02
「…ん、、ふぁ〜」
《…何々?お前最近寝不足なの?いつも真面目なくせに
授業中に居眠りなんてして先生も怒りを越えて心配してたぞ?》
長い欠伸をし終えて机から首を持ち上げると貴崎が心配そうに
俺を見つめていた。
横目で時計を見ると6時過ぎ…外からは熱心に部活をしている
奴らの声が聞こえる。
「…もう6時か。ごめん貴崎、待たせて。」
《?良いよ全然!俺どうせ暇だし〜
…あ!そうだ、神永今日手伝いないだろ?久し振りに探検しねぇ?》
「…は?手伝いはないけど、、、」
その先の言葉を口に出そうとして飲み込んだ。
貴崎がスマホを出して嬉しそうに写真を俺に見せてくれたからだ。
俺と貴崎が森で写ってる。多分この森は俺の家の神社のものだろう。
《覚えてる?この頃さ、お前の家の森で探検しようって遊んだの!
けど、森の中でお前だけ迷子になっちゃって、次の日帰ってきて
怒ってるんだろうなぁと思ったら、お前すんごい笑顔でさw
女の子と遊んだー!って言って…良い思い出だよなぁ》
貴崎が思い出深そうにそう話すと、俺の頭に記憶が蘇った。
確か、その子は祭りか何かの帰りで狐のお面を顔の横に付けて、
嬉しそうに下駄をならせて泣いていた俺と遊んでくれたんだ。
『_______君!神_な___君!明日も遊びましょう。鳥居の前で待ってるから。
私あなたが気に入ったわ!お友達にしてあげる。ずっと私と遊びましょうね…?』
ふと、その女の子の言葉が頭に流れた…。
「…あぁ、思い出した。俺を迎えに来たんだ。俺と約束をしたから…」
《は?何々〜?なんの話?》
「…いや、何でもない。」
貴崎との誘いを断ると、考えを頭に巡らせながらトボトボと家に戻った。
姿が変わっていないのは彼女が人間じゃないから…?
いやいや、そんな馬鹿げた事ないだろ…。
森の方にその女の子が立っていると思うと少し怖くて顔を下げて
直ぐに家の中に入った。
『…思い出してくれた…嬉しいな、ふふ、また遊んであげるね?
神永君…私の一番のお友達。』