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~prelude~

 「さて、待たせたな。 そろそろ相手をしてやらないとな」


 セツは不良達に向かって歩き出す。不良達は身構え各自持ち込んだ武器を取り出した。

 手にはバットや鉄パイプ等、対人用にしては物騒なものがちらほらと見えた。


 「まぁ待てよ。ここは店の中だぜ? 迷惑になるから場所を変えよう」

 しかし、セツは臆さない。まるでその武器は相応の物であるかのように対応してみせる。

 「あっ、俺たち見学希望だからいいよな?」


 やはりセツの安否など気に留めない慶太。 喧嘩を見世物のように楽しみにしていた。

 セツが勝つことを疑わない為か楽天的な発言をするが、それを信頼と呼ぶのかは定かではない。


 「ちょっと、俺達ってあたしも? 男の子はいいかもだけど、あたしは喧嘩とか好きじゃないんだけど・・・」


 「まぁまぁ、どうせ買い物も一通り終わっただろ?暇になるからちょっとだけ見て行こうぜ。

万が一セツが怪我したら後で介抱してやればいいんだし」


 「ふぅ。それってホントに万が一だよね。 わかったわよ。 セツ?無理しちゃ駄目だからね?」


 慶太の発案に振り回されながらも智恵子だけはセツの身を心配する。智恵子の優しさが垣間見えた。


 「了解」


 一言だけ言い残し、セツは不良達を誘導し始める。



 「さてと、この辺でいいかな」


 外に出てきた一行は広い場所へと移動する。

 町は夕方時もあり人がたくさん歩いていたが、不良を避けるかのようにセツ達がいる場所から寄り付かなくなる。


 「・・・で?何で俺にちょっかい出してきたわけ?」


 周りを見渡し、人が殆どいなくなった事を確認して話し出す。

 何にせよ今から喧嘩が始まるのだ。  ただでさえ通行人に迷惑がかかると言うのに、関係の無い人に怪我人まで出してしまったら

 申し訳が立たない。

 「先週の事覚えてるか? 俺達の仲間をボコボコにしやがってよぉ!!今日はその仕返しに来てやったんだよ!」


 「ん…あぁこの前のね。まぁ仲間意識が強いのは感心だが、あれはあんたらのお仲間が喧嘩吹っかけてきたんだが……正当防衛もいけないのか?」


 何故か上からの目線な不良達に苛立ちを覚えたがぐっと堪えた。セツは自ら手は出さない。いつも降りかかる火の粉を払うだけなのだ。

 セツ自信も喧嘩を好き好んでやっているわけではないのだから。

 「へっ。まるで自分は悪くないみたいな物言いだな。『変人の弟』さんよぉ」

 その言葉にセツは目の色を変えた。『それ』は振れてはならないこと、不良達は逆鱗に触れてしまったのだ。

 「ちょっと!そんな言い方・・・」

 「彩中、スットプだ」


 智恵子はセツの幼馴染だ、もちろんセツの兄の事も良く知っている。故にその言葉の冷徹さがどれだけセツを傷つけるかわかっている。

 横でカッとなった智恵子を宥めるかのように慶太は智恵子を止める。


「でも!!」


「彩中が言わなくても大丈夫だよ。今の言葉は俺もカチンと来たけど、それ以上にむかついてんのはあいつだろ?」


 冷静に智恵子を宥めているつもりだったが慶太もまた、セツの兄には世話になっていた。知らぬ内に握り締めた拳はワナワナと震えている。

 2人にとってセツの兄とは尊敬できる存在であり、憧れの存在でもあった。

 『ある日』を堺にセツの兄は世間から罵倒される存在になった。それでも2人にとって憧れの存在には変わりなかった。

 だからこそ許せない。あの日からずいぶんと時が経つのに未だに馬鹿にしている存在が。

 セツも同じ……否。それ以上の怒りをもっているのかもしれない。


 「そういえば、この前の奴も兄貴を馬鹿にしてたな……」


 「へぇ、それで?」


 「だから病院送りにしてやったんだよ!! さっさと来いよ。お前ら仲間なんだろ?

 仲良く病院送りにしてやるからよ!!」


 怒号を上げるセツを見て不良達は不適に笑っていた。


 「威勢はいいな、だけど、これでもまだそんな事が言えるのか?

オイ!!お前ら!!」


 その言葉と同時にたくさんの不良達が一斉に現れた。

あたりは不良、不良、不良。どこを見ても不良の姿しかない。

 数にしておよそ40人といったところか。


 「嘘!!何この人数……こんなの反則じゃない!?」


 周りを怖い形相の人間に囲まれて智恵子はたじろぐ。


「おいおい……これはさすがに不味いんじゃね?」


 先ほどまで威勢のよかった慶太もセツの身を案じる。セツが常人以上の強さを持っている事を知っている二人からしてもこの人数では無傷というわけにいかないと感じた。そして自らの身の危険も感じていた。


 「……で?こいつらが病院送りを希望してる奴らか?」


 だが、セツだけは違った。自分の身の危険など知った事ではない。兄を馬鹿にされた。

 だからこいつらを許せない、それだけだった。


 「ハハっ言うじゃねぇか。やろうぜ、こいつらを嬲り殺してやれ!!女は後でかわいがってやればいい。なかなか上玉じゃないか?」


 そう言って下品に笑い出す不良達、その言葉に智恵子は身震いをした。


 「こいつらって、俺達もはいってるのかよ!?……ってかお前ら最低だな。あ〜、なんか更にカチンときた。

 セツ、加勢するわ。彩中、荷物頼む」


 そう言って慶太は智恵子に荷物を渡し自分も戦闘態勢に入る。

 セツほどでは無いが慶太もまた腕に自信があった。


 「あたしに荷物持たせたんだから乾君学食のAランチよろしくね」


 震えた声で智恵子は恐怖を紛らわす為冗談を言う。


 「ハハッ。とりあえず冗談が言えるんだからまだギリギリ大丈夫だよな?」

 「えっ?冗談じゃないよ?」

 もちろん気を紛らわす為の冗談だが、その言葉に慶太は引きつった顔で止まる。 それは今から喧嘩に向かう男の顔ではなかった。




まだ物語も始まったばかりでメインにも入っていませんが、

感想、批評をいただけると嬉しいです。

皆様の意見を通してこの駄文を改善していきたいので、何卒よろしくお願いします。

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