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そう、それは豚

 ――おおぉっぉお落ち着け!! まだ豚と決まったわけじゃないはず……。


 そーっと足を見る。




 …………。




 詰んだ……。詰んだわ、これ。 猫とか鳥ならまだなんとかなったかもしれないのに……。豚って……。


 落ち込んでいるとなにやら足音がする。 そういえばここはどこなんだろ? 小さな檻に入れられているのはわかったけど、あの衣装部屋じゃない。 どこかに移動させられた?

 考え事をしていると扉が開く音がする。 足音が段々と近付いてきた……。


 「フェクト殿下への献上品はこれか?」

 そう言いながら私が入った檻を2人掛かりで持ち上げて歩き出した。


 「あぁ、テリブル伯爵が謁見の申請と共に持ち込まれた物だ。確かにめずらしい色をしているよな。研究所の奴らが見たら踊りだしそうだ。」


 「ははっ!確かに。でも、これはフェクト殿下への献上品だろう?研究所の奴らには言うなよ。それにしても、あそこの娘が殿下と年齢が近いから狙ってんじゃないのか?」


 「あぁ、噂の世界一可愛い愛娘か。まぁ、親バカだろうな。お前見たことあるのか?」


 「ないな。見たいとも思わない。あの陰気臭いテリブル伯爵の娘だぞ?義理でも息子になりたくないね。それに俺にはもう婚約者がいてるから興味ないね。」


 「いいよな、お前は見初められて。俺もすっげえ美人に見初められて、いや、婚約者になれなくても使用人でもいいから必要とされたい。はぁ……。」


 「おい、そろそろ着くぞ。ここからは私語禁止だ。」

 2人は仕事モードになったのか急に無言になり、歩き出した。 


 そういえば、王族の事とか勉強してなかったなぁ。とりあえず、フェクト殿下っていう人に私を贈るみたい。 まぁ、銀の豚とかめずらしいもんね……。 …………そうだ。私は今、豚だった……。 どうしよう!もしかして食べられる?! 嫌だ!!出してよーー!!


 「おい、なんか急にブヒブヒ鳴き出したぞ。どうする?」


 「まだ用途が決まっていないから、むやみに魔法は使えないな。睡眠薬でも注入するか?」

 えぇ!!注射?それは嫌だ。 それに眠らされたら逃げ出す機会もなくなりそう……。


 「目が覚めて驚いてただけじゃないのか?鳴かなくなったぞ。」


 「じゃあ、このまま行くか。そろそろ布を被せておけ、合図があるまで取るなよ。」

 急に視界が真っ暗になり、何も見えなくなった。 贈り物だから、中身が見えないようにしたのかな。


 しばらくすると、揺れがなくなったので立ち止まっているのがわかった。 静かすぎてなぜか緊張してきた……。





 「テリブル伯爵当主とその娘、アグリー伯爵令嬢が入場致します。」

 その言葉と共に歩く音が聞こえる。



 「この度、めずらしいものを入手致しましたので、是非フェクト殿下にと思い参上させて頂きました。」


 「ふむ、それは楽しみだな。」


 「まあ!!フェクト殿下って素敵!!婚約者に加えて差し上げてもよろしくてよ?」

 うわぁ……相手王族なのにそんな言葉遣いでいいのかな。不敬すぎでしょ……。


 「ほう…私を婚約者に……?」


 「えぇ!!あなたなら筆頭にすることも考えてあげるわ。クレバー・ジーニアス様を筆頭に考えていたけど、公爵より偉いんでしょ?ならクレバー・ジーニアス様の筆頭は諦めるわ。」

 ヤバイヤバイ、絶対ヤバイ。 普通に返答に感情がこもってなかったじゃない。 気付け!!その蓄えた脂肪、脳内まで詰めてる場合じゃないでしょ!!


 「フェクト殿下、申し訳ございません!! アグリー!!少し静かにしなさい。どうしてもと言うから連れてきたが、不敬だぞ。王族は女性から選ぶことは出来ないって何度も伝えただろう?」


 「なによ!なによ!!お父様のバカ!!フェクト殿下だって私の魅力に気付いているはずよ?み~んな、私のこの豊満な身体を欲しがるんだから。」

 ポジティブが色んな意味でヤバイ……。


 「豊満ねぇ……。物はいいようだね。私からするとあなたの様な女性は周りにたくさんいてるね。うんざりするほど。あなたをわざわざ選ぶほどの理由はないね。」

 まぁ、そりゃそうだ。 王族なんてどの物語でも優良物件としてモテるのが基本だ。


 「他のブス達と同レベルだって言いたいの?!目がおかしいんじゃない?!」

 王子をおかしいよばわりは駄目でしょ……。


 「ちょっ!!ちょっと離しなさいよ!!私は女性よ?簡単に触れていい相手じゃないわ!!」

 あぁ、案の定豊満さんが退出させられるんだろう。 まぁ王族も無理矢理婚約者に出来たら、国なんか破滅しそうだよね。



 「あぁ、アグリー嬢。ちなみに私はあなたの様な性格ブスは嫌いだよ。」



 女性にそこまで直球に辛辣な言葉をいえるってこの世界ではすごいことじゃ……。 豊満さんの喚き声が段々と遠くなっていく……。


 「わ…私もこれで失礼させて頂きます。そちらの品は今回のお詫びになれば……娘が失礼致しました。」

 伯爵も出て行っちゃった……。


 「それで?伯爵が持ってきたものはなんだ?」


 「こちらでございます。」


 うわ!まぶしい!! ずっと暗かったから目がチカチカする……。












 『ギャーーーーーー!!イケメーーン!!』 「ブヒィーーー!!」

ブックマーク、いいね。ありがとうございます(。-`ω-)ノ


次回の更新は3日後か4日後に予定しております_(._.)_

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