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ガンダルンダとノルンダルン

暗がりの玄関で2人と鬼2人が神妙な面持ちで佇んでいる。

そんな時、和昭が最初に口を開いた。

「鬼AとB 光は大丈夫か?」

小鬼はいった。

「「大丈夫」」2人同時でハモった。

すると弱そうな小鬼の方が

「プククっガンちゃん一緒だったね」

と笑いを抑えるように口元に両手を置いていった。

「静子。鬼AとBを連れて居間いこう。電気つけて」

静子は少しまだ躊躇いがあるような口調で

「う、ぅん」といって、家に再び上がり居間に向かって居間の電気をつけた。

和昭は、小鬼たちに静子の行く方に行けと言った。

小鬼たちは、2人ですでに後ろにいる和昭を見て「「鬼ごっこぉーwwww」」と走りだした…ところを和昭の両手が伸びて逃げられなかったので居間まで、しくしく泣いて歩いた。

静子が押し入れから座布団を出している。

それを見た小鬼たちは押し入れに走って飛び込んだ。

「これ、使っていいのか?いいのか?」

小鬼の元気な方が静子に聞いた。

「えっ、ええいいわよ」

そういうと、嬉しそうに3枚ずつ和昭から相向かい側に持っていった。

何度かふたりは往復して持っていって重ねていた。

「これくらいあればいいか?」

手伝うそぶりに静子も緊張がとれて、すっかり2人のことが可愛くなっていた。

結局、和昭も静子も、もちろん座布団は一枚で、小鬼2人は重ねられるだけ重ねていた。

「面白いねガンちゃん。うふふふ」

「あまえら小さいなぁ。wwww」

そう、笑っているふたりだった。

小鬼たちはテーブルを挟んで、

相向かいにいる。

「おい。本題に入るぞ!お前たちは何だ!何者だ」

声を上げる和昭。そして少し見上げる和昭。

静子も隣に座ってじっと2人を見ていった。

「よかったら、お名前もおしえてくれるかしら?」

静子も少し見上げた。

ケラケラクスクス笑っている。

「ガンちゃんから言ってw」

「ん。仕方ねぇなぁ。俺はおいの、鬼のガンダルンダという。」

「ふふふふガンちゃん、おに、だよ間違ったね。僕は、ノルンダルンです!」

この状況を楽しんでいる、小さい2人の名前がわかった。

「ガンダルンダとノルンダルン。なんでこの家にいるんだ?」

和昭は直球で2人に聞いた。

するとガンダルンダの方がすぐに答えた。

「ばあちゃんが俺らのいた祠の石蹴ったから」

静子は笑った。

静子の中で何か思い当たることがあった。

「和昭さん、ほら覚えてない?どのくらい前だったかなぁ、ばあちゃん、鷹一おじさんと少し言い合いした時あったじゃない?裏の祠のそばで転んで腰打って運ばれたやつ。あれ、もしかして、ばぁちゃん頭きて石蹴って転んだんじゃないかしら。その時かも。」

静子は和昭の方を向いて当たったかのように興奮して言った。

まだ、静子の憶測の段階だからわからないのに、すっかりそれだと思い込んでしまっていた。

「おい、そこのエッチなやつ。お前違う」

ガンダルンダが静子に指差していった。

静子は赤くなる。

和昭はガンダルンダにいった。

「おいなんださっきから、エッチなやつって。俺が言われるならまたましも、なんで静子が?!」

静子はその場から立ち上がりたい思いで赤くなっていた。

和昭がとなりにいる。

あーまずいなぁと静子は思っていた。

一つ大きくため息をついた。

するとガンダルンダがいった

「なぁー見たもんなぁ。台所でおかっぱの男とあふあふしてた。」

「ねぇー」とノルンダルン。

その時の静子をガンダルンダが真似して2人は笑っていた。

和昭は理解した。

「お前なぁ、またかよ。あんな女癖が悪い奴に」

「…。う。」

男に弱い静子に女癖が悪いあの秘書。

集まりのたびに、静子にくっついているのは和昭も知っていた。

静子は美人で欲には弱いところがあるのは、男としてはありがたいが、危なっかしさはピカ一だ。

そう言うところ、すぐつけ込まれるタイプだ。

静子は大人しいと言うと聞こえはいいが、男としては意思表示が弱いのはのちのち面倒くさい。

従兄弟であるから、強くも弱くも言えるだけだけれども、そんなことを言っていても、和昭にとって親戚の中で付き合いやすさは1番だった。

「ねぇ、遊ぼうよ。」

ガンダルンダが2人に向けていった。

続けてノルンダルンも

「おばあちゃんがいなくなっちゃったから、2人増えたから楽しくなるね。ガンちゃん」

2人は座布団を降りようとした。

「おい、ばあさんはお前たちのこと知っていたのか?」

ガンダルンダとノルンダルンが座布団からおりながら顔を見合わせてノルン『省略』がまず口を開いた。

「そーだよ。おばあちゃんが、僕らを祠から出してからずっと遊んでたんだ。」

続いてガン『省略』が

「死なない方法いったのに、ばあちゃん死んじゃうし。つまんなくなっちゃったよね」

静子は正座していた足を崩した。

小鬼2人は座布団から降りられると、降りるのが面白かったのか、また登り始めていた。

和昭は考えていた。

[この家は鷲ニおじさんの家だ。ハウスキーパーがたまにと言っても、この2人が誰かに見つかってしまったら大変だ。しかもこんな面白い2人ここに置いとくわけにはいかない。]

登れると思っていた座布団が、横倒しに波のように倒れていった。小鬼2人は、楽しそうに波のように倒れていく座布団と一緒に倒れて喜んでいた。

「おい、お前。エッチじゃない方。俺たちと遊ぶか?」

ガンダルンダが倒れた座布団にうつ伏せになって和昭を見るなり言った。

その前に静子が言った。

「もう。…私は静子です。静子。私の名前は静子よ」といってテーブルに身を乗り出して相向いにいる、崩れた座布団にうつ伏せの小鬼たちに言った。

「俺は、かずあき、という。お前らの親分になる男だ」

静子は和昭を見た。

恥ずかしい。そう静子は思った。

「親分?親分だってよぉ」

ガンダルンダがいった。

「おやぷん?」ノルンダルンが続けていった。

静子はおかしくて笑ってしまった。

「おやぷん。wwこの後はどうするの?この2人そのままにしておけないでしょ?」

静子が和昭も考えていたことを話してきた。

しかしどうするか?和昭も答えを持っていたわけではない。

この鬼たち、祠とか言っていた。もしかすると、ここでしか暮らせないかもしれない。

和昭は迷った。

考えていても仕方ないので、みんなで話し合うことにした。

「お前たち、静子。これからを話し合おう。」

和昭は言った。

鬼2人は「「鬼ごっこ?」」と遊ぶ気満々だ。

そんな小鬼たちにむけて、和昭は話した。

「鬼たち、お前たちはこの家から離れても暮らせるのか?この家じゃないとダメなのか?」

小鬼たちは和昭たちを見た。

「俺たちはどこでも暮らせる。鬼だからな!怖い鬼だからな!」

ガンダルンダはいう。

ノルンダルンは笑っている。

「そうか、どこでも暮らせるのか。じゃあ、2人離れても大丈夫か?例えばガンダルンダは静子のうちに住んで。ノルンダルンは俺の家とか離れることになるが大丈夫か?」

2人は顔を見合わせた。

そして何やら内緒話を始めた。

クスクス笑う2人にもう一度言おうとしたその時、バラバラになった座布団の上を2人はジャンプし始めた。

「「ダンダンダンダン」」とリズムに乗ってジャンプし始めると、半透明な小鬼の分身が出始めた。

そうこうしている間に、居間を埋め尽くすほどになってしまったので、和昭は声をかけた。

「ちょっとちよっとまて。これっ、これは、どういうことだ。」

「「「「「僕らは離れていても、一緒になれる。気持ちは一緒、身体も一緒」」」」」

要は、2人別れても、別れてないのと一緒な状態でいられるということなのだろう。

和昭はそう理解したので、2人をそれぞれ分けて、預かることに決めた。

「静子、良いよな。お前はガンダルンダ連れてってくれ。なんかお前ら相性良さそうだから ww」

静子は和昭には苦い顔をしたが、ニコニコしている小鬼2人を見て内心喜んでいた。

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