月夜
月光
虹色の波紋
色彩の渦巻き
左回りに回転する夜
雲
透けているのか
うすくなった白さ
銀色の光
照らし出された地面の影
もそりもそりと動く
街灯の寂しさをたよりに
なんでもない灰色のアスファルトを這う
コンクリートは ひんやりと
昨日の雨を染み込ましている
月光
うすい虹色の輪っか
昨日まで悲しみ零してた雲
今夜は煙みたい 消えて無くなる
山が呼ぶ
海が呼ぶ
夜
影たちを呼ぶ
かけめぐる
消えてしまったなにかを
無くしてしまったなにかを
あてど無く彷徨う 迷う 求める
咆哮
月光
照らしだす波間の光の僅かな反射
目の前から遙か沖まで
うねる
黒い塊
影たち
左巻きに回転する雲
呼んでいる
月光
虹色の波紋
海面が光る
呼ばれた夜の灯火
灯された松明
山の中をかけめぐる鬼火
ひそやかな月明かり
空と海と山と影たち結ぶ
ゆりかごの中の眠り
海に沈む
山に沈む
目を覚ました もの影たち
呼ばれる
月夜
うっすらとかかる虹色の明かり
菩薩のよう
頬に涙こぼる微笑み
仄かな夜の月明かり
呼んでいる
目を覚ました もの影たち
もそりもそりと
月の明かりに動きだす
闇夜に抱かれた
月光の菩薩
暗闇ぬらす月夜の微笑み