第1章 水嶋裕之
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「俺だー!慶太だーー!!」
一瞬驚いたがすぐに2人は目を見合わせる。
「慶太って……」
「皇先輩、ですよね。」
皇慶太。不器用だが心優しい、裕之以外のもう1人の男子部員だ。昔から体を動かすことが好きで、このサークルでも本格的なサバゲーが出来ると思って入部した。本人が思い描いていたサークルではなかったものの結果としてみんなと仲良くしている。今回の旅行も彼の発案で、サバイバルゲームと温泉を楽しもうというものだった。
そんな慶太の声が外から聞こえたのだ。
「皇先輩!僕です!」
「ん!?水嶋か!無事か!?」
「はい!葵先輩と一緒なのですが2人とも無事です!」
「そうか!よかった!!早く出て来い!」
「ドアが開かないんです!なんとか出られないかと思ったんですが僕の力じゃどうしようもなくて……。」
「そうか……。よし分かった!ドアから離れて少し待っていろ!」
言われるがまま裕之と葵はドアから離れる。
少しして、ドアを叩く音がコテージに響き渡る。何度か音がした後、一際大きな音がしてドアが壊れる。そして星空の光を浴びながら何かを抱えている慶太の姿が目視できた。
「慶太くん!!!!」
「お前ら!!無事でよかった!!」
少しずつだが仲間と合流できて安心する一同。
「ところで、綾香がどうなったか分かるか?」
「いや、私と裕之くんしかいなくて。」
「そうか……。」
慶太は綾香に恋心を抱いていた。本人は周りに気付かれていないと思っているようだが他の部員からしたらバレバレだったのだ。
「皇先輩はどうして外に?」
そう尋ねる裕之。
「ああ、実はなーー。」
慶太は自分のこれまでの成り行きを話し出すのだった。




