日常
「お兄ちゃん、おはよ?」
「僕」が目を覚ますと、毎日聞こえてくる声
紛れもない、いつもと変わらない日常。
「あの日」から毎日続く、皆との生活
寂しさも、何もない、天国の様な居場所。
「みんな起きてるよっ」
寝床から出ると、片目の黒い子が僕に抱きついてくる
周りには、6人の子供達
追い掛け回す子、座って会話をする子
様々な子がいる
「瞬也、ご飯できてるよ」
僕の名前を呼んだのは長い髪に体より一回り大きい服を着ている女の子
この中では最年長だろう、落ち着きのある子だ
その後ろには右目に眼帯をしている子が顔を出している
残りの四人も、皆笑顔で僕に挨拶をする
「ん・・・みんなおはよ・・・」
くしゃくしゃになっている髪を梳かしてくれる片目の黒い子。
髪を梳かすだけなのに頭を撫でたり首をくすぐったりされている
「む、むつ・・・くすぐったいよ・・・」
その光景を横目で眺めている長髪の女の子
溜め息をつきながら二人を見ている
「風もやってみる?楽しいよー?」
ニヤニヤしながら兄を弄り続ける夢吐に風は、首を振りやらないとアピールする。
「私は人が触れないんだ、知ってるだろう・・・」
人に触れられない
風は過去のトラウマで人に触られる、人に触るということに恐怖心を抱いているのだ。
トラウマ、ここにいる子供達は全員、トラウマを抱えている。
見知らぬ男達に襲われた兄弟、いじめを受け恋人を殺される、監禁、ストーカー・・・
様々なトラウマを抱えた悲劇の子供達の「集団」であり、普通の人間ではない者達
一人一人が自らのトラウマを「力」にする事が出来る。
あの人のおかげで今の居場所がある。
この子達の唯一の居場所。
この日常はいつまで続くのか、7人の子供達にはまだ分からない
物語にはいつか、終わりがあるという事を。
外で轟音が鳴り響く、物語の終わりの時間が迫ってきている。
全ては、自分自身の物語。