それぞれの予感
お披露目パーティーが終わってから約1か月。あれからクレバーはかなり忙しいらしく、手紙のやり取りしかしていない。友達がいないから手紙で他愛もない会話をするのが楽しい。
「アイリスお嬢様、お手紙が届いています。」
そういって渡される手紙が2枚。いつも1枚なのに誰だろう。中を開けて見る。
「げっ!!」
豊満さん、もといアグリー・テリブル伯爵令嬢だ。お茶会のお誘い? 仲良くないのに? 意味がわからない。
「ねぇ、オーディ。仲良くない女の子からお茶会のお誘いきたんだけど……。」
「お嬢様が行きたくなければお断りすればよろしいのですが、仲良くなりたい時にもお誘いがくる場合がございます。」
「そうなんだ。知らなかった。」
仲良くなりたいのかな?本当?最後すごい睨んできてたけど……。もしかして女友達がいないから扱いがわからなかっただけなのかな。 それなら一度行ってみようかな。クレバーにも一応伝えておくべきだよね。早速、手紙の返事を書く。
「オーディ、この手紙を今日中に出してもらってもいい?」
「わかりました。直ちに。」
◇◇◇◇
「なんだって?!」
アイリスからの手紙がきたと思ったら、アグリー・テリブル伯爵令嬢からお茶会の招待? アイリスは行くみたいだけど、絶対に何かある。あの彼女が仲良くなりたいと思うわけがない。これは父上に相談しなければ。
「父上に会いに行く。先触れを出しといて。」
「はっ!!承知しました。」
◇◇◇◇
「アイリスお嬢様、クレバー・ジーニアス様から贈り物が届いています。」
そう言ってオーディは少し大きめの箱を置き、中を開けてくれる。なんだろ?
「わっ!!綺麗なドレス!!可愛い!」
中にはメッセージカードと綺麗な緑色のドレスと髪飾りと靴がセットのように入っていた。
『アイリス、いつもお手紙をありがとうございます。僕の我儘で申し訳ないのですが、今度のお茶会にはぜひこれを着て行ってほしいです。』
全然我儘じゃないよ!!何もくれずにこれ着てあれ着てっていうなら嫌だけど、こんな素敵な物を贈ってくれているのだし。お茶会楽しみになってきた!!
「オーディ!お茶会のときこれ着て行ってもいい?」
「よろしいのですか?無理に着用する必要ありませんよ?」
「うん、これがいいの。こんなに素敵なんだもん。」
「承知しました。」
それにしても綺麗な緑色だったなぁ、なんだかメロンソーダが飲みたくなってきちゃった。でもこの世界には炭酸ジュースがないんだよね。唯一あるのはシャンパンだけど、ジュースとは作り方が違ったはず……。どうやって作るんだったかなぁ。
「アイリス、入るぞ。」
めずらしくお父様が部屋にやってきた。どうしたんだろう。
「お父様、どうしたの?」
「いや、アイリスがお茶会に行くって聞いてな……。本当に行くのか?」
「うん。もしかしたら、本当は仲良くなりたいのかなって。嫌われてるって決めつけるより一度参加して自分の目で確かめてみたらわかると思ったの。」
お父様が頭を撫でてくれる。
「そうか。アイリスがそう決めたなら行ってくるといい。ただ。念のために護衛はつけるからな。」
「うん、お父様ありがとう!!」
アイリスの部屋を出て執務室に入り、誰もいないのを確認する。
「シーク」
「ここに。」
「アイリスにバレないように当日、影を数人つけてくれるか?」
「承知しました。」
シークが行ったのを見送る。
「何もなければいいが……。」
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