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狐の嫁入り 三部〜波動ノ音〜  作者: 杉崎 朱


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二十三話:金色



「イッセイ!!デカブツの目の色が金になったわよ?!どういう事よ?!」

「・・・っ!工場まであと少しだって言うのに・・!!キキ!急げるか?!」

「急げるけど金色の理由がわかるなら教えて頂戴よっ?!」




 特にデカブツの動くスピードこそ変わらないが、目が金色に光った。キキはイッセイの言われたと通りにスピードを上げた。デカブツがもっと早く動けるならもっと近寄られていただろう。しかし、追いつかれないならデカブツのアームで追いかける最高速度が今の速度だったのか、もしくは一定距離を保ったりして時間が必要だったか。


 イッセイは考えた。その両方だったんだと。



「キキの魔法を喰らったり、近くにいて恐らく魔法の形・・・を学習してたんだ!!」

「なんの為・・・あっ!!!刻印石を発動させる魔力の波動を習得する為って事?!」

「そうだ!!刻印石に魔力を流してすぐにでも”核探し”が始められる反面、キキが自分で刻印石に魔力を流さないと何時までも始まらないんだ!!」

「そりゃそうよ!まずお腹いっぱいご飯食べて!お風呂入って体綺麗にして!デザート食べて整ってから始めないと何時間かかるんだかわからないんだから!!・・・まさか私の魔力の波形を習得したら強制的に刻印石に魔法を流して始めようって事?!?でも無理よ?!かなりのエネルギーが必要でいくらリリちゃんのお父さんを取り込んだからって・・・」

「切っ掛けだけで良いんだよ・・・」

「どう言うこと?!」



「キキの魔法の波形を出して、それに別の魔法を乗せてキキ本体にぶつける!多分、その魔法にぶつかればキキの魔力を自動的に刻印石に流し込む魔法だよ!!」



 そう言ったイッセイの視界の先にようやく目的の・・・今回爆破されてお別れをする工場が見えてきた。









「ねぇ!おじいちゃん!!」

「んなんじゃこの忙しい時に?!」

「なんでイッセイであんなに魔法に理解があるわけ?!」

「あるわけ無かろう?!去年まで魔法が存在するなんて知らんかったんじゃ!!」

「でも!だっていっぱい指示してるじゃない?!」

「魔法なんじゃからなんでもできると思っとるんじゃろ?!」



 工場を後にして出発して十数分後、バイクに乗りながらリリが質問をした。確かに魔法というのはイメージの話ではあるが”なんでもできる”と思われがちだ。もちろん、出来ないことも存在する。それは個体の能力や保有する魔力量の限界で使えない魔法があるからだ。


「でも!イッセイさんすごいデス!『これがダメならこうして見て』とか発想が凄いデス!」

「発想の転換は発明家の基本じゃから当然じゃ!!多分!知らんけど!!」

「でも、ココが聞いてても凄いって思うデスゥ?」

「なんかそうよね?あなた達が使えない魔法も『もしかしたらこういう仕組みで動いてるのかも!』とか、元々魔法を使えてるとか理解があるならわかるけど、一切使えないのよ?!」

「ココもそう思うデス!!」

「つか狐!お前さん飛べば良いじゃろ?!もしくは走れ?!荷物いっぱいなんじゃよ!!なぜバイクに?!」


 おじいちゃんとリリの間にココが乗っている。神風のバイクと違い大きくないこのバイクには荷物も大して積めない。今でも無理やり使えそうなものをくくりつけており車体は非常に重く、速度はゆっくり・・・いわゆる安全運転レベルである。


「キキ様も魔法使うの控えてるデ!!ここが飛んだら余計な魔力使っちゃうデス!!ココの魔力はキキ様の魔力デス!」

「なら走らんかーーーい!!」

「魔力はキキ様のだけど、その魔法を使う体力はココの体力デスッ!温存するデスッ!」




 この世界で工事中と空気調査以外、外に人が出ること自体が少ないため後方確認などしていなかったおじいちゃんが、サイドミラーを一瞬視界に捉えた。



「そんな事言ってっと、セカンドに追いつかれ・・・


 キタァーーーーーー?!早くねぇかっ?!早すぎるだろぃっ!!?」












「キキ!あの工場だ!!」

「わかった・・・・・デカくない?!何処かの大企業の人気商品製造してるぐらいの規模じゃない?!」


 キキが飛んだまま工場に近づき、徐々に速度を落とした。イッセイは小型の端末を操作して工場の大きいシャッターを開ける。



 ウゴォン・・・ーーウゴォン・・・ーーウゴォン・・・ーー



 上に大きいシャッターは横開きに開いた。あまりにも高く、デカブツが余裕で入る。


「このまま中入るわよ?!」

「頼むっ!!デカブツも言って入ってくるだろう!そしたら閉めるから!!」

「OKッッ!」



 イッセイとキキが入り、目が金色に光ったままのデカブツもそのまま入ってきた。イッセイはすかさずシャッターを閉じた。


「キキ!助かった!キキはしばらく魔法を使わないで!むしろなんか魔力が溢れてるとかだったら微塵も出さないようにっ!魔力で場所を気取られないようにしてくれ!!」

「えっ?!やったことないけど?!やってみるわ・・・」


 どちらかというと、適性持ちで女だなんで前代未聞なキキは、周りを黙らせるために強大なその魔力を思う存分滲み出させて威厳として生きてきた。逆に出すなと言われると難しいのである。



 キキがあーだこーだしている際に、イッセイがキキから離れる。工場の中に入って近づいてくるデカブツの目の視線の先にはやはりキキだ。イッセイは文字通り眼中に無い。つまり、デカブツの対象が”キキ”である判別ができているのだ。もちろん高性能だろうから顔認識もできているだろう。しかし、魔力の波形などが出てることが更に決めてになっている気がすると考えた。全部憶測だけれど。



「・・・何か自分を囲む魔法はないのか?バリアとか」

「それに魔力の遮断を追加すればいけるかも・・・!うりゃぁあああ!!!!!」


 キキの周りが薄くピンクに囲われた。

 その瞬間、デカブツの目が動いた。ずっと捉えていたキキから少し目をそらしたのだ。


「キキ!刻印石を預けてくれ!刻印石と適性持ちがセットだという認識だろうから、それを別々にすれば相手は混乱するんじゃないか?!」

「それだけはダメっ!前に刻印石に他の人が触った瞬間大怪我したの!!イッセイが怪我しちゃう!」

「でもそれは、適性持ちでない魔力を持った人が触ったからじゃないのか?」

「とにかくその人三日ぐらい寝ちゃったから今試すのとか危ないからっ!!!」


 刻印石に触れることが思ったより深刻そうだと思い、次の一手を考えようとした時だった。





 キュイィィィイイイイーーーーーーー・・・・・




 デカブツの金色の目が、更に光出した。太陽でも入っているのではないかと思うくらいの眩しさに、イッセイもキキも驚いた。

「ちょっ?!なんかちょっと暑くない?!ミニ太陽でも入ってんのねぇ?!?!」

「始める気だ!!キキ!!避けろ!!」

「避けろって何か」



 ピシュンッーーーーー!!!!!



 デカブツの目からレーザーのような金色の光が発射された。











 ドゥルンッーー!!ドゥルンッーー!!



 神風は指定された工場に到着した。シャッターは閉まっている。しかし、工場の窓から夥しい光が時折見える。中にイッセイとキキ、そしてデカブツが入っているのだと神風はわかった。

 イッセイに言われた通り、工場の周りを二輪車で一周するとスロープを見つけた。そこから中へと登っていく。自動で小さいシャッターが開いて中へ入ると、中で信じられない光景を見た。





「キキ!危ない!!」



 とんでもなく速い・・・速いなんて言葉では表せないほどのスピードで金色の光がいくつも放たれ、そして、神風がたどり着いた瞬間に、一つの金色の光がキキを捉えたのだ。




「キャァアアアアアアアアアーーーーーーー!!!!!!!」



 キキの悲鳴とともに、彼女の体から多くの光、そして彼女を中心とした風が発生し出した。

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