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狐の嫁入り 三部〜波動ノ音〜  作者: 杉崎 朱


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十五話:磁場




 不気味な音に一向は巨大機械(メカ)を瞬時に見た。



 しかしーー




 ドパァァアアアアアンーーーっ!!!!!



 爆破が始まった。一瞬巨大機械(メカ)に気を取られたキキだったが瞬時に防護魔法を発動し、煙や破片が魔法の防壁から飛び散る様子は現在見られない。



「今っ!!眼が光ったよね?!」

「光った!光った!めっちゃ光ってたぞ!!やったか?!」


 イッセイとおじいちゃんは機械が眼をに光を宿した事を確認し合った。

 もう爆発の影響で機械は見えないが、機械のある方向をずっと見ている。すると、今まではキキの魔法によってある一定の位置までしか広がらなかった煙。それが見えない壁を叩くかのように動き始めた。



「勢いが止まらない?!何回に分けて爆発するのこれ?!」

 キキが出している防壁魔法に何度も衝撃を受ける感覚を感じた。一度の爆発ではなかったのだろうかと確認を入れた。


「爆発は一回です!分けてません!!」

 神風がすぐさま答えた。


「じゃぁ・・・なんなのこの衝撃?!?!」


 まるで、煙が充満したビニールハウスの中から槍で表面を突かれているかのように防壁が動く。


「・・・キキ以外は一旦通路に避難してください!!!」

 イッセイが閃いてこの場の全員に伝達した。爆発は一回きり。磁場の作用で魔法自体を打ち消すことがあったとしても魔法の防壁を()()するとは思えない。魔法に関して知識が乏しいイッセイだが、周りの身の安全の為の避難と共に考えを巡らせる。


「(キキの魔法は『使える』または『全く使えない』の二極化だった。中途半端に魔法が『弱い・使いづらい』という事は今までなかった。もちろん今後もないとは言い切れない。しかし、現在使える環境だとして、こちらが用意した爆薬にキキの魔力が耐えられないと?異世界ではトップクラスのキキの魔力だ。それに、爆薬の威力くらいキキも分析して事前にわかっているだろう。爆薬の威力が自分の力で防げないならそもそも防護魔法を使うというだろうか。足しになればくらい考えるかもしれないがその際キキみたいな人間なら事前のその旨も伝えるだろう・・・よって)」


「中で動いてるのは巨大機械(メカ)だ!!!キキ!!そのまま可能な限り魔法で抑えてくれ!!」

「頑張るけど・・・!!なんか物理的力だけじゃない!!魔法も組み込まれてる気がする!!よくはわからないけど!!いつまで持つか・・・!!」



 ドシンーーーッ!!!・・・ドシンッ!!!



 巨大機械(メカ)が暴れているのか、防壁を攻撃する以外に地響きのような音が聞こえる。


 

「じいちゃん、巨大機械(メカ)の足みたいなの拘束してたよね?」

「全部はバンドが足りんかった!二、三本はそのまんまだ!!」

「やっぱりの拘束されてない部分で防壁を攻撃してるんだ・・・!どうするっ・・・?!」

「一番近くの工場から()()持ってくっか?!」

「・・・!とりあえず持ってきて!!」



 おじいちゃんはその場から通路に向かい、一番に扉を潜った。

「ちょっ!!この状況でどこ行くのよっ?!」

「小娘?!お前も危ないからこっち入っとれ!わしゃ工場からあれに対抗・・・できるかどうかはしらんがちょっとアレ持ってくるわい!!」

「アレって何よっ?!」


 おじいちゃんが扉を通りがけにリリの首根っこをつかんで中へ入れた。その拍子に抱えていたココを落としてしまった。


「ココ!!危ないわ!!」

「キキ様のお手伝いするデス!!!」


 駆け出したココの足は速く、キキの元へ辿り着く。すると、ココ自体が発光して周りに風が少し起きた。


「ココ!!」

「援護するデス!!」


 その瞬間、不安定で攻撃に揺れていた防壁は動かなくなり、更にどんどんと巨大機械(メカ)を拘束するように萎んでいった。


「流石、番犬の狐ね・・・!!」

「今がチャンスっ!!」


 おじいちゃんはそのまま通路へ飛び出した。リリは安全な通路のガラスからこの光景を見る。外には防壁と中心には異世界の巨大機械(メカ)。そして、それを囲い大人達が対処している。

 この世界にきて一年、本当に平和な日々を過ごしていたリリには久々で中々の恐怖だった。








 キュィイイイイイーーーーー・・・・・







 ココが加わり、巨大機械(メカ)も大きい動きが見られない。こちらが優勢になった。


「キキ、話しかけて大丈夫?」

「ちょっとならね・・!うまいことココが力の配分をして抑えてくれるから!でも抑え込んでる力そのものは私の魔力だから、気を抜くことはできないわっ・・!!」

「この巨大機械(メカ)、目が赤く光ったの見た?」

「見たっ!!なんでかわからないけど!本当に一瞬よね?!起動ボタン押して爆発するまでの本の一瞬っ!!そんなに性能が良い機械だとは思わなかったけどねっ!最新の携帯電話より起動が早いわどこの会社の差金よ全くっ!!」

「・・・機械としてのスペックの良さじゃなくて・・・魔法ならこの機動力の速さ・・・説明つく?」

「遠隔魔法って事?!異世界からずっっっっっと!!魔法をかけ続けてるならね!!例えば一瞬のスキをも逃さないように巨大機械(メカ)を送り込んでからずっと魔法をかけ続けてるなら何かの拍子に・・・あっ!!!」

「どうした?!」

「ボタン押した瞬間、磁場みたいのが視認できてこっちに向かってきたのよ?!で、この小型機にも浴びたのよねっ!!そしたら巨大機械(メカ)の目が光ったような気がして・・・」

「まさか・・・!?」



 イッセイは、魔法発動のために両手を前にかざしているキキの腕の小型磁場妨害機を見た。そして、小さな画面を見て操作する。設定画面を見て妨害範囲を確認した。



「200M(メートル)・・・!そういうことかっ!?」

「なになにっ?!これが原因なの?!」

「イッセイ君、どういうことだ?!」


 神風も近くにやってきた。

「・・・手短に。最近、そこら中に張り巡らされてる網膜スキャンから何か磁場が出てるのに気づいたんだ・・・」

「あれ、網膜スキャンの機能だけじゃなくて?!」

「そんな設定は聞いてない・・・」

「磁場の波動らしきものを分析しても、別に僕たち人間や動物には全くと言って良いほど影響がないものだったんだ。だから何のための磁場なのかわからなかったんだ。網膜スキャン機能を作った時に発生したバグみたいなものだと思ってた・・・」

「バグじゃないならっ?!」

 キキが少し辛そうに答える。ココも喋らないが目を細めて少し辛そうな顔をしたまま巨大機械(メカ)を一緒に押さえ込んでいる。



「あの波動は、対魔法使い用の、”魔法封じの磁場”だったんだ!」










「なるほどなぁーーー!!」


 巨大機械(メカ)をイッセイたちを挟んで反対側から巨大な・・・こちらも蜘蛛の様な形の重機がやってきた。おじいちゃんだ。


「あの粗末な機械を使い続けた事に納得いったわーー!!!」


「でかっ?!てか会話聞こえてる訳?!?この距離で?!」

「いや、じいちゃんとはずっと電話繋いでるから」

「あ、そういう事」



「娘!!わしゃこのまま巨大機械(メカ)に突っ込む!!魔法の壁ん中にこの重機は入れるのか?!」

「今魔法式変えるから5秒だけ待って!!外側からの侵入を可能にするから!!」

「おーーーしっ!!数えるぞい!!5!4!3!2!1!・・・もーいいーかーっ?!」

「良いわよぉぉおおおおーーー!!

「ホイッとなっ?!」



 防壁に入る直前におじいちゃんは飛び降りた。そして、続きは手元の操縦桿で行う。ラジコンのように扱い、重機で巨大機械(メカ)を挟み込んで取り押さえた。



「ッチ!!やはり固すぎてコイツでも潰せんか!!まぁ取り抑えられてるだけ良しとするか!!」

 随分と力がありそうな重機で挟んでも、巨大機械(メカ)のボディは凹みもしない。ついてかすり傷程度だ。それを見たおじいちゃんは自分の発明が勝てないことに舌打ちをしたが、拘束するという当初の目的は果たせた。

 そして、イッセイやキキの元へと小走りで来た。




「普段から街中に対魔法封じの磁場を垂れ流しにしとったって事じゃな」

「うん、だからキキはこの小型の磁場妨害機がない時には魔法が使えなかったんだ」

「でも!工場に着いた時には使えたわ?!」

「あの工場は開発と実験の為にありとあらゆるものから遮断された空間だからね。だから魔法も使えたんだよ」

「私の脳にだけ作用してるの?」

「詳しいことはまだわからない・・身体に影響はないはずなんだ。だから、多分魔法の発動時にだけ邪魔する何かだと思う。つまり、磁場妨害機のない状態では、この巨大機械(メカ)は遠隔操作は不可能だったんだ・・・でも」


 

 話しながらも、巨大機械(メカ)を覆う魔法防壁の中の煙が落ち着き始めて中が見えるようになってきた。



巨大機械(メカ)に取り付けた電磁波が起動した瞬間に、キキのつけていた磁場妨害機の効果範囲を狂わせたんだ。基本、つけてる本人にしか反応しないほどの範囲だったのに、電磁波のせいで範囲が広がったんだ。対象範囲に巨大機械(メカ)が入ってしまった。異世界からずっと魔法をかけ続けていたのなら・・・」


「その一瞬で遠隔起動したっつーわけか?!そんじゃもし、そのかけ続けてた魔法の種類によってはーーー!!」


 機械は重機によって抑えられているが、標準の型を取りたいのか動き出そうと重い音を立てている。


「そうねっ!もし、遠隔魔法の内容が”内部で自動で動くように”なんて指示だった場合・・・!!」


 高音の機械音が鳴り始めた。まるで、モードが変わるような、プログラムを変更しているかのような音だ。


「起動が完了したら、動き出すという事かっ?!」


 そして、赤かった眼の色が緑色に変わった。

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