若気の至り②(エリク視点)
「それでエリク。君に頼みがあるんだ」
「お前が頼み事なんてめずらしいな、俺が出来ることなんか限られているだろうに。それで頼みとは?」
真剣な顔をしてこっちを見るヴァートに少し緊張が走る。
「それは――「お話中失礼致します!!」」
焦ったように入ってきた人物は学院の事務員だった。
「ソード辺境伯令息のエリク様はいらっしゃいますか?!」
「あぁ、俺だが……」
「火急の伝達です!!すぐに寮へお戻り願えますか?」
わけがわからないまま急かされヴァートとクルーエルに対し、挨拶もそこそこにして寮に戻ることにした。
「ヴァートは何か知っていたんでしょ?」
エリクを見送った姿勢のまま顔も向けずに話し出す。
「あぁ、まさに今頼もうとしていたんだが一歩遅かったようだ。もう少し早く情報を掴めていれば……」
ギュッと握った拳に力が入る。
「間に合わなかったのを嘆いていても仕方がないよ。あのエリクが動くんだ、逃げられる前にあそこまでしっかり届くようにしないと」
「なんだクルーエル、お前も知っていたんじゃないか」
「私の場合は確証まではもっていけなかったので……」
「せっかく大切な友人が動くんだ。こちらも傍観するわけにはいかない。私は一旦戻るよ」
「では、私も大切な二人の友人の為にやりますかね」
「父上?!大丈夫か?!」
そこには傷だらけの父がベッドに横たわっていた。父は寡黙だったが決して俺を冷遇したり暴言を吐いたりもなく、家にいるときは一緒に訓練をしたり普通の親子そのものだったと思う。
「坊ちゃま…実は……」
シークが詳細を教えてくれた。
我が領土と隣接している国が攻めてきたらしい。いつもなら父上が返り討ちにするんだが、国内の上級貴族共が隣国と結託し、邪魔な父上を断れない立場から誘い出し、なにやら薬物を飲まされたらしい。意識が朦朧とする中でなんとか逃げてきたが、薬のせいで思うように動かず傷を負ったそうだ。
「申し訳ございません。まさか国内の貴族までとは思わず私はのうのうと戦場へ出ておりました。どうかこの失態を挽回するチャンスをいただけませんでしょうか?」
シークが自分に対して跪く。
「なぜ俺に言う」
こんな場面でシークが冗談を言うわけがない。認めたくない想いで口にする。
「こちらを」
シークが渡してきた封書をその場で開けて目を通す。
「出かける前にそちらを坊ちゃまに渡すようにと命じられておりました。もしかすると旦那様はこうなることを予期していたのかもしれません。坊ちゃまに伝わっているかわかりませんが、いつも『エリクが大人になって子供が出来る頃には、こんな風に隣国との戦場に出ずに済む世の中にしたい。その為に今は頑張らないとな』とおっしゃっておりました」
「なんでだ……なんでだよ……もっと言葉にしろよ!!言葉にしないとわからないじゃないか!!」
握りしめた紙にぽたぽたと染みができていく。
乱暴に腕で顔を拭い顔を上げ跪いたままのシークの顔を見る。
「ソード辺境伯当主として命ずる。これより隣国の歴史を終わらせに行く。直ちに尽力せよ!」
更新遅くなり申し訳ないです……(;一_一)
追々修正していきますが、句点を使用しないことにしました!!
今後は句点なしでいきます( `ー´)ノ
こんなに更新遅いのに、ブックマーク、いいねありがとうございます(ノД`)・゜・。




