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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第2章 「討伐隊ガルドは気づく」

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第8話「討伐」

ざわめきは、突然途切れた。


「——来るぞ」


誰かが呟く。


その一言で、空気が一変した。


リオも感じていた。


(……速いな)


森の外側から、一直線に近づいてくる気配。


隠していない。


むしろ——


「……わざとか」


堂々と、来ている。


次の瞬間。


ドン、と空気が震えた。


広場の端。


木々がなぎ倒される。


そして現れる。


統一された装備。


無駄のない動き。


「見つけた」


先頭に立つ男。


ガルド。


その目が、まっすぐにリオを捉える。


「やはりここか」


静かな確信。


セリアの顔が青ざめる。


「なんで……こんな早く……」


「追ってたからね」


リオが軽く言う。


「軽く言わないでよ……!」


その間にも。


討伐隊はすでに動いていた。


「全員、殲滅」


ガルドの一声。


それだけで。


一斉に動く。


速い。


迷いがない。


「チッ……!」


グラムが前に出る。


「来やがったか」


「迎撃しろ!」


誰かが叫ぶ。


魔族たちも動く。


ぶつかる。


刃と爪。


魔力と血。


一瞬で、戦場になる。


「……すごい」


セリアが呟く。


だがそれは感嘆ではない。


恐怖だった。


どちらも、容赦がない。


「下がって」


リオが言う。


「巻き込まれる」


「リオは!?」


「俺は——」


言いかけて、止まる。


視線の先。


ガルドがこちらへ歩いてくる。


戦場の中を、まっすぐに。


他を無視して。


「……お前だな」


止まる。


数メートルの距離。


「ようやく見つけた」


その目に、迷いはない。


完全な確信。


「何の話?」


リオがとぼける。


「通用しない」


即答だった。


「この規模の魔族反応、その中心」


一歩、踏み込む。


「お前しかいない」


空気が重くなる。


セリアが息を呑む。


(バレてる……)


「……で?」


リオは変わらない。


「だから何」


「討伐対象だ」


剣が抜かれる。


音が、やけに重い。


「抵抗するなら、斬る」


「しなくても斬るでしょ」


「当然だ」


迷いゼロ。


そのやり取りを——


ゼルヴァが見ていた。


静かに。


「……なるほど」


小さく呟く。


「人間も、同じか」


敵は敵。


理由は関係ない。


「いい機会だ」


一歩前に出る。


「まとめて排除する」


「おい!」


グラムが叫ぶ。


「今それやるか!?」


「最適だ」


ゼルヴァは止まらない。


魔力が膨れ上がる。


三方向の緊張。


人間。


魔族。


そして——


魔王。


「……面倒だな」


リオが小さく呟く。


そして。


一歩、前に出た。


「止まれ」


その一言。


それだけで——


空気が、歪んだ。


ゴォッ、と圧が広がる。


戦っていた者たちの動きが、わずかに止まる。


「……なんだ、これ」


誰かが呟く。


「……お前」


ガルドの目が鋭くなる。


「やはり」


確信が、深まる。


「ここでやると、全滅するよ」


リオが言う。


淡々と。


「どっちも」


沈黙。


その言葉は、嘘ではないと誰もが感じた。


「……脅しか」


ガルドが言う。


「事実」


「なら尚更だ」


剣を構える。


「ここで斬る」


ゼルヴァも動く。


「同意だ」


空気が、限界まで張り詰める。


そのとき。


「やめて!!」


セリアの声。


強く、響いた。


全員の視線が集まる。


「これ以上やったら、何も残らない!」


必死の叫び。


「どっちも正しいかもしれないけど!」


「それじゃ全部壊れる!」


静寂。


ほんの一瞬。


だが、その間に。


リオは、決めた。


(……さて)


今回の選択。


どうするか。


その答えが——


次の一手になる。

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