ジーニアス親子登場
「――やぁやぁ、エリク。久しぶりだね。」
ニコニコとした顔と声色のした人物が声をかけてきた。
「クルーエルか、内緒にしていたのになんでバレたんだ?」
「私は宰相だよ?さすがにわかるさ。それにエリクは目立つからね。さて、そろそろ秘蔵のお嬢さんの紹介をしてもらえないかい?」
そう言われたお父様が渋々と紹介してくれる。
「アイリス。彼は私の学友のクルーエル・ジーニアスだ。この国で宰相……まぁ、陛下の近くにいる偉い人だ。」
「アイリス・ソードと申します。お父様のご友人に出会えたことを感謝致します。」
ゆっくりと軽いカーテシーをし、顔を見る。
……ぐはっ!!この人もかなりのイケメンだ……。長い緑色の髪を後ろで一つに纏めている。眼鏡の奥には紫色の瞳が見える。 キタ!知的イケメンキタ……!! テンション上がってしまい、顔が勝手に微笑む。
「よろしくね。君のことはアイリスって呼んでもいいかい?」
「はい!大丈夫です。ジーニアス様。」
知的イケメンが少し何か考えたかと思うとニッコリ微笑んできた。
「ん~、私のことはクルーエル父様って呼んでもらえるかな?」
この世界では大人の男性は父様と呼ぶものなのかな?郷に従えだよね!
「はい、わかりました。クルーエル父様。」
「おいクルーエル!何を勝手に!俺は認めてないぞ!!」
「でも、決める権利は女性。つまりアイリスにあるわけだよね?」
「――ぐっ!!クソ、だから嫌なんだよお前は!!」
「エリク。でも君も今日、目の当たりにして身に染みたんじゃないのかい?真っ白な衣装を着てこの美貌でこの知的さで慈愛に満ちている。誰もが全てを捨ててまで欲しがるだろうね。」
エリクが頭を抱えて唸る。 情報を掴んでいてよかった。今日来ていなかったら、こんな唯一無二の娘を逃すことになるなんて大きな損失だ。クルーエルが密かに微笑む。
わけがわからないまま話が進む。全く話が理解できない!! 戸惑っているとクルーエル父様がお父様を放置してこっちに向いた。
「さて、アイリス。許可ももらったことだし私の息子を紹介するよ。クレバー。こちらに来なさい。」
「はい。父上。」
クレバーと呼ばれた子がこちらに来る。
「クレバー・ジーニアスと申します。僕を選んでいただきありがとうございます。」
アイリスの前に跪いて手をとり、唇を寄せた。
――――なっ!!! なんて美形なの!! スラリとした手足。歩く度にサラサラと襟足まであるアシンメトリーの髪が揺れる。エメラルドような輝きをした綺麗な緑色の髪の毛と瞳。少し不機嫌そうな顔をしたのが相まって萌えを通り越して尊い!! こんな美形に手の甲にキスされるとかもうどうしたらいいの!!
アイリスが興奮も相まって顔が真っ赤になる。
「……あ…あの…クレバー様……。」
目に薄っすらと涙を溜め、恥ずかしそうに名前を呼ぶ。
「――くっ!」
クレバーが耳を真っ赤にしてそっぽを向く。
「おやおやクレバー。未熟ですねぇ。」
「父上うるさい!」
立ち直ったお父様が心配そうに聞いてきた。
「アイリス、本当にいいのか?」
「え?」
なんのことだろう。でも待って。クレバー様は確か僕を選んでいただきって……。 どこ?どこで選んだことになったの?! 困惑しているとクルーエル父様が口を開く。
「私が言ったでしょう?父様って呼んでもらえるかな?と。あれは私の息子を婚約者にしてもらえないか?って意味になるんだよ。それに婚約者にするかの決定権は女性。エリクが反対しても君が了承すれば決まるんだよ。」
――なんっと……!!あれだけの会話で婚約が決まってしまうの!!
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