表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/47

愛のために(アグリー視点)

 あぁ、なんて素晴らしい日なのでしょう!! これで邪魔者はいなくなって、堂々とクレバー・ジーニアス様が私のもとへ。


 あの鶏ガラ、無理矢理婚約者にして!! 誠実な方だから鶏ガラの婚約者になる以前から紳士に振舞っていたけど、私にはわかったわ。あなたの熱い視線が。 これで私にやっと愛を請えるのね。 長いこと私のもとへこれずに待たせたもの。早く行かなきゃ。



 「クレバー・ジーニアス様、お待たせしましたわ。」

 ついでに胸元が大きく開いたドレスに着替えておいた。 これで彼も私にメロメロね。


 「アイリスはどこですか?」


 この期に及んで鶏ガラを気にするなんて!! まぁいいわ。 一応婚約者だものね。 いないか確認しないと愛を伝えにくいわよね。


 「帰ったわよ。そんなことより、ほら。今の私、魅惑的でしょう?あなたのためにドレスも着替えてきたのよ。」

 そう言いながらクレバーに近付き、胸を見せつけるようにして隣の椅子に座る。今までの婚約者はこれで私にメロメロよ。


 「アイリスが黙って帰るわけがありません。どこですか?」


 アイリス、アイリスうるさいわね!!


 「知らないわよ。気になるならどうぞ、探してもいいわよ。見付からないと思うけど。」

 自信たっぷりに伝えると、諦めたのかそれ以上何も言わなくなった。 これで愛を育む時間がくるのね……。 クレバーのそばに近付き肩にもたれようとした瞬間立ち上がって避けられる。


 「アグリー・テリブル伯爵令嬢、彼女に何かあったら許しませんから。私はこれで失礼させていただきます。」

 そう言って、すぐに出て行った。


 「まぁ、照れちゃって。今日のところは許してあげる。時間はたっぷりあるのだもの。うふふ。」








 ◇◇◇◇








 「お父様!!おかえりなさい!!」


 「おぉ、どうしたアグリー。めずらしいな迎えにきてくれるなんて。」

 驚きながらも、可愛い愛娘が出迎えてくれたことに感激し、アグリーの頭を撫でる。


 「そういえばお父様、欲しいものがあるの。」


 「なんだい?可愛いアグリーの願いだ。なんでも叶えよう。」


 「クレバー・ジーニアス様が欲しいわ。」


 「ふぅーむ……。なんでも叶えてあげたいが、あそこは公爵家だ。さすがに手出しは出来ぬよ。」


 「なによ!!なんでも叶えてくれるって言ったじゃない!うそつき!!」

 そこら辺にあったものを投げつける。


 「あぁ、可愛いアグリー泣かないでおくれ。出来るだけなんとかするから。」


 なんでお父様が公爵じゃないのよ!! 公爵だったら彼もすぐに手に入ったのに!!恥ずかしがって私を求めてこないから私から求めやすくしてあげているのに。 そうだ、公爵になればいいんだわ。 これも手に入れるための愛の試練ってわけね。


 「お父様が公爵になればクレバー・ジーニアス様をくれる?」


 「あぁ、公爵になれば王族以外は誰でも婚約者にしてあげれるよ。ただ、最近どうも王族に嫌われているようでなぁ。」


 「じゃあ、私が良いものをあげるわ。たまたま手に入ったんだけど、これを贈ればお父様の評価も上がるんじゃないかしら?こっちに来て。」


 さっきまで癇癪起こしていたのが嘘のようにご機嫌になったアグリーは父親の手を引いて物置部屋まで連れて行く。


 「これなんだけど、どうかしら?」

 アグリーの指を指した方向へ父親が視線を向ける。



 「ほぅ!!これは見事な……。さすがアグリーだな。なんて素晴らしい子なんだ。」


 これで少しは彼を手に入れやすくなるかしら。 あぁ、早くあのエメラルドのような瞳に見つめられて愛を請われたい。 




 早く私のもとへいらっしゃい……。

 次回も他者視点が続きます。 もう少しお付き合いしてもらえると助かります_(._.)_

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ