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1話 思ってたのと違うかも

「おーい、大丈夫ですかー? 分かりますー? あ! 気が付いた!」


 目を開けると、オレンジ色の髪をした少女がこちらの顔を覗き込んできていた。


「すいません、近いんでいったんどいてもらってもいいですか?」


 うん、我ながらに無愛想な物言い。

すると少女はきょとんとした後に少し不機嫌そうな顔をして、俺から距離を取る。


「助けてやったのに、どいてもらっていいですか? 生意気すぎないこいつ? 助けなきゃよかった」


「あの、あなたは? というか、ここって?」


 謎の美女がこちらを向いて微笑んだのまでは覚えている。

だが気づいたらあの美女が気の強そうな少女になっている。


「私は、アバルテン・ルーイ。騎士見習いよ。ここは、街の外の森。魔物をうようよいてあなたも食われそうになってたのよ。私が助けたから無事なんだけどね!」


 俺と同い年?ぐらいに見える少女は、髪と同じような色の重装備ほどではないが鎧を着ており腰には、剣をさげている。情報が多すぎてよく分からないが、俺には一つの考えが浮かんだのだった。


「なるほど…つまりここは異世界?ってことか?」


「何ぶつぶつ言ってんの? 気持ち悪い。ところであんた、どこの人間? その腰についてるのは剣? 答えないと、切るわよ。」


 腰についてる?なんだそれ?そう思い腰に手を当ててみると……


「刀やん」


「カタナ? それの名前?」


 どうやら異世界に召喚された俺は相棒として日本刀と一緒にこの異世界に来たらしい。  なんで日本刀?


「ちょっといい加減自分が何者かくらい言いなさいよ。」


「ああ、えっと俺の名前は夏。身分は剣士? 侍? よくわかんね。」


「サムライ? 何言ってるの本当に。転んで頭でも打ったのかしら、もう私の手には負えないから、ナツ、いったん騎士団に来てちょうだい。そこなら色々わかるだろうし」


 そういうと、ルーイは俺を街に連れて行った。道中スライムみたいなものに襲われたが、それは騎士見習いのルーイが倒してくれた。どうやらこの世界には本当に魔物がいるらしい。


「なぁ、さっき魔物を倒す時にルーイの剣燃えてなかった? 何あれ?」


「あれ? あれは私の恩恵よ。私の恩恵は剣とか武器に炎をまとわせられるの。って恩恵についても覚えてないの?」


 そんなこと言われても異世界のことなんて知るよしもない。しかし、恩恵とは?この世界にもやはり、魔法的なものがあるのだろうか?


「はあ……恩恵っていうのは人間みんなが持ってる創造神ロイセルからもらった加護のこと。それが戦いに役立つとか商売に役立つとかは人それぞれだけど、必ずみんな恩恵をもらっているの。」


「へぇ、じゃあ俺にも恩恵ってのがあるの?」


「知らないわよそんなの。あなたが獣人じゃなければあるんじゃない? 本当に何も覚えてないのね。」


 覚えてないっていうか元から知らないだけだがそれを言っても信じてもらえないだろうから黙って別のことを聞くことにした。


「この街はなんていうの?意外とデカイよね」


「この街はアンダルセン。庶民とか商人が暮らす街よ。で、これから行く騎士団があるのが王都デルフィ。貴族とか……王家の人が暮らす街ね」


 ルーイの顔が一瞬曇ったのは気になるが聞いて機嫌を悪くされたら困るので他に気になることを聞いておいた。


 ルーイの話から分かったこと。この世界には四つの国がある。今俺がいる国は神にちなんでロイセルというらしい。他にも キルート  キバザ  ペリセクル という国がある。文明レベルは見たところ中世ヨーロッパって感じ。また人々は神様から恩恵を得る。それは様々なものがあり、人によって異なるということ。 


「これはちゃんと異世界に来てるな。」


「ほら騎士団についたわよ。とりあえずあんたの身分を確かめにいくからね」


 そうして騎士団の中に入ると、女性にしては身長の高い、

ちなみに俺は男にしては低めの169センチしかない―

金髪の長い髪を後ろで結っている、みるからに威厳のある女性がこちらに向かって歩いてきた。


「ルーイ戻ったのね。その方は?」


「はい、ルイーザ団長、ただいま戻りました。この人は、見回り中に倒れているのを発見し、話を聞いたところ記憶が無いようでしたのでこちらに連れてきました。」


「なるほど……それは大変ね……じゃあすまないけどそこのあなた、彼を連れて行ってくれる? ルーイは私ときて。あなたのお父様がお呼びよ。」


そうして俺は近くにいた男に騎士に連れて行かれることになった。ルーイはルイーザと行ってしまったのだが…


「なぁ、ルーイのお父さんって誰なの?」


 俺は俺を連れてる騎士に尋ねた。


「ああ、ルーイ様の父上はあの王位第二位アバルテン・ゾーマ様だよ。」 


「王位?」


「あんたなんも覚えてねーんだったな。王位についてる人たちはみんなこの国についての色々をしてくれてんだ。ちなみに、3年に一回王選があってそこで王位を決めるんだ。王位第一位は言えばこの国の国王だな。」

 

 なるほどこの国の政治家的なのを王位第何位というらしい。

そんな話をしているとある受付的なとこに着いた。


「すいません、この男、記憶がないみたいで、記録書確認しもらっていいですか?」


 受付の女性は驚いた顔をしたが、こちらを見て


「お名前もわからないのですか?」


「えっと、名前はナツ、カンザキ ナツ。それ以外は何も分かりません。」


「ナツ様ですね、お名前が分かれば調べられると思います。少々お待ちを」


 そう言うと女性は沢山の本棚の中に消えていき、数分後に戻ってきた。


「すいません、カンザキ ナツ様の記録書はこちらにはございませんでした。もしかしたら他の国の方なのかもしれません」


「まぁ確かに服装も少しおかしいしな」


 騎士にそう言われれば確かに、ランニングウェアを着ているのはこの場では少々浮いてしまっている。


「とりあえず、他にできることがないから、お前の恩恵を調べに行くか。恩恵も分かってないんだよな?」


「恩恵ってのが何かはルーイが教えてくれたけど、自分の恩恵についてはちっとも」


 まず俺に恩恵があるのだろうか?それとも、めっちゃ強い恩恵があり、魔王を倒してくれという展開か? まぁまず魔王がいるのか知らないが。


「じゃ、恩恵調べに行くか。」


 と言って俺はいかにも胡散臭そうな老婆のとこに連れてこられた。 

「ばあちゃん、こいつの恩恵見てくんね?」


 すると老婆は目の前の水晶に手をかざし何かを唱え始めた。するとしだいに水晶が色づきだし、それはやがて赤黒い色になった。


「これはっ、ナーゼルと同じ血の恩恵じゃ! 早くそのものを王都からだすのじゃっ!」


「ナーゼル? なにそれ? で俺の恩恵って血の恩恵なの?何それどう使うん?」


 その質問には答えず老婆は怯えるように逃げて行った。かと思えばさっきまで気さくに話してた騎士もこちらを睨み、


「抵抗すんなよ、お前を王都から連れ出す。」


 話が急すぎて分からない。だが俺は追い出されるようにきた道を追い返され、ルーイが教えてくれたアンダルセンまで連れてかれ、


「王都には二度と入るなよ。次来たらお前は間違えなく殺される。」


 そう言い放つと男の騎士は王都へと戻って行った。


「おい、俺の考えてた話と違うって」


「なんだ小僧、お前王都を追放されたか? 盗みでもしたか?」


 頭の整理が追つかず、ぽかんとしてた俺にその男はゲラゲラ笑いながら話しかけてきた。

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