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嘆狼ーナゲロウー  作者: 多田村 兼人
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第2章 皇慶太

2


「ハァ…ハァ…やたら遠いな…本当にこんな所にコテージなんてあるのか…?」

体力自慢の慶太だが、小一時間足元の悪い中を歩いて息を切らしている。

「ハァ……ん?」

夜道の少し先に、小さな水溜りが見えた。

(今日、雨なんて降ったっけ?)

誰よりも楽しみにしていた卒業旅行だ。この一週間の天気予報は晴れ続き。何度もチェックしてきた。

慶太は水溜りの前に立って、巨体を少し折り曲げて覗き見た。

「…?!」

どこまでも深く続いていきそうな闇の色、透明感も光沢もない、けれど今にもうごめきだしそうな水溜り。

「血…か?」

季節を問わず日焼けしている慶太の顔がみるみる青くなる。重たいボストンバッグに密着する背中に、冷たく粘ついた汗を感じていた。

本当に血なのかどうかの確証はないが、慶太の胸はざわついている。

(手の込んだドッキリであってくれよ…!)

高校時代にラグビーで鍛えた岩のような身体に鞭を打ち、一目散に駆け出した。


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