表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
加酸化亜鉛  作者:
1/2

弱者

傾向/兄弟/不良(?)弟→→→→→元いじめられっこ兄/弟病み気味…?

「やめてっ、やめてよっ」

「お前、ほんと、気持ち悪いよなー」

「今日も先生の前でイイコぶってたし」

「女子しか友達いないよな」

降りかかる悪口に、どう対処したらいいのか分からず、僕はずっと、泣いて、嫌がって。そうすれば、

「ちーくんっ!!」

いつも、助けてくれる。

「弟が来たー」

「また弟だーっ!!」

弟が。

「ぶっころすぞ、お前ら!!」

口が悪くて、喧嘩が強い弟。

「ちーくん、大丈夫?」

「う…ん」

悔しいケド、助けてもらってばっか。

「ありがと、ぅ。」

「ううん、いいの。一緒に帰ろ?」

小三の僕と、小二の(ハルカ)は、兄弟とは思えない程、似ていなかった。

女の子みたいに、ひ弱で、一人でいる方が好きで、友達が全然いないしいじめられっ子の僕に対して、悠は、力が強くて、みんなから好かれていて…

「今日ね、カレーだってさ。」

ぎゅ、と握った手は、悠の方が大きくて、

何だか、ほっとした。


ーーー8年後

「悠、先に行くよ?」

「ん…ぁあ、10分、待って。」

高校二年生になった。

悠は、一年生。同じ高校の。

「うん。」

正直、変わった。

悠、は。

「あー…ヤベ、寝すぎた」

赤が入り混じった髪に、僕からすれば、痛そうなだけの、おびただしい数のピアス…

悠は、不良になっていた。

「悠、ご飯、いらないの?」

別に、犯罪まがいの事はしないし、学校もちゃんと通ってる。成績もいいし。

外見が不良なのだ。それと、

昔は可愛らしかったから、気にしていなかったのだが…

「ちぃが作ってくれるご飯を残したことがあった?せっかく作ってくれてるのに勿体ないだろ?」

露骨な言葉の愛情表現(?)が、増えた気がする。もう十代後半、流石にこういうのは…

「あ、うん。そう、だね。」

悠は、ブラコン…なのか?

家族思い、とも取れるからなぁ…

「行こ?」

「ん、うん。」

当たり前のように、手、握ってくるし。拒否したら、シケるし…

お風呂だって、中学上がるまで、一緒に入ってたし…

「あ、シャンプー切れてたよな?放課後、買いに行こ?」

「あ、うん。そうだね。」

僕達が通っているのは、寮制の男子校。

近所では、一、二を争う程偏差値が高くて

親が受けろ、って煩かったため、受験。そして、合格。

男子校で寮制って、知ってから受けたくはなかったケド、同じ小、中学校の奴等は受けるのが、いなかったから、受けた。

いじめられないし、思ってた以上に過ごしやすいし、友達もできた。

「おはよーっ、千尋(チヒロ)。」

「おはよ、(ユウ)

恐らく、一番仲がいい友達の高島(タカシマ) (ユウ)。明るくて、面白くて、クラスのムードメーカー。

「後で物理の課題見せてくんない?」

「うん、いいよ。」

握っている手を隠したくなるケド、後で悠の機嫌が悪くなるので、隠せない。

「チッ…」

「悠っ…」

不機嫌むき出し。

「弟さん、機嫌悪くなるし、先行くわ」

「ごめんねっ、後で」

走って学校に向かう祐を見送った。

「悠っ、何で舌打ちするの!!」

「鬱陶しかったから。」

しれっ、とそんな事を言う。悠にとってはどうでもいいことかもしれない。ケド、僕にとっては、凄く、重大なことだ。

「僕の友達に二度とあんな態度とらないで!!絶対だからね!!」

言った後に気付いた。

「はる、か…?」

悠の不機嫌が、どんどん増している事を。

「無理だから。俺、あいつの事、殴ってやるの、必死でこらえるのに精一杯だし。

今度、俺とちぃの時間、邪魔したら殺す」

目が、本気だった。

握った手に、少しずつ、力が入れられてきて、痛い。

「っ…」

「あ、ごめん。力入っちゃった…早く学校行こ?」

真っ直ぐ、悠の目を見ることが出来なかった。


ーーー

「あ、さっきぶり、千尋。」

「ごめん、悠が…」

いいよ、と首を振る祐を見て、少し、安心した。

席に着いて、鞄から教科書を出して机に入れる。

「物理はー…あ、コレ」

「さんきゅ。」

物理の宿題を祐に渡し、席に座る。

「なぁ、千尋、」

「ん?何?」

サラサラと答えを写す千尋の手元を見つめながら答える

「お前って、弟とさ…デキてんの?」

「はぁ!?」

思わず大きな声を出してしまった。

「だってさ、弟さん、すげぇ、やべぇんだぜ?裏で、色々やってんの。」

「え…?何、悪い事、してるの?」

何もやってない、とは、言えないカモだけど、そこまで悪いとは思えない…

「知らねぇの?お前、顔キレーじゃん?やっぱさ、目、付けられるワケよ。つーか今まで何もなかったのが奇跡。

そんで、そーゆう悪いムシ?っつーの、を潰してんのが、弟さん。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ