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狐の嫁入り 三部〜波動ノ音〜  作者: 杉崎 朱


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二十四話:緊迫


 キキが金色の光線を喰らった。



 デカブツが発した光線はキキに当たり、それから刻印石までもが光り出した。




「だめっ!!!!!魔力が収まらないっ!!!」

 キキはその場に縫い付けられたように動かず、キキの光が刻印石を通り、地面…地下へと向かっている。



「核探しの強制魔法が発動したんだっ!!!キキ!魔力量の調整は?!」

「出来ない!このままこの量を流し続けたらまずい!私が暴走する・・・!!」

「デカブツを止めないと・・・!!」



 キキとデカブツの間にいるイッセイ。デカブツは光線をキキに当て続けている。しかし、これは物理的に遮っても意味がないだろう。物は試しでバイクのサイドミラーを取り外して光線に当ててみた。反射はせずにすり抜けた。やはりダメである。


「デカブツ本体か眼をどうにかしないと・・・!!」




「イッセイ君!!」




 一瞬その光景に圧倒された神風だったが我に戻りイッセイに大きく声をかけた。

「神風さん!!」

「おじいさんから武器を預かって・・・」


 神風が喋り始めた瞬間、デカブツの光線が一度止んだ。しかし、デカブツは突然神風を捉えるとキャットウォークまでアームを器用に使って登り始めた。

「神風さん!!デカブツが狙ってます!!避けてください!!」



 ガチャァアンーーーッ!!!!!



 イッセイの言葉も虚しく、背後から一瞬で神風にたどり着いたデカブツはそのままアームで二輪車ごと神風を突き飛ばした。

 二輪車は前輪から数メートル先の壁まで叩きつけられた。ヘッドライトカバーは粉々に割れ、ハンドルもひしゃげた。前輪タイヤはパンクしてホイルまでもが曲がっている。神風も同じように吹っ飛ばされ壁に叩きつけられた。


「神風さんッ!!!?!?」


 神風が壁からキャットウォークの床に落ちた。バイクは柵に跨がるように引っ掛かっている。



「・・・ッ!!大丈夫です!!バイクの・・・下敷きになってません!!片方の足の骨をやられただけです!!


 やはりデカブツに弾かれようならこのように大怪我・・・モノならば大破するのだ。イッセイはより一層緊張感が増した。そしてデカブツはそのまま壁からイッセイの近くに飛び降りようとした。その瞬間ーーー




 「近寄るんじゃないのぉぉぉぉおおおおーーー!!!!!」




 デカブツからの光線・・・という魔法で強制的に刻印石に魔力を流し込むようにされていたキキがデカブツを吹っ飛ばしたのである。




 ズゴォオオオオオオンーーーーー!!!!!




 デカブツはシャッターを破り外へと吹っ飛ばされた。

 今までこれほどまでにデカブツに衝撃や攻撃を与えることはキキはできなかったはず。イッセイは吹っ飛ばされたデカブツを見た後に自分の後ろのキキをみた。

 体は立っていられずにしゃがみ込んでいる。そして、顔と手だけをこちらに向けて魔法を繰り出したのだ。多分、通常だったら繰り出せないであろう魔法の威力と状態にイッセイは悟った




「(キキの魔力が暴走し始めてる・・・っ!!)」


 


 キキ自身もデカブツの吹っ飛びように驚いていた。あれだけ今まで魔法除けだのなんだので効かなかったのが、今は赤子の手を捻るかのように吹っ飛んだのだ。つまり、相手の大層凄い魔法使いが仕込んだ魔法式ですら、キキが暴走したら敵わないってことだ。しかし、暴走は暴走だ。今回はたまたまデカブツにあたったが、いつも上手くコントロールできるとは限らない。それにーーー



「っやば・・・っリリちゃんパパ大丈夫かしら・・・!あれっ・・魔力の使いすぎかなっ・・?!ちょっと、意識が・・・っ!!」



 キキの目が虚になってきた。そして、目の色が変わって来ている。元々ルビーのような赤い瞳が、何色が混ざったかのような色になってきている。



「意識が途切れれば魔法も収まるか・・・?!」



 しかし、刻印石へと流れる魔力の量がやはり多くなっている。キキが意識を飛ばしそうになればなるほどだ。まさか、暴走でほとんど調整ができないとはいえ、本人の意思でそれなりに抑えているかもしれないとしたら、意識が飛んだら完全に魔力が全部刻印石へと流れてしまうのでは・・・



「イッセイくん!!彼女は・・・?!」

 柵に掴まり片足で立ち上がり、下の様子を覗き込む神風。

「意識が飛びそうです!!魔法の暴走です!!でも、どうにかする手立てがありません!!」



 意識がなくても魔力が流れてしまうのなら、眠らせても何の意味もない。

 イッセイは焦る。暴走を始めたキキ、一度打撃は与えたが遠方で大勢を立て直しているデカブツ。そしてその中にいる最上。内部の衝撃は少なくあって欲しい。そして、足が動かない神風。自分しか動けないが、何も出来ない。



 










 シュイーーーーンーーー・・・・




「おじいちゃん!!セカンドが来たわよッ?!?!」

「わかっとるわい!!・・・よし狐!!一旦魔法でどうにかしろい!おじいちゃんはその隙になんか考えるっ!!持って来たもんでどうにかしようと考えるからぁっ!!」

「わかったデス・・・!!」




 そう言って、おじいちゃんとリリの間から抜け出してリリの肩に移動した。

 



「・・・ッハ!?!?!」

「ココどうしたの?」

「腹減ったって言ったって食ってる時間無いかんな?!」



「魔法が出ないデスッ?!?!」

「腹が減って力が出ないっていうのかっ?!」


「違います!!キキ様に何かあったデス!!!」


 おじいちゃんとリリが一瞬、同じ胸のざわめきを感じた。



「意識がないトカ、気絶くらいならココ魔法使えるです!!キキ様が寝てる間も番犬狐してたデス!でも、何か違うデス!!!」



 その言葉を聞いて、おじいちゃんは二輪車を停車した。




「ちょっと!!止めたら追いつかれるでしょ?!」

「狐は魔法が出せない。なら、ここからはワシがセカンドの相手じゃわ。じいさんを舐めるなよ」

「舐めてるんじゃないわよ!!心配してんの!!」

「小娘がワシの心配じゃと?!こりゃー!明日には大気汚染がなくなるのぉーー!!はー!!愉快愉快!!」


 二輪車から降りて、乗せていた武器を下ろす。そして、リリも下ろした。



「走ればお前さんの足でも十五分で次の工場へ着く。狐を娘の元まで連れてってやれ。狐はもう魔法が使えないんじゃ。飛べもせん。一緒に走るか抱えてやれ」

「・・・わかったわよ」

「ココ。自分で走るデス」

「でも、この際無免許でも仕方ないでしょ緊急事態だから、二輪車化して頂戴。乗り方わかったからその方が早いわ」

「ダメじゃぁあーーー!!!」

「いいでしょ?!その方がもっと早く着くわ!!」


 そんな話しをしているうちにセカンドが迫ってきた。おじいちゃんは武器を順に体に装着し始める。



「ほら!早ぅ行けっ!!」

「貸・し・て・頂・戴ッ!!」

「ダメじゃ!!こいつはなぁ・・・!最大の武器になるんじゃっ!!!ポチッとなぁ!!!」



 二輪車のハンドルの下、透明な蓋を開けてボタンを押したおじいちゃん。すると、二輪車が機械音や『プシュー』という空気音を出しながら人型にトランスフォームした。



 ロボットアニメさながらの出来栄えである。



「こいつとじいちゃんでセカンドに挑むかんなっ!!だから安心せい!!!」



「まぁ、私が走るくらいでおじいちゃんが無事なら良いわ・・・。ココ!!行きましょう!!」

「はいデス!!」

「頼んだぞ!小娘!!」






 そして、向かってくるセカンド。しかし、セカンドの進行方向はおじいちゃんではなく、先を行くリリだ。おじいちゃんの正面からリリへと軌道が変わり始めた時、おじいちゃんが小さい端末で二輪車ロボットのプログラムを組み替えた。



「対象設定!!地の果てまで追いかけモード!!絶対にもう離さないんだからっのツンデレモード発動!!」



 セカンドがおじいちゃんの横を通り過ぎようとした瞬間・・・




 ガガガガガガガーーーー!!!!!!



 二輪車ロボットが瞬時にセカンドの前に表れて行手を阻む。二輪車ロボの方が明らかに小さいが、セカンドの形状を踏まえて良いポイントを抑えて止めにかかる。




 ガガガガガガガーーーー!!!!!!



「その隙に・・!!!」



 おじいちゃんは小型爆弾をセカンドに少しずつ仕掛けては爆発をするという行為を何度か繰り返す。アームの関節部分を徐々に減らしていく算段である。



「粉々にはせんぞ?!!ことが済んだらワシの研究材料になってもらうかんなぁーーーー!!!」



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