第1章 水嶋裕之
1
仄暗い明かりの中、僕は目を覚ました。
「うぅ〜ん、ここは一体……?」
ゆっくりと体を起こしてあたりを見回そうと思ったが、天窓からこぼれる光が僅かに部屋を照らしているだけでよく見えない。聴覚のみが刺激され、どこからか隙間風が入ってくる音がする。
「ここはどこなんだろう……。みんなどこ行っちゃったのかな……。」
僕だけ学年がひとつ下だったが、先輩たちはそんなこと気にもせず接してくれた。この旅行だって、後輩だからさすがに遠慮しようとしたら、えっ来ないの?!と目を丸くされたほどだ。そして綾香先輩の運転で目的地へと向かっていた。車の中では、僕は寝不足だったからか早い段階で寝落ちしてしまっていた。途中どこかに寄ったような気もするがあまり覚えていない。
まずは何か光源をと自分の体を叩いてみる。すると着ていたコートの右ポケットに携帯電話があることに気がつく。充電はまだある。だが、
「……圏外か。」
周囲の状況を確認するためにライトをつける。青白い光が部屋を包む。
徐々に目が慣れてきた。やはり窓はない。あるのは木製の机が1つとイスが2つ、そして机の上に空のマグカップが1つあるだけだ。
部屋を見回していると、片隅に不自然な影が浮き出ているのに気がついた。
恐る恐る近付き、その影に触れてみると
「ええええええええええええええええ!!?!?」
思わず叫んでしまった。
それは、葵先輩だった。




