眠れぬ王子様
クルーエル父様に一通り話終えたら、すぐに帰ってしまった。少し寂しいな。
クレバーがすごく心配してくれているって聞いたから、クルーエル父様に「心配してくれてありがとう。フェクト殿下に良くしてもらっているから大丈夫だよ!」って伝言を頼んだんだけど、クレバーの荒れ狂う姿が浮かぶよ。と笑いながら頼まれてくれた。なにかダメだったのかな。
そんなこと考えてたらなんか眠くなってきちゃった。今日もご飯美味しかったなぁ。
思ったより父上との話し合いに時間がかかってしまった。アイリス嬢は怒っているだろうか。
「遅くなってすまな…い……。」
ソファで丸まって寝ている彼女がやけに神々しく見えた。 起こさないように、そっと持ち上げベッドに寝かせる。
「もう日数がないな……このまま誰にも渡さずに囲ってしまいたい……。」
壊れ物に触れるように優しく頬を撫で、愛おしそうに髪を指で梳く。
「……うー。」
なんだかくすぐったい。 アイリスが目を開けると目の前にフェクト殿下の顔があった。
「キャッ!ごめんなさい。寝てしまいました。」
寝顔見られてたよね? 恥ずかしい!! ソファに座っていたはずだけど、ベッドに運んでくれたのかな。 重いとか思われてたらどうしよう。
「いや、私が遅くなったことが悪い。だから気にしなくても構わない。こちらこそ待たせてすまなかった。今から解除の魔法をかけるからそのまま寝ていてくれ。」
「わかりました。お願いします。」
アイリスは横になったまま、気付く。 あれ?人の状態でするの初めてじゃない? いつも夜になると豚になってたから……。どうしよう、急に恥ずかしくなってきちゃった。医療行為、医療行為。
「君に触れても良いだろうか。」
フェクト殿下も人の状態が初めてだから気を遣ってくれてるんだね。
「はい、大丈夫です。」
フェクト殿下が下半身にシーツをかけてくれ、そのままワンピースの裾をゆっくりとお腹の位置まで上げられる。
ワンピースの裾を男性にめくられるという行為が恥ずかしすぎる!! 絶対顔が真っ赤になってる、恥ずかしいし、顔を隠しておこう。
「――くっ!!かわ……。」
ワンピースの裾を上げるという行為はなんとか耐えたものの、恥ずかしがって真っ赤になっている顔を両手で隠しているアイリスを見て、フェクトは悶えたのだった。
「すまない、君に触れさせてもらう。」
お腹の痣を指で優しく撫でるように触れる。
「…………んっ……。」
やめて!!めちゃくちゃくすぐったい!!そーっとされると余計にくすぐったい!!我慢、我慢だ私!!
(なんだあの可愛い声は……女性の声など聞きなれているはずだろう。落ち着け、落ち着け。豚の時とやることは一緒だ。)
フェクトは痣の位置を確認し、ゆっくりとお腹の痣に口付けをする。
「――アッ――!」
どうしよう!唇の感触にびっくりしちゃって思わずフェクト殿下の頭を掴んじゃった!!
(可愛すぎる、魔法を使っているだけなのに、彼女を乱している気持ちになってしまう。)
「気にするな、不安ならそのまま触っているといい。」
「――ッ!!」
そんな状態で喋られたらお腹に息がかかってビクッてなっちゃった。くすぐったいよーー!!ぐぅうう!!我慢我慢!!
「……よし、終わったぞ。不調はないか?」
素早くワンピースを整えてくれて、シーツをかけてくれる。
「……はい、大丈夫です……あり…がとうございます……。」
くすぐったいの我慢してたら息を止めるからか、息が切れちゃった。なにもしてないのに、走ったあとみたいな気持ちになる。
「そ…うか。私は少し私用があるので先に寝ていてくれ。」
「……わ…かりました……。」
まだ仕事が残っていたのかな。夜遅いのに大変だな、王子様って。なんだか疲れちゃったし、先に寝ちゃおう。おやすみなさい。
「………はぁ……………。反則だろ、あれは。」
赤い顔して目に涙をため、乱れたシーツの上で息を切らしているとか……。王族の女性訓練で最高評価されていた私でさえ危なかった。
あの小さな唇に口付けをすると、彼女はどんな反応をするんだろう。
「はぁ……今夜も眠れそうにないな……。」
王族は国が滅びないように特別に女性訓練という教育があります。
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次回の更新遅くなります。出来るだけ早く投稿できるように頑張ります!!楽しみにしてくれている方、申し訳ないです_(._.)_




