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狐の嫁入り 三部〜波動ノ音〜  作者: 杉崎 朱


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二十二話:圧縮


「ココが狙われてるんじゃないの?!」

「ココ、ずっとあれを追いかけてたデスよ!狙われるならとっくデス!」

「あれか?!デカブツが娘を狙ってる可能性があるみたいに、『女』に反応するように作られてるんじゃねぇか?!」

「性別で判断しないでしょ?!何とか石って核探しの石を判断材料にするべきでしょ?!」

「”刻印石”とか”水晶石”とも呼ばれるデス!どっちでも良いデス!」

「狐!!そっち向かってくぞ!!!」


 セカンドはアームを使い、バッタのように宙に飛んだ。



「ギャァアアア!!気持ち悪いーーー!!!」

「空中浮遊は出来なくてジャンプだけデス!!すぐにまた落ちるデス!!」


 ここの言葉通りにセカンドは落ちた。しかしまたジャンプを繰り返す。




 「よし狐!!小娘を餌にここまでセカンドを誘導してくれぃ!!で!!この黒い鉄板の上で魔法とかなんか使って一瞬で良いから動きを止められるか?!」


 おじいちゃんは走って移動し、工場の一角にある床の黒い鉄板の上に立った。ココに場所を教える。



「浮遊魔法と拘束魔法を同時には・・・・・うにゅぅううーーー!!!頑張るデスーー!!!」



 ココがヤケクソとばかりに返事をした。











「はぁっ!!はぁっ!!ココめっ・・・・!すんごい量の魔力を使ってるわねっ・・・?!」


 キキが息を上げている。

 ココの魔力の源はキキの魔力である。そもそも自身も可能な限りの高度な魔法と魔力の使用量に加えてココも魔法を同時使用している。キキも疲労感が募る。



 今すぐにバテることは無いにしても、この状況が続くのは先を考えると良く無い。どうにかしてキキの魔力を抑えながらデカブツを当初の目的の工場に運ばなければと考える。


「あんたが勝手に工場に行ってくれりゃ良いのにィイイイ!!!!!」



 遠くで独り言の様に文句を言うキキの言葉。その言葉にイッセイは一つ思い浮かんだ事がある。



「そうか、運ぶんじゃなくて自分で向かってくれれば良いんだ」

「何言ってんの?!できればこんな苦労しないのよっ!?」

「キキがこの場に留まるからじゃ無いのか?!その核探しの石」

「”刻印石”!!または”水晶石”!!」

「刻印石を目的としてる可能性があるなら、石が移動すれば着いてくるんじゃないか?道案内する!移動しよう!!」

「まさかっ?!」




 しかし、キキとてここで抑えるための魔法を、対魔法式を組み込んだ相手にずっと使い続けるのは酷である。最上を助けるために既に1,000を超える魔法を掛けているキキからすると、とりあえず二番目の目標である工場への移動が楽に済むならそれに越した事はない。


「でも!移動中にバッテリー減って燃料欲しさにリリちゃんのパパが燃料にでもされたら…!!」

「多分、人間から燃料への変換は機械では出来ない!!遠隔魔法でやってるから魔法が使えない状態なら最上さんは大丈夫なはず!!さっきの地震の時に燃料にされなかったんだ!まだ大丈夫だって事だ!そう信じよう!!」

「じゃあ工場に飛ぶから!!」


 言ってキキは全ての魔法を一度解いて浮遊魔法を使った。イッセイの元へ行き、腕を掴んで高速の低空飛行を始める。


 デカブツから少し距離が出来たところで追ってくるのが見えた。



「やっぱり!キキとか刻印石の方を追ってる・・・!このまま工場まで頼むっ!!」

「飛ぶくらいならお安い御用よ!」










「私を餌にするんじゃないの!!」

「リリさんごめんなさいデス!!」

「協力するって言ったじゃろ?!今じゃよ!!」



 ココがリリを連れ回して最終的におじいちゃんに指定された場所へと降り立った。そして、セカンドがまたの向かってくる。


「タイミング!!タイミング間違わないでよね!?」

「大丈夫デスゥ!!」



 セカンドが勢いよく近づく。


 50メートルーーー



 30メートルーー



 10メートル・・・



「飛ぶデス!!!」



 上空に浮いたココとリリ。セカンドは一回急ブレーキとばかりに止まって上を見た。その瞬間。



「最大出力デス!!fix!!(固定)」


 セカンドの周りを光り輝く鞭のような魔法が現れて縛り付けた。


「止めたデス!!」

「っしゃぁああああーーーーー!!!ポチッとなぁあああ!!」


 おじいちゃんが機械のボタンかと思いきや先端に丸い持ち手のついたレバーを思いっきり下げると、セカンドの上からは大きな棘付きの鉄板が降ってきた。




 グォォォオオオオオオンッーーーーー・・・!!!!!




 プレス機を使ったのである。セカンドをプレス機の上に誘導し、上から潰した・・・つもりだったが



「やはり潰しきれんかっ・・・!!頑丈な奴め!!しかし棘付きじゃし、最後の仕上げもこれから行う!ちょっとの時間稼ぎくらいにはなるだんべっ!!」

 そう言っておじいちゃんはもう一つレバーを思い切り下ろした。四角いプレス板の面の中央に開いている穴に、太い鉄パイプを下ろしてセカンドの中を貫通させた。



「これで囚われの身じゃぁああ!!ちょっと+もうちょっとくらいは時間稼ぎになるじゃろう?!さぁ小娘!!狐!イッセイの所戻るぞい!!」

「すごいデス!ペシャンコ機械は誰が作ったデスか?!」

「世界一・・・いや!全次元一優秀な発明家であるこの・・・!」

「全次元一なら今この場でセカンドをどうにかしなさいよ!!」


 ヴヴヴヴンーーーー


 ヴヴヴヴヴンーーーー


 リリのツッコミも虚しくおじいちゃんの電話の振動音に邪魔された。


「イッセイ!セカンドはとりあえずプレス機で捕獲して鉄パイプ貫通させといたぞっ!」

『じいちゃん!今キキを囮にしてデカブツを当初の目的の工場まで誘導してる・・・!!だから落ち合う場所を」

「わかった!もう一箇所の工場にしろってんだな!でな!じいちゃんはプレス機でセカンドを捕獲してだなっ?!」

『神風さんにも連絡するからじゃあね!!』

「孫ぉおおおおーーー?!」


「イッセイも、貴方のご主人様も無事みたいね。でも、おじいちゃんもイッセイも女性を餌だの囮だの全く揃いも揃って酷いもんだわ」

「同感デス・・・」


 ココが苦笑した。













 



 マスクのゴーグル部分。ヘルメットで言うならシールド部分に文字が浮かび上がった。

 《Do you want to respond?(応答しますか?)》の文字を見て着信が掛かってきたのだと神風が理解する。自分のマスクだ。電話とペアリングをしてある。ヘルメット同様に《Yes(出る)》《No(出ない)》の文字が次に浮かぶ。読み上げるだけで端末は繋いでくれる。



「Yes,」




 基本、Noとは言わない神風 時雨はイッセイからの着信に難なく応じた。



「イッセイです」

「今向かってます」

「すみません、俺たち移動してます!最初の目的地の工場に向かってますのでそこにきてもらって良いですか?」

「デカブツは?!」

「着いてきてます、大丈夫です。デカブツは正面から迎え入れます。神風さんは危ないので工場の東側から車も登れるスロープがあるのでそこから入ってきてください。体育館で例えるならキャットウォークみたいな感じの所に出ますので」

「承知しました」



 通話は要点だけを伝えてすぐに終わった。無駄のないやりとりが彼らしいと神風は思った。余計なことは言わずに必要なことだけを言う。つまり、最上の身に関しては特に変化はないように見えていると言うことだ。自分が動揺してはいけない。彼が身動きを取れないなら自分が代わりを行わなければならない。

 とにかく今はこの託された武器を青年の元へ無事に届けなければならない。例え何があってもだ。


「それまで、最上さんを頼みましたよ」


 神風は更にアクセルのグリップを握り手前に引いた。











 ガシャンッーーガシャンッーーガシャンッーー



 デカブツはキキや刻印石を追ってそれはそれは素直な、生まれたてのひよこのように着いてきた。



「追ってくるけど本当に追ってくるだけね?!基本こっちからしか仕掛けてないし、相手は魔法をかけられたら跳ね返す事はしてたけど、結局何してくるのかしら・・・」

 イッセイを掴みながら飛んでいるキキが疑問を口にした。

「もしかしたら、何かするためにある程度の時間が必要なんじゃないか?その刻印石に何かするにしても、デカブツの中でそれ用のプログラムを起動させるとか」

「じゃぁその前に私たちが迷うやらなんやらを仕掛けたからそれに対して反応してたから遅れてるってこと?!」

「もしくは、デカブツが目覚めてからもずっとプログラムは起動してて今もなお準備中なだけで完了したら場所を問わずに始めるとか。刻印石を使うのに儀式とか何か必要なのか?」

「ないわ!割と何時(いつ)でも何処でも始められる!」

「キキは自分の好きに出来てもデカブツも同じようにできるとは限らないからなぁ」

「そりゃそうでしょ!私の魔力にしか反応しないんだから!」


 前にも聞いたような刻印石の発動にはキキ・・・と言うより適性持ちの魔力にしか反応しないという話。改めてその話を聞いてイッセイが新たな可能性に辿り着いた。そして焦る。




 「キキ!!もうデカブツに向けて魔法を使っちゃダメだ!!キキの魔力を『コピー』されたら相手の思う壺だ!!」



 そう言った瞬間、後ろから追ってきていたデカブツの目の色が緑色から新たな色・・・『金』に変わったのである。


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