十一話:恋心
「何この空気」
「・・・こんなキキ様初めて見るデス・・・」
ジト目のリリに抱っこされた驚きを隠せないココ。
「初めまして。あの、私は機関の者で神風と、申します・・・。その、一応・・・今日の計画の参加者名簿には無さそうなので、身元の確認を、したいのですが・・・」
「神風、彼女に関しては特に」
最上が間に入った。しかしーーー
「あ、あの。私はキキと言いますっ・・・!。この二人のお手伝いで今日来てまして・・・住まいもお世話になってるんですけど・・・あ!!でもイッセイとは付き合ったりとかしてないです!!」
「住まいも・・・?失礼ですがおいくつですか?随分若そうに・・イッセイ君と同じくらい・・?」
「未成年じゃ無いですっ!私22歳ですから!!もう成人してます!」
「22歳か・・・一回り違うのか・・いや、でも今は・・・」
「・・・お前さん達、なんか邪念混ぜて会話し過ぎでねぇか?」
こんな場面でピンクの空気が突然に流れ始めたのだ。
「あのキキ様が動揺してるデス!なんか!ポンコツです!!」
「精従が見てそう思うなら間違いないわ・・・」
「よし狐!ワシがイケメン太郎の説明をしてやろう!!」
「時雨ね」
「お願いするデス!」
おじいちゃんはウキウキと自分の主人の初めての顔をみる精従に説明を始めた。
「奴の名前は《神風 時雨!!名前まで神々しくイケメンじゃから腹立つな!
年は確か33歳くらいで独身!
異世界人を対処する機関に所属しておる!んでもって小娘の父親であるあそこの最上 利幸の直の部下である!右腕じゃ!イケメンで頭も良く銃の腕前も良いときた!!大事な事だから2回言うぞ?!腹立つなっ!!」
「イケメンさんと言うのは、皆さんが腹を立てるのデスね!」
「違うわ。イケメンに腹を立てるのは男だけよ。女は喜ぶだけだわ」
「んでもって、以前とある事件から魔法使いが大嫌いでーーー」
「魔法使い嫌いデスかっ?!」
「「あっ」」
おじいちゃんとリリが顔を合わせて同時に言葉を発した。
そうなのである。この神風 時雨は、以前異世界から来た魔法使いに同僚の命を奪われている。リリがこの世界にやってきた時、最上の娘と知らず、また魔法使いである可能性があるとわかった時、目の色を変えてリリを捕まえようとしていた。
その言葉が聞こえていたキキはとても悲しげな顔をして神風を向いた。
そして、神風も今のおじいちゃんとリリの反応に、キキが魔法が使えると認識をした。
「…魔法が…使えるん…ですか?」
「……はい」
急によそよそしくなる2人。
「なんじゃ?!じれったい!!なんじゃこれ?!ワシのせいじゃないかんなっ!?後で知るよりか最初から分かってた方が傷が浅い場合もあるし大体…!!」
「けほっ…じいちゃん、良いよ。俺か話すから」
右手に卵焼きの半身。左手に箸を持ち少々咳き込んだイッセイが話に入ってきた。
「神風さん、彼女・・・キキは異世界人で更に魔法が使えます。ですが、今は俺達の協力者ですし、この世界の人間に危害を加えられなければ彼女も魔法を人に向けることは無いです。彼女にはこの世界にきた目的がありますから。まぁ、その目的の詳細は俺たちにはよくわからないのですが」
嘘である。核を持ち帰るという目的をイッセイもおじいちゃんもリリも知っているが、それをあえてここで話すなという牽制を込めて言った。
「そうですか・・・まぁ、そのなんと言いますか。その目的が我々にも害がないのであれば、こちらとしてもそこまでその厳重に拘束したりだとか痛い思いや辛いことを強いるつもりは無いです・・・ですが、その、まぁ、放置しておくと言う事も出来ないので監視の命が出てしまった場合は、そうですね・・・一番スケジュールに融通のきく私が護衛・・と言うかその、だから監視役として付くかもしれないですけどでもそれは最上さんが決めることで私の意思とはそこまで関係はなく」
「時雨、話長いわよ」
「饒舌じゃな」
「わっ!私はその、危害を加えるつもりもなければ、ちょっと探し物があって、それを見つけられれば良いだけで、見つけ次第すぐに帰る・・・帰る?すぐに帰るの!?私?!」
キキが話しながらイッセイに自分の言った事を問う。
「見つけて触ったらすぐに帰るって自分で言ったじゃないか」
「そうだっけ?!あれじゃない?見つけて!それからどうするか決めるんじゃなかったかしら?!」
「そんなに神風さんの事気に入ったの?そんなの最早一目惚」
「イッセイ顔に蚊が留まってるわぁーーー!!」
キキが勢いよくイッセイの口を塞いだ。
「近隣住民の不安もよくわかる。しかし、現状安易に手を出せない。無闇に避難警告を出しても不安を煽るだけだ。取り急ぎ、迅速に防壁の準備を進める。それから対処を考えよう」
ピンクの空気を収集つけたのは最上だった。まとめたと言うより、空気を読まずに話しを持ち出して進めただけで
ある。
「そうですね。我々も不安ですが、まずは防壁を立てるのが最善だとおもいます。何も準備しないまま対処して周りへ被害が出るのは一番よく無いですからね。避難も、変な尾鰭がついて噂が回ってしまうのもよく無いですし、逆に野次馬が集まってくる方が良くないですから」
「撮影だって言っときゃ良いんでねぇ?最終的に面白くないからお蔵入りしましたとか言えば納得するじゃろ」
「少し無理があるかな・・・」
イッセイが笑顔でおじいちゃんの案を否定した。
「防壁が整ったらまた連絡をする。それまで対処をそちらも考えてくれ。あと、我々としてはあの巨大機械は安全面が確保できれば分解して解析をしたい。それを視野に入れてもらえないか?」
「お前さん、相当な無理難題言ってることわかっとるか?フグ免許どころか調理師免許を持ってないヤツに『このフグから毒を取り出して食べれるようにしてくれ』っちゅー事言ってるんとあんま変わらんぞ?!」
「それは練習すれば・・・」
「こっちは一発勝負なんじゃよ!!!」
「ただいまー!」
「ただいまデスー!」
「あら!お帰りなさい!思ったより早かったわね!」
「おばあちゃんおにぎり美味しかったー!ありがとう!」
「ポテトも美味しかったデスー!ご馳走様デス!」
家に着くなりキキとココがおばあちゃんにお弁当のお礼を言った。
「唐揚げも最高じゃったわい!」
「それは良かったです!イッセイは何か美味しいのあったかしら?」
「あ、おにぎり美味しかったよ」
「むしろこいつはおにぎりしか食べとらんからな!」
「きっとそうだと思ったから五目おにぎりにしたんですよ。それだけでもお米以外の栄養が取れるようにと」
「イッセイ、至れり尽くせりね・・・おばあちゃん流石だわ」
「流石デス!」
「じゃぁ、大学行ってくる」
家に着いて荷物を置いたと思ったらイッセイがすぐに別の鞄を持って出かけようとした。
「今帰ってきたばかりでしょ?!少し休めば?!」
「いや、この件と大学は別だから。今日なんてそもそも2限目まではただのサボり扱いだし」
「最上さんになんとか言ってもらえないわけ?!」
「そう言うんじゃないんだよね」
イッセイは苦笑いした。
おじいちゃんは有名な発明家。そして、イッセイも知る人ぞ知る発明家の卵ではあるが、特にどこに所属しているわけでも、機関に依頼をされているからと言って講義が免除になるわけではない。本人が言った通り、今日はただのサボり状態なのである。とりあえず、一旦大学に言って友人に今日の講義の内容を聞きたいイッセイはすぐに出かけようとしたのである。
「私も行くわ!!」
「え?キキがなんで?」
「私がこの世界との通路としているあの”鏡”もちゃんと確保しておかないとだし!私は核に触れば帰れるけど、その後ずっと核が私の世界にあるとは限らないから。そもそも他の世界への通路はちゃんと確保しておかないと・・・だから、交渉してあの鏡この家に持ってこれないかしら?!」
「・・・まぁ、ガラクタだと思ってるから譲ってくれるかもしれないけど・・・でも、その格好じゃつれてけないかな」
キキは自分の世界の服だ。いくら網膜パターンを登録されていて自由に歩けるとはいえ流石に目立つ格好である。すぐにあてがわれた部屋に洋服を着替えに行った。
「ココ!お外だから取り込むしかないけどココも・・・」
「シーっ・・・」
すぐに着替えたつもりだったが、部屋を出てきたキキがココに話しかけたが、イッセイから静かにするようにアクションが合った。
「寝ちゃったの?珍しい?」
「今日はお絵描きしたり、卵焼き作ったり色々ありましたからね」
「もう夕方なのね・・・あ、じゃぁココは置いていきましょう。イッセイも早くしないとお友達が帰っちゃうかもしれないのよね?」
「まぁ、もしかしたらそう言うこともあるだろうから。良いならもう行こう」
「あ!待って!この小型磁場妨害機?みたいなのの充電無くなっちゃうから置いてくわ!充電して!」
「それ着けてたの?網膜登録してるからもういらないのに」
「でもなんか可愛いじゃない!」
そう言って、ココのすぐ近くで充電器に繋いた。
「よし!それじゃぁこっちの大学生のスクールライフとやらを堪能しようじゃないの!!」
「・・・鏡がメインじゃないのか?」
「あ”っ・・・」




