片付いたら人命救助をしたようで、どんどん驕傲になった。仕事のやり甲斐、っていうのは悦に入ることなのか。分からなくなって、自暴自棄になって。そのツケが回ってきたんです」


品場も歩いて、影山の真隣に移動した。互いに仰いで夜桜を見物する。

「人の希望をコントロールする、汚い人生だった。後半はもうひたすらゲロまみれ」

「そこまで卑下すんなって」

「俺を介抱した品場さんが一番よく知ってるでしょう」

影山はそれから「ありがとうございます」とお礼を言った。

「俺みたいな奴が真の社会不適合者だ。ニートなんて本当生温いですよ。誰かを傷つけた瞬間から、二度と戻れない一線を越えるんです。警察に捕まらなくても、完璧に証拠を隠滅しても、自分の心に消えない汚れがべったりつく」

彼は自分の胸元を強く掴んだ。シャツがぐしゃぐしゃになるのも構わず、手を離そうとしない。

罪悪感で人は死ねる。人を殺した者が罪の意識に耐えられず自害するように、簡単に踏み外すことができる。

だからずっと影山と一緒にいた。けど、彼は耐えられなくなると自分を殺してくれと頼んだ。




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