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41話 お礼の為の克服を

「チェーニさん、ありがとう」

 彼女の方を向いてお礼を言った……のだけれど。

「ひっ……は……はぃ……これく……ぃ……べ、別に……」

 言葉遣いというか話し方はすっかりもとに戻ってしまった……ってそうか、俺がいるから、そうなるのか……中々面倒なトリガーだな……。

 やはり一旦俺は外に出た方が良いな……。

「フィリア、俺一旦外にいるから……あとはお願いね」

 フィリアに声を掛ける、という形をとりつつ皆に聞こえる音量で言った。そうすれば多分チェーニも緊張っみたいなものが和らぐだろうから。

「おにーちゃんもここにいればいいのに」

 すると、ミネがこちらに寄ってきて足に抱き着くようにズボンを引っ張った。

「ああ……まぁそうしたいけど、このお姉さん俺がいると緊張するっぽくて……ね?」

「それなら私も外行く!」

「いや……ミネはお母さんのとこ居てあげて」

 そういって少し強引に彼女を引き剥がして部屋を出る。そのまま家の外まで出る雰囲気だけ頑張って醸し出しながら。


「ご、ごめ……ごめ……な……さぃ……わっ……私の……ぃで……」

 こんな調子の彼女だからまぁ、仕方のないことである。軽い会釈だけして部屋を出た。


 部屋の外には出たけれど、それだけ。つまり外に出るというのはそういうポーズである。とりあえずそこであれば、中の様子を声だけであるけど聞き取ることが出来るだろうから。


「フィリアちゃん、チェーニさん……それにミヤトさんも、ありがとうございました。本当になんとお礼を申し上げたらよいのやら……」

「いえ……殆どニーチェさんのお陰ですよ、ね?」

「そ、そんな……これくらいしか……私はむしろできないので……」

 母親のお礼の言葉に対して謙遜と共にチェーニへと話を振っているフィリアと、同じく謙遜しているチェーニ。これくらい、とは言うけれどフィリアでもってもできない事であったし、彼女のお陰で一人の命が救われている訳だが。


「二人ともそんなに照れなくていいわよ。みんながいなければ、私はきっと助かっていないもの」

 フィリアの気休めとは言え命を繋いだ回復魔法と、それから連れてきたチェーニと、そもそもとして首を突っ込んだ俺と。誰が欠けても成り立たなかったかもしれない……と言えば聞こえは良いけれど俺の貢献にかんしちゃ微々たるものが過ぎる。何もしていないのと同義だろ。


「そ、それなら……良かったです」

 言われて照れくさがりながら答えるチェーニ。ううん、やはり俺がいる時に比べて喋りが快活だ。こうした照れくさいとか恥ずかしいとかそういう感情交じりにしても俺がいる時とは雲泥の差。月とスッポン。

「少しずつ様子見ながら今までの生活に戻ってみるわ。その時には約束も果たさないと……ね? フィリアちゃん、ミヤトさんにもあとで伝えておいてくれる?」

「約束……ああ、夕食の件ですね。……是非とも」

「……そうね、チェーニさんも良ければ」

「ひゃっ……えっ……あのご一緒したい……のはやまやまです……けど、その私は……」

「ああ……そうね……チェーニさんは男の人が苦手なのよね? それならうーん……」

 まぁ何より貢献した……というか根本の解決をしたのがチェーニであるから、その礼を受け取る人間として含めるのは至極当然だろう。が、俺がいると彼女は本当に機能しなくなってしまうのだが……。

 こちらを立てればあちらが立たず、みたいだな。まぁそうなれば俺が席を外す方が正しい気がする。なにせ本当に俺はただただ居ただけ、の人間だしな。

 等と考えていたところ、フィリアが口を開いたらしい。

「別にそのお礼も今すぐに……という話ではないですよね?」

「え……ええまぁ……少しは体を慣らす必要があるし……早くても明後日とかになるかしら?」

「だったらそれまでに克服しちゃいましょう」

「で……でもわ……私は……」

 明後日までに。随分と大きく出たものだ。

「大丈夫ですよ、私とミヤトさんがついてますから!」

 ここまで言うからには、手立てらしい手立てがあるんだろうか?

 少なくとも俺には無い。取っ掛かりすら浮かばないのだが……。

短めです今回

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