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71話 二度とこないと思ってた

「ここは……」

「す……少し新しい魔力補助のアクセサリーを見たくて……ですね」

 ふと建物の外観を見上げると大きな看板に店名と思しき文字。もとの世界でもそうだったけど、店名となると造語が多いせいか文字列は不思議と分かっても意味は今一つ分からない。言語認識って本当に不思議だな。

 勝手に店前で感心している俺を他所に彼女はそそくさと店内へ消えていく。見失わぬようにと俺もついていくのだけれど、ちょっと場違い感が否めない。

 置いてある商品は耳飾りが中心のようだが、中にいる客が悉く女性客である。……まぁフィリアは性別上は男だけど、この見た目だしな。


「ミヤトさんも興味ありますか?」

 特に深い意味もなくその商品一つ一つを眺めていたところ、後ろからひょいっとフィリアが顔を覗かせてきた。一瞬ドキッとしつつも応対する。

「えっいや……」

「このアクセサリーは防具もかねてますからね! 冒険者として選ぶのは一つ手だと思いますよ!」

「え、これで防具?」

 曰く、この耳飾りには魔力が込められている……という事らしい。それこそ手で握ったらそれだけで破壊してしまいそうなものなんだけれど、本当にそんな特別なものなのか?と疑ってしまう。


 ……いやまぁフィリアが普段着ている服にしたって似たようなものか。それこそ今の服もハサミ一つで簡単に裁断できそうだし、魔力が込められていることと、この耳飾り自体の強度は別なんだろうな。

 それで言うならちょっとした衝撃で知らず知らずのうちに破損してそうだと思うけど。まぁ少なくとも自分がつけるには不向きな気がするな。

「俺の場合近接戦闘が多いからどうだろうな」

「まぁ無理してつけるものではありませんから……私にしたって実際、効果自体はついでな部分もありますし」

 そう言いながら彼女は自らの右耳を指し示す。はっきりとみれていなくて今更気づいたけれど右耳にだけピアスのような小さい耳飾りをつけていた。

 本当にワンポイントレベルのサイズ感だからだろうか、気づけなかったのは。


「この耳飾りには魔力タンクの効果があるんです」

「そのサイズで……?」

「勿論容量自体は大したことないですから本当にいざという時の保険くらいですけどね」

 それこそ小指の爪よりも小さいというのに。

 フィリアはそんな説明だけしてから自らのアイテムを探さんとまた店のどこかへ消えていく。


 その後も幾つか商品を見ていた。特に理由もなく、本当に何となくで。

(これ耳に着けるのか……)

 明らかにオーバーサイズとしか思えない耳飾りまである。まぁ元居た世界でもたまに見た記憶があったが、ファッションという物はどこの世界でも似たり寄ったりなのかな。それとも、防具としてこのサイズ感にも意味があるのかな。

 それこそフィリアが言うにはさっき見た小さいサイズでも魔力タンクだというし、これもタンクとしてみるのであればその分大容量だったりするのかな。


「ちょっとどいて」

 背後から声を掛けられる。フィリアの声、口調ではないことは明瞭であった。まぁ当然俺達以外にも客はいるわけで……邪魔にならないように、とスッと横へよける

「ああ、すいません」

 そんな一言を添えつつ、後ろ側をみつつ。

 次の瞬間には言葉を失っていた。シンプルに、驚いて。


「……!」

 その姿を一目みて誰か分かる。それくらいには最低限の関係値であるから。

「えなんで……」

「なんでって、買い物」

 そこにいたのは、異世界人。

 月堂蓮その人である。


 いや別に彼女にしたって年ごろの女性である。こういったファッション系列の店にいても何ら不思議ではない。そういう類に無頓着という質にも見えないし。けれどもこの広い街の中で、しかもこんな場所で会うとは思ってもみなかった。


「邪魔」

 驚き放心している俺に対して、そんなことを言っては自らの腕でもって俺をどけてくる。こちらはこんなに驚いているというのに、レンの方は相変わらずといった反応で少し悲しくなる。ちょっとくらい驚いてくれてもいいじゃないかと。

「ミヤトさ……ん゛!?!?」

 会話と言えないほどの会話をレンとしていたところに、ちょうどフィリアが戻ってきた。俺及び隣にいるレンの姿を見てやはり彼女も驚きの声をあげる。何なら俺の時よりもリアクションとしては大きい。


「な、な、何故っ、いつの間にデートなんて!!?」

「いや普通にたまたま居ただけで……」

「デートしてたのはあなた達じゃないの?」

 焦るフィリアに対していたって冷静沈着なレン。その言葉にフィリアもはっとして落ち着きを取り戻す。


「そ、それもそうでしたね……私は一体……」

 まるで洗脳でもとけたかのような一言を吐いていた。凄く当たり前の事実にすら驚いている。彼女の方が色々と驚かされる要素が多いはずなんだがな。何にせよ、レンとは関わりこそあれど今はたまたま外で出会っただけの他人に過ぎないのだ。そう、気にしなければいいのである。

「お、俺達まだ買い物の途中なんでこの辺で」

 なんてありふれた台詞でもって再び彼女と別れようとする。

 ……のだけれど、まぁ店内のサイズ感というか、言ってしまえば狭さもあってずっと彼女とは目が合う形になってしまっていて、逆に気まずい状態かもしれない。それでもやはり気にしなければいいのだ、そうだ、と只管意味もなく自分自身に言い聞かせていた。


「あ、あっちの方見てみない?」

 そう言ってぐいと彼女をひっぱる。それは店の最奥の方。少しでも彼女と距離を取らんするための行為。

「えっ、あの構いませんが……ていうかミヤトさん、宿ではレンさんに対して色々考えてませんでした?」

 まぁその通りではあるんだけど、いざ対面するとどうしても気まずさとか気恥ずかしさみたいなものが競り勝ってしまった。許してほしい。


今度はドラゴンボールの新作で書けなくなってました。そろそろまた頑張って再開したい

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