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馬車の中でのお約束

 どうしよう。クレバーが隣に来てからどうしていいかわからなくて、何も会話が思い付かない。 顔を見てしまうとあの美形が至近距離にあるのがわかるから無理。耐えられない。


 「アイリス。僕が近くにいると嫌ですか?」

 クレバーの声だけで不安がっているのが伝わる。


 「いえ、違うんです。緊張してしまって……。」


 「僕の顔を見るのも嫌なのですか?」


 「――っ違うんです!それは……キャッ!!!」


 「大丈夫ですか?!」

 顔を見ようとしたら、突然ガタンと大きく揺れたせいでクレバーの方に寄りかかってしまう。守ってくれようとしたのかクレバーに抱きしめられている。


 「だ…大丈夫…です……。」

 なんてお約束の展開!!漫画でよくあるハプニングが自分にも起こるなんて!! か……顔が近い…。 どうしよう。 何も言葉が出てこない……。 

 アイリスは顔を真っ赤にし、クレバーと至近距離で見つめ合ったまま無言になる。


 「――ッ」


 クレバーが無言のまま、ゆっくりと顔を近付けてくる。


 ダメ!!まだ心の準備が!!! パニックになりギュッと目を瞑ったまま動けなくなる。






 「……ッ……ぅ……。アイリス、怖がらなくても大丈夫です。嫌がることはしません。」

 よし、耐えた。あぶない。抱きしめた状態の至近距離で顔を見たからキスしそうになった。僕こそ紳士教育し直すべきかもしれない。 でも、あの顔は反則だろう。 6歳でこの破壊力。 成人の15歳がきたらどうなるのか……。 待ち遠しいような、このままでいてほしいような複雑な感情が湧き上がる。










 恥ずかしい!!キスされるかもって自意識過剰になっちゃった!! まだ6歳の子供にそんなことするわけないよね。 前世の記憶があるせいで自分の年齢忘れちゃってた……。


 「もう大丈夫ですか?」

 クレバーが心配そうにしながら、抱きしめていた腕を離すとそっと私の頬を撫でる。


 「…あ……あの……。」

 頬を撫でられているせいで顔を背けない……。睫毛長い。瞳が綺麗。不機嫌そうな顔してる……。 

 アイリスが羞恥のあまり相手の顔のパーツを見ることで現実逃避をしていると、クレバーが頬を撫でるのを止めてじっと見つめてくる。


 「僕はアイリスともっと仲良くなりたいです。なので、お互いに敬語をやめませんか?」

 そう言うと頬を撫でていた手でアイリスの髪の毛を掬い口付けをする。


 「……は…い。頑張りる……。」

 最後噛んじゃった!! 頑張りますと頑張るが混ざって変なこと言っちゃった!!


 「――ックク。いえ、すみません。ク……ふふ……。」

 クレバーが笑いを堪えようとしているけど、全然我慢出来てない!! 美形が笑ってもただキラキラしてるだけだから!!


 「もう!もう!クレバーのバカ!!」

 恥ずかしくて顔をプイッと逸らしクレバーを見ないようにする。


 「すみません。アイリスが可愛すぎてつい……。お詫びになんでも言うことを聞くよ。だから、許してほしい。」

 私の両手を取って少し困ったような声で言ってくる。 婚約者筆頭になってからよく触れてくるようになった気がする。 これも筆頭の権利なのかな。 でも、クレバーが無理強いすることはない。いつも気遣ってくれているのがわかる。そう考えるとやっぱりクレバー以外の筆頭は嫌だなって思った。


 「本当になんでもいいの?」


 「僕に可能な限り。」


 何をお願いしようかな。これからお茶会だし、多分知らない男の人もいっぱいだよね。クレバーが傍に居てくれたら関わらなくて済むかな。婚約者筆頭だし、傍に居てもおかしくないよね。


 「じゃあ、今日のお茶会のときずっと傍に居てくれる?」

 そんなことを言うのが少し照れてしまい、もじもじとした感じになってしまった。


 「――ありがとう!!嬉しいよ!!」

 

 美形の破顔が目にぶっ刺さる。 お父様で結構慣れたと思ったのに、イケメンの笑顔は胸にくる。




 でも、これでお茶会は安心出来る。頑張るぞー!!


いつも読んでいただきありがとうございます(*´ω`*)


まだまだ猛暑が続きますね、皆様も体調には気を付けてくださいね(/・ω・)/

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