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カテゴリー  作者: 七賀ごふん


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64/88

#2



「桜って本当に季節を感じさせますよね。梅も大好きなんですけど、なにか始まるような、わくわくする感じになるのはやっぱり桜かな」

すぐ側にある名城を見上げ、影山は小首を傾げた。

「展望台や塔はあるけど、そういえば城はちゃんと描いたことないな……」

「描けばいいじゃんか。ちゃんと写真撮っておけよ」

品場は自分のスマホを影山に渡した。後のことは何も触れず、写真を撮るよう促す。

影山もただ頷き、お借りしますと言って城に焦点を合わせた。

「撮れた?」

「まぁ……」

「あぁ、良いじゃん」

二人で画面を覗き込んでいると、通りがかった女性に声を掛けられた。


「良ければお写真撮りましょうか?」


仲の良い友人同士に見られたのか、女性は笑顔で佇んでいる。隣にはもうひとり友人らしき女性もいた。

「あー……すいません、じゃあお願いします」

「えっ」

カメラを起動したスマホを女性に渡すと、影山が困惑しながら小声で訴えてきた。

「俺達の写真は別に撮らなくてもいいでしょう。品場さんオンリーで撮ってもらってください」

「何でだよ。諦めて付き合え」

「はい、撮りますよー」

女性の明るい声が飛び込んできた為、無理やり前を向かせる。そして極力微笑んだ。影山はどうせ無表情だろうと思ったが、写真を確認すると自然な笑みを浮かべていた。

「すみません。どうもありがとうございます」

「いえいえ」

女性達の後ろ姿を見届け、スマホを仕舞う。

「お前普通に笑ってんじゃないか」

「営業スマイルです。俺達の職業病でしょ」

「そりゃそうだけどさ……」

ため息まじりにつっこみ、辺りを見回した。露店は順に焼きそば、綿飴、たこ焼きにホットドッグ……様々な香りが混じって、園内を歩く人々の食欲を誘っていた。

「品場さん、そろそろお腹空いてきたんでしょう。何食べます?」

今度は影山の方から提案してきた。内心驚きつつ、そうだな、と動揺してないふりをする。

「あぁ、じゃがバタとか良いんじゃないか?」

「え」

「何だ、嫌いなのか?」

「いや……嫌ではないんですけど。前に嫌というほど食べたので」

「つまり嫌なんだな? じゃあアレは? 鮎の塩焼き」

定番のメニューに目移りしていたが、香ばしいにおいにつられてしまった。割り箸に刺さった鮎が所狭しと並んでいる。




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