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小鬼達と護るものたち

「おい、ガンダルンダ、ノルンダルン隠れてないで出てこい。」

和昭は仕方がないと心に決めた事で、小鬼2人を呼んだ。

だが、なかなか存在を現さない。

静子は下を指さして和昭にいることを訴えるが、小鬼2人は姿を見せなかった。

「あっ!」

静子が声を上げる。

2人は見えないながらも強い力で静子の両足にそれぞれがしがみついていたようだった。

「若者よ、大丈夫だ。わしの前でどんなことをしても無駄だ。主らには見えてはおらぬだろうが、わしには無理だ。あの2人もそんなことはわかっているはずだろうに、無駄な抵抗をして。お嬢さんには悪いが、引き剥がすことも容易い。お前達、この娘がどんなことになってもいいのか!こちらにでて来なさい」

そう言い終わってしばらくすると、じんわりじんわりと2人は姿を現し始めた。

2人ともチップスの袋を抱えて、しょんぼり立っている。

(あれ?あいつらいつの間にまた菓子を、さてはずっと菓子を食うために隠れていたのか)

そう思った和昭だったが、逆にそれがまた2人への思いをかえって膨らました。

(くそぉこいつらの好きなもんいっぱい持たせてやりたかった)

心の声が増えていく。

静子も同様にいろんなことを考えていた。

家に揃えてある、この2人の服やおもちゃに、たくさん折った折り紙。

思い出すたび2人の心は痛んだ。

すると、ガンダルンダが菓子の袋の中に深く腕をいれ、小さな手一杯につかんだお菓子を口に放り込んで言った。

「いばばくばい。」

そこらじゅうに菓子が飛び散る。

なにやってんだ?と和昭は拍子抜けした顔で見ていた。

「帰らない。向こうにも僕達いるし問題ない。大鬼神(だいきじん)さまわかっているはず。僕達は和と静子といるのとても楽しい。だよね、ガンちゃん」

いつもガンダルンダの横で、おとなしくしているノルンダルンが、キリッとした顔つきで、真っ直ぐな思いをはきだした。

そんな思いをはき出したノルンダルンの姿に、和昭と静子は驚いていた。

そしてそれを聞いた鬼神は、周りの者達に気を使うことなくその大きな身体でまたひとつため息を吐くと、落ち着いた表情と言葉で、小鬼2人を諭すように話し始めた。

「ガンダルンダ、ノルンダルン。お前達はこの世界の者ではないだろう。この世で生きては行けない存在なのだ。この世には摂理がある。それをお前達も、わかっているだろう。

人の命は有限だ。命の時間を脅かせば必ずそこに歪みが出る。生きる事に視点を置くのは生きている者なら誰しも思うだろうが、脅かす事は天が許さぬ。送り出す魂あれば戻す魂あり。現世を去らなければならない命を繋ぎ止めるという事は神に背く大きな大罪だ。お前達の優しさはもう既に大きな大罪を犯してしまっている。あるべきところに収まり、お前達が愛する者達への役割を果たせ」

「「いやだ!!帰りたくない」」

鬼神の話より、お菓子を食べる方に意識を向けていたのか、2人は口の中いっぱいの菓子を吹き出しながら大きな声で訴えた。

「「いやだぁぁ!」」

「無理だ」

しばらくこのやりとりが続き、周りが唖然とし始めた頃だった。

いきなり周りがキラキラと輝き始めた。

そして白ではなく、金にも銀とも違う、とにかく美しい光に包まれ始めた。

その光はあっという間に広がり、目がチカチカする空間へと変わった。

黄金に輝く光が、人や物を吸収して行くように隠していく。

「ここはおじさんのいえなのか?」

遊園地の時、異空間にいった和昭は、この世の感じではない空間にまたきてしまったのかと、そう思わずにはいられなかった。

少し心に怖さを感じていた。

光に覆われるとなぜか周りの声や、人がいる気配がなくなった。

「まさか自分だけまた移動?なんで?…。」

焦りはじめた和昭だった。

すると、そんな心を察したように耳元に、まるであたたかな音楽でも流れるように、すーっと声が聞こえてきた。

「 大丈夫。心配なさらないで。

初めまして、私はあの子達の母です。2人が大変お世話になりました。」

あたりは何もない光の空間で、一人ぼっちになったような気分でいた和昭の頭の中に、今度は小さく静子の声がきこえてきた。

「なにこれ!」

「しず…」

静子の名前を呼ぼうとした時、その声は静子にも向けられた。

「静子さんあなたも。

あの2人を大切に扱ってくれてありがとう。」

静子の姿が和昭にも見えた。

「あの子達2人の楽しそうな声が聞こえていました。あなた達の様な人間に愛されたあの子達は本当に幸せです。ありがとう。永い間、あの子達のことに目を瞑ってきましたが、そろそろ潮時です。」


「魂と浄化の番人ガンダルンダ。魂と時の番人ノルンダルン。あるべき場所に戻りましょう」

吐息を吹きかける様に話した最後の文字が終わる時、体全体を覆いたくなるほどの強い光が放たれた。

顔を覆いよじる体に感じた光のなかに、寂しさの入り混じった光の痛さ感じた。

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