表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/62

50.襲撃者


 一通り依頼書に目を通したお姉さんが、顔を上げてこちらを見た。

「どうやら、あなたを調査するように盗賊ギルドに依頼を出したのは……セイルウ商会の人間のようね」


 えっ? セイルウ商会って、バーゲイン商会のライバルの?

 なんでそんなところが私を調べるの? なにか恨みを買ってるとか? バーゲイン商会の味方をしたから?


「いえ、ただあなたの身辺調査を依頼しただけみたいね。襲いかかってきたのは、この男の独断専行だっただけよ」


 依頼書の続きを読みながら、黒のお姉さんが解説してくれる。

 そっか、この人の顔を見ちゃったからまずかっただけで、別にセイルウ商会から恨まれてるわけではないってことだよね。

 なんでセイルウ商会が私を調べるのかって疑問は残るけど、ひとまずそれはいい。でもこの人を捕まえちゃったから、盗賊ギルドから恨まれるんじゃない?


「この男が盗賊ギルドから追放されるだけでしょうね。あそこは一応、非合法なことはやらないことになってるから」

 そっか、それならよかった。


 ダンジョンの外には、職員さんや買取出張所の人達がいる。彼らにこの襲撃者を突き出せば、後の対処をしてくれるだろう。


「表にいる職員たちを呼んでくるわ。その男は当分起きないと思うけれど、一応見張っておいて」

 そう言い残して、黒のお姉さんは一旦この場を離れた。


 うう……気を失ってるとはいえ、この襲撃者と二人っきりで残されるのは心細いよ。

 じりじりとできるだけ襲撃者から目を離さないように後ずさる。っと、何か踏んづけたよ?


 これは……さっきお姉さんがぽいぽいしてた、襲撃者の持ち物だ。

 毒薬とか色々、これはこんなところの放置してたら危険だよね。証拠品になるかもしれないし、集めて持っておこう。


 いそいそと暗器やら何やらかき集めて袋に入れてたら、お姉さんが何人か連れて戻ってきた。

 先頭のギルドの人はどこかで見たような……あっ、素材管理部にいた人だ!

 そうか、出張買取所に素材管理部の人がいたんだね。それと他に冒険者が二人。襲撃者を運び出すために連れてきたのかな。何度か冒険者ギルドで見かけたことのある、大柄な人たちだ。


「君か、蹴りうさぎの肉を持ってきたお嬢ちゃん。大変だったねえ、飴ちゃん食べるかい?」

 職員さんは、あの優しそうな人だ。私を子供扱いするのは不本意だけどね。もらった飴ちゃんはポケットに入れておいて、後で食べようっと。焼きとうもろこしに串焼きも食べたから、お腹は減ってないんだ。


 素材管理部の職員さんが現場をざっと検証して、襲撃者を調べてる。そうだ、さっき集めた袋も渡しておこう。


「うん……。盗賊ギルドの人だね。要注意人物としてリストに挙がってたよ。持ち物からも、害意があったことは否めないだろう」

 冒険者の二人が襲撃者を担ぎ上げて連行しようとしたとき、襲撃者の身体がビクンと動いた。どうやら意識が戻ったようだ。


 我に返った襲撃者は、縛られたままジタバタと暴れ出したよ!

 冒険者がしっかりと抱えていたので、逃げられないようだ。だけど近くにいた職員さんが、暴れた足に蹴られて倒れちゃった!


「だ、大丈夫!?」

 急いで駆け寄って助け起こしたよ。怪我はないみたい。しかし……。


 いつの間にか、職員さんに渡した、襲撃者の持ち物の袋を奪われていた!

 襲撃者は腕ごと縛られてるのに、器用にも猿轡をずらして口で袋を咥えて、中からあの、変な丸い玉だけを取り出した。

 袋は取り落としたようだけど、襲撃者はニヤリと笑って、私に向かってプッと玉を吹き飛ばした! 何? あの玉は!


「危ないっ!」


 黒のお姉さんが叫んで、片手の親指で眼帯を跳ね上げた。

 左目が見えたと同時に、私の目の前で、あの玉が静止したよ!?

 そこへ黒のお姉さんが、ズザザ、と割り込んできた!


「邪なる破滅の害珠を今……葬らん!」

 黒い魔法の杖で……カキーン! 玉を広場の奥に打ち飛ばした!


 眼帯がずり落ちてきたと同時に……広場の奥に飛んでいった玉が、ピカッと光って爆発したよ!

 あの玉は爆弾だったのか! 広場の奥がぼろぼろと崩れて、土煙がもうもうと上がってる。


「……はあ、はあ」

 また、黒のお姉さんに助けられたよ。お姉さんは封印を二回も解いて、かなり疲れてるみたいだ。


 襲撃者は、奇襲も失敗してやっと観念したみたい。大人しくなったよ。


 みんなは襲撃者を連行してダンジョンを出ようとするけれど――私はその場に残った。


「色々あって疲れちゃった。ちょっと休んでから行くから、みんなは先に行ってて」


 駆けつけてくれた皆さんにペコリとお礼をして、私は壁際に座り込んだ。

 みんな心配そうにしてくれたけれど、ここはダンジョンの一層。捕まえた襲撃者の他に気配はないし、大丈夫だろうということで、みんな先に出ていったよ。


 みんなが去ってしばらくして……私はよっこいしょと立ち上がった。初めて人間と戦って、精神的に疲れた、ってのもあるけれど。それともう一つ、気になったことがあるんだ。

 地面に落ちていた、襲撃者の持ち物を拾う。そのまま広場の奥へ。


 土煙はようやく収まって、あたりが見えるようになってきた。――やっぱりだ。


 奥の壁が崩れて、地面に穴が空いている。おそらくそこから、このダンジョンの二層に続いているんだと思う。

 さっきチラッとだけ見えたんだ。箱のようなものが。ほんの一瞬だったから自信はないけれど。あれは……。


 地面の穴から覗き込む。

 下は明かりのないダンジョンの二層だ。暗くて見えない。さっきは爆発であたりが光ったから見えたけれど、今は真っ暗だ。

 でも今の私には、問題ないよ。買っておいてよかった、おニューのランタン!


 さっそく出番だ。いそいそと腰に取り付けてライトオン!

 魔法ジャンプでとやっ! と穴から飛び降りた。しゅたっと着地! うん、ダメージはないよ。


 ランタンであたりを照らすと、ここは通路の行き止まりのようだ。

 少し広くなってて、壁の手前に……やっぱり、宝箱だ!

 中身がいい物だったら、黒のお姉さんに助けてもらったお礼としてプレゼントしよう! 結局デスなめくじの粘液も受け取ってもらえなかったし。


 さっそく宝箱を開ける……前に。

 一応周囲を確認しておこう。


 通路の反対側を探知しながら少し進んだけれど、あれ? こっちも行き止まりだ。少し色の違う、白っぽい壁に塞がれている。

 ここは隠し部屋みたいになってるのかな? それなら魔物に襲われずに宝箱に専念できるね。


 よし、宝箱を開けてみよう!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ