表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/14

3.底辺配信者さん、ドラゴンをワンパンしてしまう。



 ドラゴンブレスを受けて意識を失っていたカレンが、目を開けると、そこには信じがたい光景が広がっていた。


 一人の少女が、自分を庇うように・・・・・、両手を広げ真正面からドラゴンブレスを浴びていたのだ。


 少女は圧倒的な火力を受けながら、びくりともしない。


(わ、私を守るために……!!)


 ドラゴンブレスという最強レベルの技を喰らば、もちろん無傷では済まない。 

 仮に肉体的なダメージがなかったとしても、結界魔法ライフバリアを削られたことによる痛みは耐えがたいものであるはず。

 現にカレンはそれで気を失ってしまったのだ。


 けれど目の前の少女はあの火力にびくりともしない。

 

 その小さな背中の、なんと頼れることか。

 カレンの中で焦りが憧れの感情に変わっていく


 ――だが、少女のすごさはそれでは終わなかった。



 †


 マリアは長いドラゴンブレスの一息を楽しんだ後、その炎が消えたのちも恍惚とした表情を浮かべていた。


「……整うなぁ」


 マリアはドM過ぎて、ドラゴンブレスをサウナ代わりにして楽しんでいた。

 常人には耐えがたいその息苦しさと痛みが、ドMな彼女にとっては極上の娯楽なのだ。


 ただマリアがどう感じていようと、結界魔法ライフバリアは確実に削られていた。

 彼女の結界残量ライフポイントは1割を切っている。

 このまま攻撃を受け続ければ命はない。


 けれど。


結界残量ライフポイントが1割以下になり条件を満たしました。スキル≪絶頂覚醒≫が発動します】


 次の瞬間、マリアの身体が赤く光り始めた。

 それは彼女が無意識に上げた反撃ののろし。


 彼女のユニークスキルは、攻撃を受ければ受けるほど強くなるというものだった。

 ≪絶頂覚醒≫により、彼女の身体能力は途端に30倍に跳ねあがる。


 

「キィァアアアア!!!」


 ドラゴンブレスを受けきられたことにいら立ったドラゴンは、金切声を上げながらマリアの方へと飛び込んできた。

 だが、ユリアはそれを自らので迎え撃つ。


 そのあまりに小さな拳が、巨竜の前足と触れ合う。


 重量差を考えれば勝敗は見るまでもない。

 けれど、次の瞬間、圧倒的な魔力が一点から流れ出し、

 

「グァアアアア!!!!」


 イクリプスドラゴンが背後に吹き飛んだ。

 ドシンと地面に落ち、そのまま動かなくなる。


 †


 

 カレンは目の前で起きていることがまったく理解できなかった。

 前の前には、歴史に残るような鮮烈な光景が広がっていた。


「ど、ドラゴンを……わ、ワンパンで倒しちゃった……ッ!!」


 カレンは目をパチクリさせる。

 Aランクパーティが束になっても苦戦するであろうモンスターを、拳一つで一撃で屠ってしまったのだ。


“すげぇええええええええええええええええええええ”

“ドラゴンをワンパンwwwwwwwwwwwwwwwwww”

“うそだろwwwww”

“やべええええええええ”

“なんやあれwwwwwwwwwwwwww”


 カレンの配信ウィンドウには無数のコメントが流れる。

 その出来事はあまりに常識を逸脱していた。

 それゆえ、とてつもなく大きな旋風を巻き起こそうとしていた。


 †


 マリアはイクリプスドラゴンを倒した後、ふぅと一つ息を吐いて、満足げな表情を浮かべていた。

 イクリプスドラゴンのドラゴンブレスは最近受けた中ではもっとも強力で、それゆえ彼女にとってその痛みは至高の癒しであった。


 その上、素材に高値が付くドラゴンを討伐できたのだ。願ったり叶ったりであった。


(まんぞく、まんぞく)


 と、ホクホク顔のマリア。


 だが、だがふと背後に視線を感じて振り返る。


 そこには地面にしりもちをついたままマリアの方を見上げるカレンの姿。

 そしてその脇には見慣れたマジックアイテム――記録水晶カメラ


「……ん!?」


 記録水晶が自分を映している。

 つまりそれが意味するのは……


(あれ、もしかして……今の、全世界に向けて配信されちゃってる……?)


 ようやく頭の整理が追いついてくる。


 そう。彼女は自分のドMさを世界にさらしてしまったのだ。

 その事態を理解した瞬間、


「いやぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!」


 ダンジョンに彼女の悲鳴がとどろいたのだった。

 

面白そう! 続きが気になる!

と思っていただけた方は、何卒≪評価≫と≪ブックマーク≫をお願いします。


評価はこのページの下(広告の下)にある「☆☆☆☆☆」の箇所を押していただければ行えます。

今後の更新のモチベーションにもなりますので、どうぞよろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ