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小鬼たちのお引越し

静子はおじさんに家の鍵を返しにいった。

「ずいぶんかかったなぁ」と鷲ニおじさんは、静子に言った。

「縁側が気持ちよくて、眠ってしまって」

と言うと鍵を差し出した。

深くお辞儀をして、「また来ます」というと、玄関の扉を開けて出た。

おじさんちの角の電柱で和昭と2人の小鬼は待っていた。

「行こうか」

和明は言うと、ガンダルンダとノルンダルンを持ち上げて、ガンダルンダを静子に渡した。

「ガンちゃん。今日からよろしくね」

そう、静子が挨拶するのもそっちのけで、

「静子!早く行こうぜ。おまえんちどんなだ?ビルか?高い城か?」と言ってきた。

和昭が横から

「ボロいアパートだよ」

と笑った。静子が苦い顔をしている。

ノルンダルンはおとなしく和昭に抱かれて喜んでいた。

「さっ行こう」

和明は車で来ていた。車は、祖母の家のそばのパーキングに停めていたので、そこまで皆で向かった。

パーキングについているほのかな灯りが、和昭のワンボックスを照らしている。

鍵があく音がすると、

「なんだ?!なんだ?!」とガンダルンダが騒いだ。静子が後部座席の扉を開けてガンダルンダを入れた。続けて静子がはいる。

最後は抱いていたノルンダルンを和昭がいれて、和昭が運転席に着けば全員乗車完了。

「静子んちと俺んちが遠くなくてよかったな。先に静子んちいくから」と和昭がエンジンをかけながら言った。

ガンダルンダとノルンダルンは両方の窓を見るように立ち上がっていた。

「すごいねぇ!ガンちゃんキラキラしてるねぇ」

「おおう!星みたいだな」

2人は、もうすでに暗くなっている景色を楽しんで、はしゃいでいた。

すると、静子があかりの中にある看板を見た。

「ちょっと和昭さんドンキやってる寄って!!」

和昭はその声に反応して進路を変えた。

中央分離帯のある交差点を右折したと思いきや、Uターンして店の駐車場に入った。

「3人はここで待ってて、すぐ行ってきますから」

静子はガンダルンダをどかすと、車内を出た。

車内を出る時、ガンダルンダとノルンダルンは顔を見合わせて怪しい笑いをした。そして分離した2号機を2人は出すと、静子の背中に2号の2人は飛び乗った。

「な、なんか、背中重い」静子は店内に向かいながら思っていた。

車内で2人はクスクス笑っている。2人を監視している和昭は「なぁ〜にわらってんだぁ?」

と、電子系のタバコを吸い始めた。

「おっ!なんだそれ!うまいのか?」

ガンダルンダは言った。

「俺のエネルギー源だよ。お前達には不要なもんさ」

和昭の話などそっちのけで、ノルンがガンダルンダに何か言いはじめた。そのまま2人はコソコソコソコソはなしている。

和昭はなんだ?と思いながら、とにかく見ていた。

すると ノルンダルンがいった。

「静子帰ってくるよ」と口を押さえて笑っている。

はぁはぁ息を切らせた静子が戻ってきた。

後部座席のドアをつかれたように開けると、どかっと中に入って座った。

「どうした?!」

本当にどうした?!と言う思いで、後ろを振り返り言った。

「どうしてもこうしたも背中が妙に重くて、物凄く疲れた。購入した荷物の中にも飴やらおもちゃやら知らない間にいろいろ入っていて、もう埒開かないから全部買ってきちゃった。」

「何を買いに行ってんだ?」和昭が尋ねた。

「とりあえず外に出るのに、この子達の必要なもの。あーなんかものすごく疲れた」

小鬼2人は笑っている。

そして静子の買ってきた、袋に入った荷物を2人でガサゴソあさりはじめた。

車の中は小鬼2人が興奮の大賑わいだった。

静子のうちに着いた。

夜なので、人気(ひとけ)もない。

和昭は車を降りて2人を抱えると、走って静子のマンションの入り口に入った。エレベーターに乗り、静子の家に急いで入ると、静子は買った荷物を広げはじめた。

「さっ 小鬼ちゃんたち、服、服、服着ましょう。ノルンちゃんは和昭さんところに行くんだから、余計に今から着ていかないとね」

静子は何気にルンルンで楽しそうだった。

子供服なんて、贈り物以外買うことがない為、それだけでも楽しい。

だがこれが未婚の静子というわけではなく、一般的にも、小さいものは精巧に出来てる為、世代関係なく可愛いく思えるものだ。

ガンとノルン2人に服を着せた。

ついでに帽子も被せると普通に幼児?になる。

ひと通り静子の家で終わらすと

和昭は帰ろうといった。

「ノルンついてこい。」

靴を履き、家を出た。静子もガンダルンダも見送るために外に出た。

車に乗り込み帰る2人に、静子とガンダルンダは手を振った。

「バイバーイ」と静子は言った。

和昭の車内では、後部座席にシートベルトされてノルンが座っていた。

「ガンダルンダと離れだけど大丈夫か?」

ノルンは笑っている。

「大丈夫だよ」とノルンはいった。

大した時間の経過もなく、和昭の家に着いた。

和昭の家は昔ながらの古い家で、知り合いから潰すわけにもいかないからと、頼まれて住んでいる。1台分の駐車スペースもありガレージの中にある扉を開けると家に通じていて入れる。

和昭は車を停めると、家に入るその通用口の鍵を開けに出た。入り口を開けた途端和昭の横を颯爽とかけ足で入っていった者がいた。その後からまた、和昭の横をノルンがはしる。

「?」

そうしてるうちに、ガチャッと車の鍵がかかる音がして、和昭は家の中にはいっていった。

ドタバタはしりまわっている。

「ノルン!どこいった。」

和昭が少し大きな声で呼ぶと、

「ノルンは隠れたよ」

とガンダルンダが和昭の傍にいて教えてくれた。

「そか。」一瞬晴れやかだったが、すぐに気づいた。

「?おまえ、ガンダルンダ?!何故ここに!」

和昭がそういうと、

「俺!これからかくれんぼすんだから」と奥に走っていった。

「おいおいおいおい。」

和昭はその場ですぐに静子に電話をかけた。

「そーなのよ。一緒に並んで車見送ったと思ったら、車の中から手を振る彼らが見えたわ。2人一緒のがいいわよ。じゃよろしくね和昭さん」

戸惑う和昭「2人も見れるのか?!おれ」と言いながらも、別れされることにしたのは間違いだったと思っていた和昭でもあった。だが正直暴れん坊の2人と暮らせるのかが心配だった。

「そうかぁ〜よくよく考えれば、ばあちゃんが2人見てたんだもんなぁ」

と、自分には出来ると思い込みに入っている和昭だった。

「「もういいよぉ〜もういいよぉ〜」」

2人して同じことを言っている。

その、しきりに叫ぶ2人の声が頻繁に和昭の耳に入ってくる。

「誰が探すんだよ。。。あっ、おれ?!もしかして俺かぁ」

いきなり子供2人の親になったような和昭であった。


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