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【完結】婚約破棄された伯爵令嬢ですが、追放先の辺境で聖獣に愛され過ぎて困っています  作者: 扇風機と思ったらサーキュレーター


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勝利の夜

エルネスト将軍が討たれたという報が伝わると、ヴァルハルゼン軍は潰走を始めた。

元々輜重隊を襲うつもりだったのに逆襲されて混乱に陥っていた軍は、散り散りに逃げるばかりだ。


ゼノとガロが合流する

「ヴォルドの策もなかなかのものだな」

「大事なのはこれからでさあ」


それから2人は、軍勢を率いてロートバルク城へと向かった。


***


エルネスト将軍の副将は、将軍敗死の報を聞いて愕然とした。

このままここにいたのでは危ないのではないか、とも思った。

しかし、簡単に撤退をしたのではグラウベルト王にどんな処分を食らうかもわからない。


そう思いながら散り散りになって逃げてくる兵を回収する。

ほぼ軍としての体をなしていないが、逃げてくる兵は存外多い。


「思ったほど兵の損耗は多くないな」


ざっと見たところ、千人も減っていないようだ。


「これだけの兵力があれば、堅牢なロートバルク城を守ることが出来るだろう」


副将は、この城を守り抜いて武名を上げてやると息巻いた。

この働きが認められれば、エルネスト将軍ほどに出世できるかもしれない。

ずっと将軍の下で働いてきたのだから、自分にだって戦の指揮はできる。


その時だった。


「敵が来ました!」


城の外に、ゼノとガロが率いるラグリファル軍が現れた。


「ふふふ、この城は簡単には落ちんぞ」


副将がそう言った時だった。


「城内から火が上がりました!」


という報告があった。


「何をやっている、早く消火させよ!」

「城門が開きました!」

「……!」


この時、副将は自分の失敗を悟った。

散り散りに逃げてくる兵を城内へ入れたことだ。

そのために城門を開けていたが、その時にラグリファルの兵士も紛れ込んでいたのだろう。


報告を聞けば、かなり一方的な敗戦だったらしい。

なら逃げる味方の兵を追う敵は、もっと早く着くはずなのだ。

それに、一部の敵兵は最初から我が軍の兵士の死体からヴァルハルゼンの武装を手に入れ、偽装もしていたのだろう。


話に聞くほどの敗戦ならば、攻め込んだ3千のうち2千5百も戻ってこられるはずがない。

開いた城門からは、ラグリファルの軍勢がものすごい勢いで入ってくる。

もう落城したも同然だ。

今からでは逃げることもできない。


「降伏せよ」


副将は周りの者にそう言った。

降伏を告げる鐘の音が鳴る。

その音を聞いたヴァルハルゼンの兵士は、武器を捨てて投降した。


***


その夜、リディアがルナに乗ってロートバルク城に到着した。

ヴォルドが「マクレイン様、最近お疲れのご様子に拝見いたします。今回は少しお休みくださってはいかがでしょうか」と下手な敬語で労ってくれたのだ。


それに今回は作戦上、軍の動きを隠したかったという事情もある。

ルナがいると、少し目立ってしまうだろう。


そこでロートバルク城を攻めている間、リディアは休暇をもらった。

ルナと遊んだり、ミルファーレ村を訪れたり。

こうして、リディアは穏やかな日々を過ごした。


だが、リディアの胸の炎は消えていない。

特にミルファーレ村の人の顔を見ると、グラウベルトを倒さなければという思いが湧いてくる。

だからリディアは、英気を養ってロートバルク城に着いたのだ。


しかし、ガロはリディアが心配だった。


「お嬢ちゃん、無理についてくるこたあねえ。戦は俺たちに任せときゃあいいんだ」


そう言葉をかけた。だが、リディアは頷かない。


「私も戦いたいのです。グラウベルトを倒すために。それとも、私がいては邪魔ですか?」


「マクレイン様が邪魔なんてことはありませんですよ」


ヴォルドが口を挟む。


「私も心配ではあるが、居てくれると助かるのも確かだ」


そういうゼノに、ガロが言った。


「それは戦のためか?それとも恋心か?」


その途端にヴォルドの顔色が変わる。


「ゼノ様、あまりマクレイン様に近寄らんでくださいませよ」


「いや、それは……」


とゼノが言葉を濁しながらリディアの方をちらりと見る。

目が合ったリディアも、少し頬を染める。


「それよりも捕虜の処遇を決定せねば!」


ゼノが話を誤魔化すように話題を変えた。


「捕虜……ですか?」


「ええ、今回の戦いで1800ほどの兵が投降してきたのです」


「降参させる戦い方……か」とリディアはつぶやいた。

場所や状況にもよるだろうが、そういう戦い方もいいかもしれない。


「生かしてあげて欲しいですわね」


リディアは少し視線を下げてそう言った。


「リディアならそう言うだろうと思っていた」

「マクレイン様はお優しいですなあ」


そしてガロも「1800人皆殺しってのも後味悪いしな」と頷く。


ゼノは捕虜の武装解除や収容場所、監視の指示をし、戻ってきて次に攻め込むべき場所を話し合った。

こうして、勝利の夜は更けていった。



お読みいただきありがとうございます!

名前を付けるか付けないか、完全に気分で決めてますね。

「副将」って……

あとラグリファル側の国境の城も結局頑なに名前を付けなかったなあ。なぜだろう。

ヴァルハルゼン側のロートバルク城、ちょっとかっこよくないですか?

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