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狐の嫁入り 三部〜波動ノ音〜  作者: 杉崎 朱


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二十六話:決意


 ドンッーー!!ドンッーー!!ドンッーー・・・!!





 ドォオオオンーーーーー!!



 

 最後の防火壁が破られた。



 


 イッセイの視線の正面には、壁を破壊して砂埃に塗れているデカブツが映し出された。もうあとはない。デカブツのもオーター音が最後聞こえてきた。


 ウゥィイイイイーーーーーーーー!!!!!!


 一瞬がコマ送りのような緊張感。デカブツが走り出したと同時に、神風が蹴落とした箱が自身の目の前で落ちて武器が散らばった。イッセイは両手に武器を構えてすかさず発砲を開始した。


 どれも、デカブツの本体・・・最上が格納されている場所には当たらないように配慮をする。本来この事態でそこまで気を回している余裕はない、つまり、ウィークポイントを狙うなどではなく、兎に角タイヤ付近に散弾銃を打ち込んだ。最初に掴んだのが散弾銃だった、不向きだが仕方がない。

 ガタガタ揺れる程度で意味がない。次から次へと手当たり次第掴んでは発砲をする。しかし、進行方向の軌道を数ミリずらす程度しかできていない。そして、銃弾の補充の時間はなく、打ち終わっては手放し次の武器を掴むを繰り返した。もう、弾が入っている武器の数も少ない。非常にマズイとイッセイは焦る。


「(何か手を・・・!次の手を・・・!)」


「イッセイ君!これで最後だ!!!」



 神風が箱と別で二輪車に装備されていた一番大き銃・・・ロケットランチャーを投げた。落下を合わせてとんでもなく重くなったランチャーを受け止め、何度も狙ってきたタイヤの接続部分をまた狙う。




 ドゴォオンッーーー!!!


 ギャイギャイギャイーーーーーー!!!



 狙い続けたタイヤが外れた。たった一つだが、バランスが崩れ、傾いた。

 しかし、ボディーを引きづり、削りながらも向かってくる。速度は落ちたとは言え、もう数秒もない、武器もない、キキも動かせない。

 近づいてきたデカブツの目がまた金色に光だした。

「(速度も落ちない、このまま轢かれるっ・・・!!)」







「イッセーーーーーイッ!!!!!」




「リリさんっ?!」



 正面のデカブツを見ていたイッセイの3時の方向からリリが工場に入ってきた。


「コレーーーーーッッ!!!!!」


 リリがココと走りながらイッセイに投げた。



 小型銃だ。




 素早く投げられないリリは、宙を円を描くように投げた。

 銃が降りてくるまであと2秒。デカブツも早い。ダメかもしれない、でも小さいこの銃に望みをかけるしかない。



 手を伸ばし掴み取った銃の引き金に指を掛けすぐさまデカブツに向けて引いた。その瞬間、銃口から物理法則を無視したかのような放射線状の夥しい量の光が放たれた。





 ギュイーーーーーン!!!!!





 目がチカチカする、とんでもない光にデカブツは包まれた。

 速度は落ち、その場で溶け出したり消滅し始める部分が出てきた。その勢いのまま、固いボディは剥がれ後ろに飛び散る。そして、銃の光が止むと共にデカブツの残りは散り散りになった、そして・・・



「パパァッ!!!!」



 デカブツ本体は銃の威力で後方へと飛び散ったが、中に居た最上は向かってきた威力を少し保ちながら前方に飛んできた。目の前にいたイッセイが瞬時に最上に気づき、立ち上がって受け止め・・・切れずに二人でキキを超えて吹っ飛んだ。





「おじいちゃん到着っ!!」

 神風が入ってきた所と同じ場所からキャットウォークへおじいちゃんが入って来た。


「おじいさんっ!!あの銃っ・・・!!」

「あの小娘っ!!絶対にっ!充電器の電圧変えて充電しとったなっ?!運よく使えたからよかったけど、暴発せんで良かったわぁ!!まぁそもそも人体には影響が全くないから良かったもののっ?!」


 神風は見ていて気づいた。あの銃は自身やおじいちゃんが作ったものではない。リリが異世界から内緒で持ってきた《磁場砲》だ。彼女が以前この世界にやってきて身元の証明を強要時、逆に彼女から使われて一つ網膜スキャンを壊されたあの磁場砲だ。人間には害がないと言っていたあの重い銃を、何かに使えるかとリリはずっと持っていたのだ。


「だからだったのか・・・!」


 デカブツが一度リリを狙ったのも、セカンドがリリを狙ったのも、キキと間違えたのではなく、デカブツやセカンドにとってあの銃が脅威だと知れた為に持ち主であるリリが狙われたのだ。大方セカンドに関しては、デカブツの代わりにあの磁場砲を破壊するために異世界から急遽送られてきたのだ。


 神風が納得した。そして、気を失ってはいるが、燃料にされなかった自分の上司の姿を確認してホッとした・・・のも束の間。



「・・・!?」

「なんか、娘マズくねぇかっ?!?!」









「最上さんっ!最上さんっ!!起きてください!!最上さん!!」

「パパ!!パパァ!!!」


「イッセイ君!!」


 イッセイは最上の無事を確かめようとしていた。しかし、神風に呼ばれて彼を見上げると、青ざめた顔をしていた。そして、いつの間にかたどり着いたおじいちゃんがあたふたしていた。



「彼女がっ!!!」



 ハッとしてキキの方を見るともうキキは意識がない。完全に暴走をしている。先ほどよりもキキの周りの光が強く、周りに吹く風の勢いも増していた。



「キキ様っ!!」

「ココ!!どうにか収める方法は無いのかしら?!」

「・・・この状態になると、ココも魔法を使えません。何もできないデス。もう、キキ様保たないデスっ・・・」

「じゃぁどうなるのよ?!」

「近づいて目を覚まさせることは出来るのかいっ?!」

「多分、みんな近づけないデス・・・・・あっ。最後の手段があったデス。それなら一瞬だけ、キキ様の意識を戻せるデス。でも、本当に一瞬だけデスっ!!なので、あとは皆さんにお願いするデス・・・!」

「それはどういう事だ?」



 ココが前に一度話した事を再度説明をした。

 ココが唯一出来ることで、現在暴走しているのはキキの体の全ての魔力。そこに、少しだけ魔力が回復をすると意識・自我が戻る。しかし、暴走している為、意識を留めさせる必要があると。


「どうやって?!」

「どうにかデス!ココは一瞬だけ意識を戻す事しかできないデス!!」

「一緒にキキの意識を留めてはくれないのか?」


 イッセイとキキに懇願されるように言われたココが寂しそうに答えた。





「お手伝いしたくても、できないデス。多分、その時にはココは居ないデス」




 イッセイとリリは嫌な予感しかしなかった。


 ココの言葉に誰もが返事をせず、ただただキキの暴走する魔力の音の大きさだけが工場の中へ大きく響き渡った。


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