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28話 3つの対決とカオス空間

 フィリアの性別をカコにも明かした。フィリア自身にとってはコンプレックスのようなものであり、色々と思うところはあるだろうけれど、しかしこちらもフィリアとの関係を勝手に結論付けられたままでは困る。


「……え、ほんとに?」

 そして、カコの二言目はというとこんな調子。未だに信じられない様子で、何度か手元とフィリアとを見返している。多分鑑識で出たウィンドウ的なものとフィリアの姿とを見て自身の中にあるそのモヤモヤをどうにかしたいのだろうな。


「ちゃんと男だったでしょ? 少なくとも俺とフィリアはパーティーメンバーではあるけれど、カコが想像するような関係じゃないよ」

「そんなっ!!! 一緒に寝てる仲なのに!!」

 しかしながらブッこんでくるフィリア。

「ベッド別だから!」


 そんな俺たちのやり取りを見ては頭を抱えるカコ。

「なんか頭混乱してきたわ……。少なくとも、フィリア……アンタが男って言うのは鑑識がそういってるんだから信じるしかないようね」

「うう……」

 悲しむ様子のフィリア。しかし性別に関しちゃ性転換の魔法でもない限りは覆仕様がないから諦めてくれ。


「ただアンタたちの関係はまだ疑ってるわよ」

「そうですよね!? どっからどう見ても……」

「ややこしくなるからやめてくれ……」

 二人から告白擬きをされているという過去にみない最高な状況だと思うんだけれど、話が若干こんがらがっている所為で、それどころではなくなっている。

 多分三年後くらいにこの日を思い出しては過去の自分を只管恨めしむんだろうな。とは言え今は気が気でないから、未来の自分に恨まれようとも今はこの場を出来る限り平穏に名とか諫めることに尽力するのみである。


 ……そもそも俺はどうするのが良いんだろう。少なくとも、今ここで色欲に任せて適当にOKなんてしたら凄く面倒臭いことになるのは目に見えている。そもそもカコが好きかどうかと聞かれると言葉に困るし。


「取り合えず、アンタたちは付き合ってないってことでいいのよね? それならフィリア、アタシと戦いなさい」

 さてこちらの思考など当たり前に知らない彼女は、何を思い立ったのかフィリアに対してそんなことを申し出る。俺の意志の尊重とかはないらしい

「……?」

 当然、フィリアも何を言っているのやらと困惑した表所である。


「た、戦うんですか?」

「ちょっと待って! 俺の意志がガン無視なのもそうだけど、流石に二人で傷つけあうとかは……」

「安心しなさい、戦う、といっても二人で競うだけの話よ」

「き……競う?」

 こくり、とカコはうなずいた。


「アタシと、フィリアどっちがアンタに相応しいかジャッジしてもらうってこと」

「……なるほど! であれば、負けてられません!」

 先ほどまでぽかんとしていた筈のフィリアも急にやる気十分な状態になっている。

 置いてけぼりなのはもしかして俺だけなのか?


 ■


「まぁ流石にこんな時間から始めるわけにはいかないから、明日またここにきて。それで改めて説明するわ」

「分かりました! ミヤトさんもそれでいいですよね!?」

「えっ……」

 くるりとこちらに振り向きながら聞いてきた。全否定してやりたいところであるけれど、とてもそれが許される空気ではないことは明白である。

「まぁ……うん」

 故になあなあで肯定するほかない。


 ――しかし、どちらが俺に相応しいかを決めるとは、一体、何をおっぱじめるつもりだろうか。いずれにせよ面倒事に巻き込まれたことだけは確かである。


 ■


「それじゃあ、改めてルールを説明するわ。これからアタシとフィリアとで3回戦う。それぞれミヤト、アンタにどっちが勝ちか判定してもらうわ。それで決着をつけるの」

 やはり面倒この上ない。けれども一応俺のため、という名目でもあるし、パスもできない。


「それで競う内容というのは?」

「そうね……ミヤトと付き合うっていう事は寝食を共にする事だと思うの……」

「確かに……実際、私も今同じ宿ですし」

「アンタのそれは付き合ってないなら少しズレてる気がしないでもないけど、兎も角、そうした生活での相性が大切なのよ」

 フィリアに対してそれっぽい説明をしているカコ。言っていること自体はそれなりに真っ当だと思うけれど、それを俺が求めているのか、許容できるかはまた別問題じゃないだろうか……といったところで聞き入れてもらえないだろうな。

 しかしまぁ共に行動する人間とは即ち寝食を共にする。故にその相性というのが大事ということは納得できなくはない。フィリアみたいに口に出して肯定する気もないが。


「だから最初の対決は添い寝よ。どっちがミヤトをよく寝かせられるか」

「の、望むところです!」


 そう言うと、二人に腕を掴まれて宿まで連行された。腕をがしっと掴まれている訳だから、彼女たちの体が当然当たっている。普通なら喜べるべき光景なんだろうけれど、あまりのカオスさとフィリアはそもそも男であるということ、カコは普段の冒険者用の防具というか胸当てみたいなものがあり固いという印象が強いため特別喜べもしない。

 二人とも顔もスタイルも良いんだけれど、両手に花なのだが……。

流石に話が長すぎるので章タイトル変えました。

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