もっと早く知りたかった
圧死しそうになってからもう2年。私、アイリスは3歳になりました!もう言葉も話せるし、髪の毛だってちゃんと生えてきた!
鏡を見たときはビックリした。お父様の髪色が空色だから私もてっきり同じかと思ったら、なんと!銀色!シルバーですよ。最初は白髪みたいに真っ白かと思っちゃったけど光に当たったりよく見ると反射したみたいにキラキラしてて気に入っている。
私の瞳も銀色かと思ったら見る角度によって色とりどりになる気がする。気のせいかもしれないけど。
お父様みたいに髪の色と瞳の色が同一なのがこの屋敷ではお父様しか知らない。オーディは茶色の髪に黒の瞳だし、シークは灰色の髪に紫の瞳。屋敷から出たことがないからもしかしたら外にはたくさんいてるのかもしれないけれども。
――ぐぅ~~。
ヤバイ!お腹が鳴ってしまった!誰かに聞かれたかな? そろ~っと顔をあげると満面の笑みの執事たちとバッチリ目が合った。恥ずかしいぃぃぃ!!
でも、お腹空いたからおやつ食べたいなぁ。お願いしてみようかな……。
「…あの……おーでぃ…。」
「――くっ!はい。お嬢様。」
膝をガクガクしながら歯を食いしばったオーディがこちらにくる。
オーディを見上げると身長差がありすぎて首を痛めそうだ。でも目を合わせないと失礼な気がするのでチラチラ見ながらお願いすることにした。
「あのね。おやちゅほしいな。」
噛んだ……。緊張しすぎて嚙んだ。
アイリスが両手で顔を覆って真っ赤になりながら悶えていると、執事たちは全員胸を押さえて崩れ落ちていた。
「無理…尊い……。」
「……ここで働けてよかった…。」
「天使だ……天使は実在したんだ……。」
可愛い女の子が顔真っ赤になりながら上目遣いで恥ずかしそうにチラチラ見てくるとかご褒美すぎる! ――執事一同
オーディがいち早く立ち直りアイリスの目線に合うように膝をつく。
「ではお嬢様、軽食のご用意を致しますのでこちらへ。」
危ないからなのか、移動するときはいつも抱き上げられている。さすがに3年も経つと抱っこに抵抗がなくなってきた。それに抱き上げる役が決まっているのか、いつもオーディだ。お父様とオーディにしか抱っこされたことがない。
前に一度だけオーディが忙しそうだったので、違う執事に抱っこをお願いしたら泣き崩れてしまった上にオーディに「私以外はまだ未熟ですので、お控え下さい。」とやんわり叱られた。
何か序列みたいなものがあるのだろうか、泣き崩れてしまった執事さんには申し訳ないことをした。
実際はアイリスの尊さに歓喜して泣き崩れてしまっただけなのである。
◇◇◇◇
おやつを食べるために抱っこされたまま移動していると、ちょうどお父様が帰ってくるのが見えたのでオーディにお父様の所へ行くようにお願いをする。
「おとうさま!おかえりなさい!」
オーディに下ろしてもらいお父様のところへ駆け寄った。両手を広げて自分を待つすごいイケメン。最高すぎる……。
そんなことを考えて走っていたからか、足がもつれて思いっきり転んだ。しかも顔面から。
「アイリス!」
「アイリスお嬢様!」
お父様とオーディが焦っているのがわかる。すごく恥ずかしい。しかも鼻血が出てくる感覚がある。イケメンに鼻血を出した顔とか晒したら羞恥で死ぬ!
アイリスは見られまいと両手で鼻を押さえて必死に蹲った。しかし、お父様にあっけなく抱き上げられたかと思うと顔に手を添えられる。
「アイリス、もう大丈夫だと思うけど痛いとか気になるところはあるかい?」
「え?」
何が起こったのだろう。手が淡く光ったと思ったら鼻の痛みと血の感覚がなくなった。
「おとうさま、いまのなに?」
「え?魔法だけど。」
えぇーーっ!!魔法あるの?!早く言ってよーー!!
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ゆっくりですが、見てもらえるとありがたいです!




