表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/47

足の短さは計算外

 馬車が停止した。やっと着いたみたい。長時間も美形と密室で馬車に揺られるなんて……。お茶会が始まる前から少し疲れてしまった。


 馬車の扉が開くとクレバーがすぐに降り、手を差し伸べてくれる。 これは漫画によくあるエスコート!! 馬車に乗るのも初めてだったのに緊張する。 


 「アイリス、ゆっくりで大丈夫だから。」

 戸惑っていたのに気付いたのか、声をかけてくれる。クレバーの手を取りゆっくり、ゆっくりと足を進める。順調だったのに、最後の一段が高くて私の短い足では降りるのが難しそうだった。戸惑っていると横からお父様のつけてくれた2人の護衛の内の1人が跪き踏み台にどうぞと言わんばかりに太ももを差し出してくる。


 無理、普通に無理!!私には人を踏みつける度胸なんぞない!!この世界では普通だとしてもこれは無理!! これならまだあの恥ずかしい方法のがマシ。 やるしかない、踏むよりマシなはず……。



 アイリスは意を決し、クレバーの手を離すと顔真っ赤にして跪いていた護衛の方を向き両手を広げた。

 「――あのっ!!……抱っこして…降ろしてくだ……さい……。」


 その瞬間、護衛の人が両手で顔を押さえて蹲ったまま動かなくなり、もう一人の護衛の人に引き摺られて行った。


 「ごめん、アイリス。段差が高いことに気付かなかった。僕が代わりに手伝うよ。」

 クレバーがそう言うと両手を広げてくる。 


 ――っど!!どうしよう!! クレバーに正面からまともに抱き着いたことなんてないから、恥ずかしすぎる!! 護衛の人はそれが仕事だと思ってお互い意識せずに出来るかもしれないけど、クレバーは婚約者だからちょっと違う気がする……。 


 アイリスが戸惑っていると、クレバーが太ももの後ろと背中に腕を回し抱き上げたので、クレバーを見下ろすような状態になる。


 この至近距離はヤバイ!! 鼻の穴とか見えちゃう!! 下からは駄目!! 二重あごに見えちゃうかもしれない! それは嫌!!


 アイリスは自分の顔が見えないようにクレバーにギュウウウっと強く抱き着いた。


 「――っ可愛すぎる……。」


 クレバーはそんなアイリスを気にすることなくそのまま横抱きにして歩きだした。 ビックリしてアイリスはクレバーをチラッと見るといつもの不機嫌そうな顔をしていた。


 「クレバー、もう下ろしても大丈夫ですよ?」


 「ほら、敬語に戻ってるよ。それに女性は別に歩かなくてもいいんだ。婚約者の僕に甘えてくれて大丈夫。……僕もその方が嬉しいし。」


 「でも、しんどくなったらいつでも下ろしてね?」

 そう言われたら、クレバーが満足するまで下ろしてもらうわけにいかなくなっちゃった。


 2歳しか変わらないのに力持ちだよね。私ならすぐ音を上げて下ろしちゃうな。 そんなことを考えていると、歩く揺れが気持ち良くて物凄く眠くなってしまう……。 














 アイリスが僕の腕の中で寝てしまった。この時間が長く続くようにわざとゆっくりと歩いている。テリブル伯爵家の使用人達から羨望の眼差しが突き刺さる。


 女性が移動中の腕の中で眠るのは愛情と信頼を受けている証拠になる。これを経験した男性はどれ程いてるのだろう。


 それにしても視線が鬱陶しい。 今、アイリスの寝顔を見ていいのは僕だけだ。 クレバーは見せつけるようにアイリスの額にキスをし自分の胸の方に顔の向きを変え、見えないようにすると周りを睨みつけた。








 使用人達は焦ったように目を伏せそのまま通り過ぎるのを待った。

 

 「なぁ、殺気とばしてこなかったか?」

 「やばいやばい。あのまま見てたら何が起こったか……。」

 「でも腕の中の子、ヤバイぐらい可愛かったよな。」

 「うちのお嬢様よりあの子に仕えたい……。あの子になら殴られても怪我しなさそうだし。」


 「「「……はぁ……。」」」



次回はやっとお茶会が始まります!

ゆっくり頑張ります(/・ω・)/


ブックマーク、いいね。ありがとうございます( `ー´)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ