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素直な彼女(クレバー視点)

 アイリスが俯いたまま反応がなくなってしまった。少しやりすぎたかな?







 僕は手紙が来た日に父上から興味深い話を聞いた。

 「クレバー、知ってるかい?アイリスはエリクの教育方針のおかげで色々なことが純粋で無知なようだ。」


 「カーテシーの存在を知っていたんだから無知とは思わないけど……。」


 「全体が見えてないね、クレバーは。アイリスは知識が偏っているよ。簡単に言うなら勉学は出来るけど、恋愛は知らない。みたいな感じだね。」


 「はぁ…。」

 父上は何が言いたいんだろう。婚約者がいたことないんだから当たり前じゃないか。


 「そうだね、わかりやすく言えばクレバーがアイリスに正式の挨拶をしたとき、彼女の反応はとても可愛らしかっただろう?あれがアグリー嬢だとどうなると思う?」


 確かに。あのときの顔はとてつもなく胸にくるものがあった。女性が恥ずかしがるなんて聞いたこともなかったからあの表情が忘れられない。


 アグリー・テリブル伯爵令嬢に挨拶をしたことがないからわからないけど、彼女の婚約者がしているのを見たことは何回もある。反応が良くて視線が合う、機嫌が悪いときは扇子で顔を殴っていたな……。

 彼女は感情が豊かなところが人気の秘密だ。他の令嬢は滅多に殴らないけど、水をかけたり物を投げつけたりはしていた。全身で感情を表現する彼女はストレスがかかっていない良い環境だと称賛されている。




 「私が言いたいことがわかってくれたかい?要するにアイリスは真っ白で、自分の思うように染めることが出来る女性ということだね。」


 「……僕の色に……。」


 「クレバー、今の顔を鏡で見てみるといい。想像だけで顔が真っ赤になっているよ。興奮するのはわかるけど、逃げられないようにほどほどにね。」


 楽しそうな父上の顔に腹が立つ。自分でも想像だけで興奮してしまったのはわかってる。 アイリスが常識とは違うのはなんとなくわかっていたけど、自分の思うように……彼女を……。






 「はい!妄想はそこまでにしようか。クレバーが私のところに来た用件はこれじゃないんだろう?」

 父上は手を叩くとさっきまで楽しそうな顔を引っ込め、真剣な表情になった。


 「はい。アイリスからの手紙で知ったのですが、アグリー・テリブル伯爵令嬢が彼女をお茶会に誘ったようです。」


 「へぇ。『仲良くなりたい』は、まずないだろうね。テリブル伯爵は最近良くない噂が耳に入る。」


 「あそこは称賛されているのでは?」


 「噂には表と裏があるんだ。小さな情報の中に隠れている真実はたくさんあるものだよ。」


 父上のもとにはたくさんの情報が耳に入る。それを僕の耳に入れるということは少なくともその良くない噂は真実なのだろう。


 「私もテリブル伯爵をよく見ておくよ。クレバーはアイリスに送るドレスでも選んだら?彼女なら、お願いすれば自分の色を纏ってくれるかもね。」


 父上はそう言うと仕事の邪魔だと言わんばかりに僕を退出させた。


 ドレスか……。僕の色を纏ったアイリスを想像するだけで顔がニヤけてしまう。彼女は無垢だ。何も知らない。僕が全てを教えてあげれるんだ。 気付かないようにゆっくりゆっくりと僕の色に染めて僕だけのものになればいい。

 




 ◇◇◇◇




 


 隣に座るとよくわかる。小さい、可愛い。何か香水ではない良い匂いがする。 髪の毛は輝いてサラサラしている。 触れたい。 抱きしめたい。 

 まさか素直に僕の色を全身に纏ってくれるとは思わなかった。 どれかひとつでも使ってくれたら嬉しい程度に一式贈ったのにまさか全部とは。 全身、婚約者の色を纏ってくれる女性を見たことがない。 

 ただアイリスは全身に纏っている意味を知らないのだろう。 






 『あなたのもの、あなたしか見えない』


更新お待たせしました!

ブックマーク、ありがとうございます!!(*´ω`*)


ゆっくりと頑張ります(。-`ω-)b

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