33話 刃も健康も欠いてはならぬ
少女の方へと近づいていくと案の定、草の陰からはモンスター。何かがトリガーになって強制スポーンでもされているんじゃないかと思えてくる。
という言葉は一端のみこんで、真っ先に彼女を助けなければ。
一目散にダッシュしては距離を詰め草陰から出来たそのモンスターを剣でもって両断する。ストレージからの取り出しに慣れてくると案外こちらの方が魔法を使うより俺にとっては早いようで緊急時はこちらが多い。ちゃんと腰を据えるなら魔法だけど。
出てきたのはフレアハインド。俺からするとそこまで警戒する相手ではないにせよ少女視点からすると、そんな単純な話ではないだろう。
少なくとも目の前にいたその子はすっかり怯え切っている様子である。
「だ、大丈夫!??」
その子の方へとどうにか変な警戒をされまいと思いつつ近づいて声を掛けた。見た感じだと怪我らしい怪我はないか。とはいえこんなところに一人でいるというのは放っておけるわけがないので、まずは状況をもう少しちゃんとした形で確認しないと。
「だ、だれ?」
こちらの声掛けに対して質問でもって返される。まぁそりゃあそうだよな。
「あ……えーっと俺はミヤトって言ってこっちはフィリア……ってじゃなくて君、こんなところで何してるの!?」
「ええと薬草……探して……」
「や、薬草!? それくらいこんなところ来なくてもお店で……」
見たところ冒険者には見えないからギルド依頼の類ではないだろう。だとしたら薬草が自分事由で必要ということだけれど、幾ら何でも危険が過ぎる。
「お金……無いから……」
まぁそんなところだろうと思ったけれど……。シビアすぎるだろこの世界。
「と、とりあえず街の方に……」
「大丈夫……薬草手に入れるまで戻っても意味ないし……」
そう言うと彼女はすくっと立ち上がり森の奥へと消えていこうとする……が流石にそれをそのまま見過ごすわけにはいかない。
「き、君冒険者じゃないでしょ!? 流石にそれで森は……」
この森がどんな程度の危険度かはしらないけれど、だからってこんな少女が一人でいて無事なはずがない。
「お話だけでも聞かせていただけませんんか?」
フィリアも同様に近づいて、少女へと目線を合わせてそう言った。そのお陰だろうか、少女も少しばかり落ち着いた様子になり口を開いてくれた。
「おかあさんが病気で、それで凄い薬草あれば元気になるかな……って」
「しかしお金がない……と」
「薬草ってそんなお金かかるの?」
「いえ……そんな筈はないですけど」
「普通のじゃダメだったから……」
そもそもとして薬草というものは俺にとっては概念的にしか把握できていないものだ。だからどういうものなのか、価値的な意味でも効果的にな意味でも俺はしらないけど、しかしゲームにおいては基本的な、基礎的なアイテムだったと記憶している。フィリアの反応的にもこの世界でも似たようなものだろう。
「それでダメならやはり上級の回復薬ですか……確かに」
「フィリアの魔法でどうにかならない?」
「ううん……私が持ってるのはあくまで体力回復の範疇ですから、病気も軽度のものなら何とかなりますけど……万が一それでどうにかならない、となると……」
彼女のソレでどうにかならない、となるとやはり薬草にせよ誰かほかの魔法使いに頼むにせよ、ハードルというか求めるクオリティはかなり高くなってしまうという。とは言えじゃあ無理だから、さようならが出来る程肝も据わっていないのだこちとら。
「と、兎に角みるだけでもさ」
だから少しでも可能性に縋りたくなるのだ。
「ミヤトさんがそこまで言うなら構いませんけど」
「わたしなら……大丈夫だから……そんな別に」
しかしその少女はフィリアの反応を見てか、渋るような様子を見せる。このままだとまたさっきのやり取りの繰り返しになってしまう。
「大丈夫、俺たちが何とかして見せるから!!」
「ほんと……?」
「ああ……だからきっと大丈夫だよ!」
■
そうして一旦、その少女が森の中へ消えていきそうなその行動自体は阻止できた。とは言えでまかせで安請け合いをしてしまった。流石にここで嘘ですとも、絶対とは言い切れないともいえる訳がない。本当にどうにかする他無いんだよな……。
「とりあえず、キミは何て言うの?」
「ミネ……」
「ミネちゃんか、よろしくね」
そうして最低限の自己紹介を終える。それから彼女の案内のもと街の方へと歩いていくことにした。先ほど狩ったフレアハインドのドロップアイテムだけはちゃっかりと回収しておく。
「ミヤトさん、それ……」
「え?」
その最中、フィリアが俺の手の方を示しながら何か言う。剣を持っていた手の方。何事かと言われて持っていた剣を確認すると若干傷ついているというか、刃こぼれしているようだった。マジか。
「そんなに日数立ってないと思ったんだけどな……」
アモールの街で購入してから……1週間はたっているけれど、それでも経過していて半月ほどだろうか。僅かその程度でもうへたってきているということになる。
「もしかして、粗悪品掴まされた……?」
「かもしれませんね……すいません、私武器の目利きの能力は流石に無くて……」
流石に使いこみすぎだのなんだのにしても早すぎるだろ。消耗品でもないだろうし……。しかしそれならカコから一言何か欲しかったような気もする。まぁ彼女も知らなかった可能性あるけれど。
「どうします? このままペラの街ですから、そこで新調します?」
「あー……いや、いいよ。それこそフィリアの魔法で駄目だった時少しでもお金必要になるかもだから」
俺が勝手に言い出した事とは言え、武器はまぁそのミネの一件んが落ち着いてからだろう。優先順位的に。
長くなる気配を感じ取ったので章タイトル変えました。




