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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第4章 「気づかれない者たちが、世界を変える」

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第4章 第8話「修正の本気」

夜明け前。

森が、静かに揺れた。

「——来る」

リオが目を開ける。

眠っていたわけではない。

ただ、待っていた。

「……分かる?」

セリアが隣で言う。

「うん」

「私も——」

少しだけ間。

「感じる」

昨日とは違う。

流れが見えるようになったから。

「大きい」

セリアが呟く。

「今までと——違う」

「うん」

「どのくらい?」

リオは少し考えてから——

「本気」

その一言だった。

ガオルが立ち上がる。

「来るのか」

「うん」

「戦えるか」

「場合による」

「また場合によるか」

低く言う。

だが——

構える。

ピコがセリアの肩に移動する。

「——修正、第三段階」

声が降りる。

今までより——

ずっと近い。

ずっと重い。

「対象、全確認」

「魔王個体」

「獣人個体」

一瞬——

止まる。

「エルフ個体——」

「観測、困難」

「小人個体——」

「観測、不能」

「排除優先順位——」

「魔王個体、最優先」

地面が震える。

黒い波紋が広がる。

「——展開」

リオが呟く。

ゴーレムが一気に形成される。

数が多い。

質が高い。

だが——

「……足りない」

リオが低く言う。

「今回は——規模が違う」

黒い波紋が——

ゴーレムを飲み込み始める。

「っ!」

一体。

また一体。

崩れていく。

「リオ!」

セリアが叫ぶ。

「大丈夫」

「大丈夫じゃない!」

「まだ——手がある」

だが——

その声に、わずかな緊張が混じる。

ガオルが前に出る。

「俺が——」

「ガオル、下がれ」

「なぜだ」

「あれは——物理じゃない」

「力じゃ、押せない」

ガオルが歯を食いしばる。

「では——俺は何もできないのか」

その言葉に——

セリアが振り向く。

「できる」

「何を」

「私を——守って」

ガオルが目を細める。

「お前が——何かするのか」

「する」

即答だった。

「できるのか」

「分からない」

「でも——やる」

ガオルは一瞬だけ——

セリアを見た。

そして。

「——分かった」

前に出る。

セリアの前に立つ。

大きな背中。

「好きにしろ」

低く言う。

「ありがとう」

セリアが前を向く。

ピコが肩から手のひらに移る。

「セリア」

小さな声。

「うん」

「見える?」

「見える」

「流れが——」

「歪んでいる場所が——」

「分かる?」

セリアは目を閉じる。

昨日から始まった感覚。

まだ不安定。

でも——

確かにある。

「……分かる」

「どこ?」

「あそこ——」

目を開ける。

黒い波紋の——

中心。

一点。

「あそこが——核心」

「そこに——何かある」

リオが振り向く。

「見えたの?」

「うん」

「ぼんやりだけど——」

「確かに——見える」

リオの目が細くなる。

(……そこまで見えるか)

「ピコ」

リオが言う。

「なに」

「セリアを——頼む」

「分かった」

「セリア」

「うん」

「そのまま——見ててくれ」

「リオは?」

「あそこを——触る」

「触るって——」

「核心に——届けば」

「止まる可能性がある」

「可能性?」

「確実じゃない」

「また確実じゃないの?」

「本当のことだから」

セリアは少しだけ息を吐く。

「……分かった」

「見てる」

「絶対に——目を逸らさないで」

「逃げたら——見えなくなるから」

自分の言葉を——

繰り返す。

リオがわずかに笑う。

「うん」

「それでいい」

一歩、前に出る。

黒い波紋の中へ。

ゴーレムが盾になる。

崩れながらも——

道を作る。

「——対象、移動確認」

声が告げる。

「迎撃——」

波紋が集中する。

リオへ。

「っ」

圧が増す。

「リオ!」

セリアが叫ぶ。

「見てて」

短く返す。

「目を逸らすな」

セリアは——

目を逸らさない。

流れが——見える。

歪みが——見える。

核心が——見える。

「——あそこ」

呟く。

「リオ——少し左」

「分かった」

一歩、左へ。

「もう少し——前」

「うん」

「そこ——」

「核心が——そこにある」

リオが手をかざす。

黒い糸が伸びる。

核心へ——

触れる。

瞬間。

「——っ!」

声が——歪む。

「予測外——」

「観測対象——」

「エルフ個体——」

「なぜ——見える——」

初めての——

動揺。

「見えるから——見えるんだよ」

セリアが呟く。

小さな声。

でも——

確かに、届いた。

「——修正、中断」

声が——

引いていく。

「次回——強化介入——」

「必ず——」

そして——

消えた。

静寂。

風が戻る。

音が戻る。

黒い波紋が——

ゆっくりと、薄れていく。

「……終わった?」

ガオルが低く言う。

「今回は——ね」

リオが振り返る。

「次は——もっと来る」

「それでも——止めたね」

セリアが言う。

「止めたね」

リオは少しだけ——

目を細めた。

「セリアが——見えたから」

「私が?」

「核心の場所——教えてくれなかったら」

「届かなかった」

セリアは黙る。

(私が——)

(役に立った)

その感覚が——

まだ、慣れない。

でも——

悪くない。

「……ピコ」

セリアが言う。

「なに」

「さっきの——黒幕」

「うん」

「動揺してた?」

「してた」

「なんで?」

「あなたが——見えたから」

「観測できないはずの存在が——」

「核心を——見た」

「想定外だったから」

セリアは少しだけ考えて——

「じゃあ——」

「私が見えるようになるのは——」

「黒幕にとって——まずい?」

ピコは——

少しだけ間を置いて。

「まずい」

と答えた。

「すごく」

その言葉に——

ガオルが低く笑う。

「面白いな」

「戦えないと思っていたエルフが——」

「一番——厄介な存在か」

セリアが振り向く。

「ガオル——それ褒めてる?」

「褒めてる」

「素直だね」

「俺は嘘をつかない」

「知ってる」

少しだけ笑う。

リオは空を見上げる。

(——次が来る)

もっと強く。

もっと直接的に。

でも——

(今回——変わった)

セリアが——見えるようになった。

ピコが——出てきた。

ガオルが——同じ方向を向いた。

「ねぇ、リオ」

セリアが言う。

「なに」

「さっき——言ってたよね」

「何を」

「面白くなってきた——って」

リオは少しだけ——

目を細める。

「言ったっけ」

「心の中で——思ってたでしょ」

「……なんで分かるの」

「見えるから」

にやりと笑う。

リオは——

少しだけ、視線を逸らした。

ガオルが低く言う。

「やっぱり——照れてる」

「照れてない」

「そう見える」

「見えない」

ピコが——

小さく揺れる。

その空気が——

少しだけ、柔らかかった。

でも——

全員が知っている。

次は——

もっと大きな波が来る。

それでも——

四人は——

同じ場所に、立っていた。

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