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25話 財宝の正体

「宝の山ね……」

「コレがトリープ?」

「なわけないでしょ。鑑識スキルでもただの財宝としか出てないわ」

 しかしカコ曰くそれ以外の情報は概ね一致しているという。閉ざされた場所、それから宝箱の見た目。勿論んその2つだけで断定するのが性急ということもあり得る。場所の特定自体もボヤッとしているし……。


「……でも、怪しいですよね、これ」

 2人して訝しむ中でフィリアがそんなことを呟いた。

「怪しい?」

「だって、わざわざ魔法でもって堅強に守られてるんですよ?」

 確かにフィリアの魔法でもってもこの宝箱とその周辺は守り抜かれていた。結果的にこうして怪訝に思って見つけ出すに至ったわけだ。

「少なくとも、この宝の山は誰かが既に見つけた後のものだと思うんです」


「既に見つけたもの?」

 つまり、そこら辺にいろんなたまたまを経て存在してあったただの宝箱であればここまで高度な魔術の防壁があるというソレが考えにくいのだとか。まぁ確かに俺の魔法ならいざしらずフィリアの魔法攻撃を受けた上で無事であったのだ。

 細かい魔力の計算式だとかは知らないけれども、普通に考えて並大抵のものではないだろう。


 少なくとも、これは誰かが既に見つけていて、それでもって膨大な魔力を注いでまでに守り抜きたかったお宝である……ということは確定だろうか。というかここまで煌びやかであれば誰の目にも、先の魔法による防御など関係なしにまぁ明白なわけだが。


「単純に財宝だから、ってことは?」

「だとしらこの箱の見た目がアタシに聞いたものと寄り過ぎてるのよ」

「たまたま同じデザインのものが同じ山の中にある……とか」

「寧ろ私は意図的に隠したんじゃないかと思うんですよ」

 そう言うとフィリアは宝箱へ近づいて、部分部分に触れて見せる。少しばかりの汚れを手で払いながら。……こうしてみると、何というかやけに綺麗に感じる。勿論、こうして周囲事崩壊させたがゆえに土埃なんかは付着しているけれど、箱そのものは何というか新しいような……そんな印象を受ける。


「ちょっとだけ箱が綺麗すぎます。ずうっとこの山に眠っていたお宝だったらこうはいきませんよ」

 彼女の推論としては、誰かがここに意図的に財宝を隠した。その上で四方八方を岩で囲い、更に魔法による防御を重ねてのセキュリティを施した。

 外から入る空気も何もない。だからこそ汚れることすらなく今まで保管されていたのではないか……と。


 ……でも何のため?

「別に財宝なら売ればいいんじゃ?」

「いずれ価値が高騰するかもしれませんし……もしくは貯金じみた真似とか……こればっかりは推測も推測でしかないので、分かりませんが……」

「仮に、コレが本当にアタシが求めていたものと一致するとして、どうしてトリープの部分だけ嘘になってるのよ」


「多分……最初に見つけた人が、奪われないようにデマを振りまいたとか……」


 中身自体は嘘であった。けれども箱や周辺の情報自体は正しいという事である。あまりにも詳細な情報であったから……もしかして本来は漏らす予定はなかったのではなかろうか。


「それなら中身だけ嘘が混じってるのがよく分からないわ」

「例えばたまたま知り合いに周辺の話だけポロっと話を漏らした……とか。この辺の理屈は当事者じゃないから分からないけど……」

 ただ一番しっくりくる、というか理解できる理屈はそうなる。酒の席だか何だかで話してしまった、しかし捜索されるとアイテムが見つかり横取りされかねない。

 だから、中身については嘘をついて価値を下げるという方向に舵取りした……とか。未入手とされているアイテムについてここまで詳細な情報が転がっているのが違和感であるし……。

 誰かが見つけるだけ見つけて、放っておいた可能性だってあるけれど……。


「……まぁ良いわ。これ以上は情報が無いんだもの、これを報酬ってことにしとくわよ」

「良いんですか? 確かにトリープ自体は嘘と理屈づけたのは私ですけど、探せば意外と……」

「そもそもあるかどうかも怪しいってなった以上、探すのは無意味よ」

 そう言うと、カコは宝箱の中身を幾つか手に取って、小さいカバンの中へと放り込んだ。ストレージにはいる分だけ幾つか入れるつもりらしい。


「まぁでも確かに、真実薬……だっけ? カコにはもういらないだろうし、丁度いいんじゃない」

「……何それ、どういうつもりよ」

 俺の言葉に少しばかりの苛立ちめいた感情をみせるカコ。

「だって、ちゃんとフィリアに謝れたし、十分素直でしょ」

 少なくとも、この旅でもって理解した。素直じゃないというは確かにあるけれど、それ以上に不器用なだけなのだ。

 であれば恐らく必要なのは、そんなちゃちな薬じゃなくて、ちょっとした勇気一つで事足りるだろう。


「それにカコならかわいいし問題ないでしょ」

 この世界の美醜の価値観は知らないけれど、カコほどなら少なからず俺の世界じゃ愛想よくなるだけで人間関係は簡単に円滑になるだろうし。

「ッ……!? ば、馬鹿じゃないのっ!?」

 途端にカコの顔が少しばかり赤くなっているように見えた。そんな恥ずかしがるような何かあったのだろうか。

「と、と、とにかくアンタたちも箱の中のもの詰め込みなさい! 換金して山分け、それから夜は打ち上げ!」

 そう言うと、その金銀財宝たちを手にとっては俺たちに押し付けるように渡してきた。


「どうしたんだろうな……」

 彼女のどこか挙動不審めいた行動を疑問に思いながらフィリアの方を見る。するとどうだろうか、フィリアもどこか不安気な様子。


「……?」

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