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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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51.宝箱開けに挑戦!


 まずはミミックかどうかの見極めだ。

 宝箱に、すごい短剣をコツンと当ててみる。


 今回は……追加ダメージは発生しない。コツンと当たっただけだ。ミミックじゃないね。となると次は、鍵開けと、トラップがあるかどうかだ。


 私はさっき拾った、襲撃者の持ち物を入れた袋を取り出した。この中に……あったあった。

 さすが盗賊ギルドの人の持ち物だ。解錠グッズも持っていたようだね。ちょこっとお借りしよう。


 細長い金属の棒が数本。どれも違った形で、持ち手側が少し太くて反対側は細く、先っぽがいろんな形に曲がってるよ。

 冒険者ギルドの講座で、初歩的な宝箱解錠は習ったんだ。だけど本番は初めてだ。


 腰のランタンで宝箱の鍵穴を照らしてみる。

 鍵穴の奥に白い線が見えたら、それはトラップ発動の引き金だ。必要な解錠技術が跳ね上がる。

 ……この宝箱には、無かったみたい。それなら習ったとおりに解錠すればいいはずだ。


 さすが盗賊ギルドだね。いい道具を使ってる。

 少し時間がかかったけれど、何とか解錠に成功したよ。よし、開けよう。


 そっと、宝箱の上蓋を持ち上げる。開いた!

 中身を確認しようとして……最後の最後で、油断した。


 上蓋を全開にしてしまったせいで、カチリ、と何かのスイッチが入った感触がしたんだ。

 まずい、と思うと同時に……ビー! ビー! と警報音があたりに鳴り響いた!


 すごい音に、ビクンって飛び上がっちゃった。手に持ってた解錠グッズや、ポケットの中身を全部取り落としてしまったよ!

 慌てて宝箱の蓋を戻したけれど、鳴り止まない!


 音の発生源は宝箱の後ろ側だ。見てみると、警報装置みたいなのが付いている。蓋をガバっと開けたら鳴る仕組みなんだろう。


 音を止めようと手頃な石を拾ってガンガン殴ってみたけれど、鳴り止まない! 


 警報装置は金属の覆いに囲われてて頑丈だ。壊せそうにないよ。

 覆いの部分をよく見てみたら、側面に細い溝が走っている。そこからちらっと中が見える! 何かを差し込んで中のカラクリを壊せば止まるかも? やってみよう!


 解錠グッズを拾って、溝の中に差し入れてみる。だけど先が曲がりくねっていて、通らないよ。他に何かない?


 あっ、さっきポケットから落ちた中身のなかに、ちょうどいいものがあった! 竹串だ!

 串焼きの屋台で買ったやつ。これなら真っ直ぐだから溝に入るはず! ポケットに入れててよかった。

 装置の溝に差し入れて、えいえいとつっつく。すると、中でパキッと何かが壊れた感触がして……ようやく警報音が鳴り止んだよ。


 ふう……なんて、安心してる場合じゃない!

 その警報音に反応したのか、通路の反対側の壁の方から、崩れる音が聞こえてきた。さっきの白っぽい壁だ!


 壁の中から現れたのは……ホワイトゴーレムだ! ゴーレムが壁となって通路を塞いでいたの!?


 ホワイトゴーレムは珍しいけれど、強さはロックゴーレムと大して違いはない。

 だけど、ある特徴を備えているんだ。


 ヤツの体は現状、真っ白なキャンバスのような状態だ。その体に何かを取り込むことで、様々な形態のゴーレムに進化する。

 つまり進化前の卵のような状態なのだ。以前のミスリルゴーレムも、鉱山のガスを取り込むことでホワイトゴーレムから進化したモノだ。

 まさか……またミスリルゴーレムに進化するの!? まずいよね……。


 そんなガスはこのあたりに漏れてる気配は無いけれど……いまの内に倒しておかなきゃ!

 すごい短剣で突撃しようと構えたとき、ホワイトゴーレムが何かを見つけたのか、地面からそれを拾い上げた。


 あれは……私がさっきポケットから落っことした、職員さんにもらった、飴ちゃんだ!


 ちょっと、待って、やめて……。嘘でしょう……!


 後で食べようと取っておいた、私の飴ちゃんを、ヤツが……ゴクンと飲み込んじゃった!


 その途端、ホワイトゴーレムが魔力の輝きを帯びて、変形していく。

 輝きが収まると――現れたのは、二本の棒を両手に持った、飴色のゴーレム。


 両手の棒の先にはそれぞれ、カラフルな模様の丸いカタマリがくっついている。


 前回ミスリルゴーレムを倒してから、ちょっと興味があって、ゴーレムについて色々調べたんだ。

 ホワイトゴーレムからの進化先には色んな種類があって、たいていは鉱石の種類に変化するみたい。でもごくまれに、食べ物など他の物質に変化する例も見られたって記述があった。クッキーゴーレムやチョコレートゴーレム。そしてこの――ロリポップゴーレムだ!


 鉱山作業者や冒険者の食べ残しを取り込んだんだろう、なんて書かれてたけど……私の飴ちゃんは食べ残しなんかじゃないよ! 返せ! 私の飴ちゃん返せえ!


 てやああ。短剣でその飴ちゃんボディを切り裂いてやる!

 果敢に向かっていったけれど、ロリポップゴーレムは二本の棒を振り回して私を近寄らせない!

 あの先っぽのカタマリは飴ちゃんなんだろうけれど、ゴーレムのパワーで殴られたらひとたまりもないよ。


 落ち着いて、対処しよう。


 飴ちゃんのことは、悔しいけど一旦忘れよう。冷静にならなきゃ。


 ロリポップゴーレムを観察してみて分かったことは――美味しそう……じゃなくて、ロックゴーレムより大きくてパワーも強いけれど、ミスリルゴーレムほどじゃないってことだ。

 厄介なのはあの、両手の武器。あれを振り回してるから、ミスリルゴーレムのときのようには近寄れないんだ。

 脚力強化で動き回ろうにも、ここは通路だ。狭くてすぐに追い詰められるだろう。


 どうすれば……。


 そうだ、あの体は飴ちゃんでできているはず。飴ちゃんの性質を考えれば――ぺろぺろ舐めれば溶けるのでは?


 待て待て、一旦食べることから離れよう。冷静にならなきゃ。


 体が飴ちゃんなら、岩よりは脆い?

 とすれば、近寄らなくても……スリングショットでなんとかなるかも? 幸い、このあたりには穴が空いた衝撃で、手頃な石礫がごろごろ落ちてる。

 短剣をスリングショットに持ち替えて、そのへんに落ちてる石礫を飛ばす! 当たった!


 飴ちゃんの体にヒビが入ったぞ。うわお! 怒って武器を振り回してきたよ! 慌てて飛び退いた。


 石を拾って飛ばして、脚力強化で避ける。確実にダメージを与えてるけれど、何度か続けたら、逆に追い詰められてきた!

 でも大丈夫。逃げ道は後ろだけじゃない。上だ! 天井に空いてる穴へ魔法ジャンプ! 


 ひい、ひい。何度も逃げ回って疲れたよ。ロリポップ武器の攻撃は、上の一層まで届かない。ようやく落ち着けたよ。

 でもチャンスだ。もう少しで倒せそうだ。ヤツの核は他のゴーレムと同じく、胸のあたりにあるはず。ずっと胸を狙って石礫をぶつけてきたから、大分ボディが崩れてきてた。もう一息だ!


 上からは狙えないから、もう一度飛び降りてゴーレムの背後に着地。ゴーレムが振り向く間にしっかり集中して狙いを定めて……スリングショットの特殊効果でターゲット完了、発射!


 ひときわ大きい石礫を使ったから飛距離は出ないけれど、その分威力は大きいはず! 胸のど真ん中に命中したよ! 胸のヒビの部分が崩れて、核が剥き出しになった! もう一発だ!


 続けて発射した石礫も核に命中! やっとゴーレムの動きが止まったよ。っとと、逃げろ!


 背後でドタンとロリポップゴーレムが倒れる音がした。はあ、はあ。やあっと、倒せた! 動き回って疲れたよ~!

 座り込んで、倒れたゴーレムの巨体を眺めた。……あれ全部、飴ちゃんなんだ、ゴクリ。


 いただきまー……だめだ、あちこちに土やら砂やらがベットリ張り付いてる、きちゃない! こんなの食べられないよ!

 とりあえず核だけ抜き出しておこう。これって売れるのかなあ?

 こっちのロリポップ武器は売れるかも? ちょっと重いけど持っていこうっと。


 あとは……そうだ、宝箱だ。やっと中身が確認できるよ。

 さあて、お宝は何かな~。


 警報装置がまた鳴り出さないように、慎重に蓋を開ける。こそっと中を覗くと……これは!


 やった! また魔法のスクロールだ! 黒のお姉さんへの贈り物にピッタリだね!



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