ある同級生の祈りと衝撃
同級生が死んだ。 結構有名だったからTVでもニュースが延々と流れる。 TVを見ると母親は娘を失った可哀想な自分に酔って、父親はずっと娘の文句を言っていた。 ニュースでは犯人が捕まっていたが、犯行をずっと否定している。
大学でも妬みでブスって言っていたやつらが冷たい視線を浴びている。 大学全体が彩りを失くしたように暗い。
生前の彼女はとても生き辛そうにしていた。 小学校の頃から一緒だったけど、小さい頃はもっと感情が豊かだったと思う。 何回か言葉を交わしたことはあるけど、思いやりのある人だと思う。全く驕ることなく、他人を思いやれる。接したことがある人ならみんな好感をもつだろう。
ただ、あの容姿で良いところの子供だから面倒事もある。ずっと続く女子達の陰湿なイジメ、度重なる誘拐や事件に疲れてしまったのだろう。 小さい頃のような感情を出さなくなっていった。
テストで100点を取っても、大会で優勝しても、学校で一番のモテる男子に告白されても、ニコリとも笑わなくなった。
中学の頃、卒業式の日に両親を見たことがあるけど、母親はひたすら彼女をアクセサリーの様に他の母親に自慢し、父親は仕事人間なのかダメ出しをしていた。 あの完璧な彼女になぜダメ出しするのか理解が出来ない。
容姿端麗、文武両道、才色兼備。彼女の為にある様な言葉だ。
周囲がどれだけ褒めても彼女の心には響かなかった。 あの両親のせいでもあるんだろう。 でも、たまに図書館で人から見えにくい位置に隠れて本を読んでいるのを見たことがある。 図書館の端っこでこっそり本を読んでいたときの彼女の微笑みが忘れられない。
どうか来世ではあの笑顔が日常で出せる人生を送れますように……。
◇◇◇◇
なんだか懐かしい夢を見た気がする……。 何をやっても空回りした前世。 大学の図書館で誰にも見つからないように端っこで漫画や小説読んでいたなぁ。 本の中の世界は無限に広がっていて、なんて自由なんだと憧れていた。あそこが唯一の安らげる空間だったのかも。
教室に行くと遠巻きにじろじろ見てくる男子達と文句言ってくる女子達。 有名な家のせいで媚びへつらう教師。
家に帰るとずっと監視している様な視線を浴びせてくる使用人達。 部屋も隠しカメラだらけ。 決められたスケジュールをこなす毎日。
毎日のそれに限界がきて、確か大学の帰りにGPS仕込まれてそうなものを全部置いて塀から脱出したんだった。 そしたら誘拐されて…………なんだっけ?……。思い出せない。
もう!!魔法で何かされたせいで嫌な夢見ちゃったじゃない。 …………なんだか頭が痛い……。 起き上がり頭を抑えると硬い感触がした。
――――えっ?!
慌てて手を見ると蹄が視界に入る。
『――なにこれ!!』「ブヒィ!!」
えぇ!!!!今の鳴き声は豚になっちゃってる?! しかもなんか髪の毛と同じような色の肌だし……。
こういうの普通は定番の猫とかじゃないの?!
『なんで豚なのよーーー!!』「ブヒィーーーー!!」
長々と他者視点にお付き合いありがとうございます( `ー´)ノ
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