深夜にホットケーキを焼くしか楽しみがなかった私が異世界転生したらなぜか第五王子になっていたので姫と結託して元の世界に戻ります。
あくる日、隣国のクイーンダム国の姫、クイーナ・クイーン・リヴェラ様が我が国デッカリア国に赴いた。
「殿下、お初にお目にかかります、クイーナ・クイーン・リヴェラと申します。」
兄王子たちと私は揃って挨拶をした。
綺麗なドレスで着飾り、ブロンドの髪を靡かせていたが、その美しい見た目には似つかわしくない憔悴しきった顔つきだった。
心配になって顔をまじまじと見ていたら、姫がこちらに近づいてきて、そっと耳打ちされた。
「あら、ジョーク様、私の顔に何か?」
「いえ、お疲れのご様子だったので、長旅の疲れを癒やしてくださいとそう申したかったのです。失礼をお許しください。」
「ふふっ噂通りのお優しい方ですこと。お庭を見てみたいわ。案内してくださる?」
「ええ、もちろん」
この頃になれば、だいぶ王子としての振る舞いも板についてきていて、ボロが出る心配もなくなっていた。
だから姫と二人きりになるのも不思議と怖くはなかった。
「どうです?このローズの色!まるで貴女のように美しい!」
歯の浮くセリフもスラスラ言えるようになっていた。
「ところで、殿下、あなた転生者でしょう?」
「えっ、何でそれを?」
「私は日本という国にいて、会社員として働いていたわ、辛い毎日で家に帰ったら気を失ってね、気づいたらここにいたの。あなたもそうなんでしょう?」
「そう、です……私も激務に疲れ果てて、日課のホットケーキを食べようとしていたのに、意識をなくして気がついたら王子だなんて言われてもう何がなんだか」
「ねぇ、デスマーチって知ってる?」
「分かりますよ!死の行進ですよね、このまま突き進んでも待っているのは破滅の道しかないあれですよね、辛かったなぁ〜」
まさか、出身が現代の日本で同じような仕事をしていたなんて、運命を感じた。
過酷な労働環境の話でひとしきり盛り上がり、二人は結託して元の世界に戻るための手がかりをお互いが持っている情報を合わせて模索するのだった。
これは、第五王子が、のし上がり、王位継承権を得るまでのお話である。




