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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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47.気になる視線


 バーゲイン商会の本店は、昨日泊まった豪華ホテルから近いところにある。

 だけど私が行くなら、南区にある支店の方だね。そっちのほうが庶民向けの商品を扱ってるんだ。

 支店とはいっても、大通りの目立つところにある大きな建物だよ。


 私でもギリギリ場違いにならないくらいには庶民向けのお店だ。だから、入店しても微妙スマイルは向けられなかったよ。

 ここでは生活用品から魔道具など、様々な商品を取り扱ってる。品質もいいし、お値段もそれなりに高価だね。


 あった。旅行者向けの売り場にランタンが売ってたよ。

 腰につけるタイプのランタンだ。ヤーナさんが持ってたのとは、ちょっと形が違うね。きっとヤーナさんは本店の方で買ったんだろう。

 少し小型だけど、私にはちょうどいい。頑丈さもありそうだから、少しくらい動き回っても大丈夫そう。

 それに、これがあれば両手が空くよ。明かりを点けたままスリングショットも使えるだろう。


 問題のお値段は……一万八千ペネ! これひとつであの高級ホテルに泊まる値段といっしょだ。

 ふふ。今の私なら買えるよ。えーい、買っちゃえ。


 あのホテルに泊まって、こんな高価なランタンも買ったのに、まだ一万ペネ以上残ってる。

 懐があったかいと、心もあったかいね。


 だけどイマイチ、るんるん気分ってわけでもないんだ。


 やっぱり気になるよね。


 さっきの商店で品物を選んでた時から、ずーっと続いてる、なんだか見られてるような感覚。

 ……尾行、されてるかな?


 探知で探ってみたけど、魔力のある人間なんてそこら中にいるからあんまり意味はない。

 ちょっと急いで馬車乗り場まで行こう。


 ***


 デンジー廃鉱山ダンジョンは街の北にあるけれど、鉱山行きの馬車乗り場は、東区にある。

 東区はちょっと治安が心配だけど、大通りを通るだけなら安全だよ。何事もなく、乗合馬車に乗ることができた。


 馬車に揺られながら、他の乗客を観察してみる。

 乗客は私を除くと七人。

 そのうち三人は、冒険者ギルドで何度か見かけた人たちだ。残りの四人も冒険者風だけど、顔はよく知らない。

 近隣の街から出稼ぎに来た人たちかな? ふつうに雑談してて、特に怪しい雰囲気は無さそう。


 うーん、気のせいだったのかなあ。あの妙な粉を預かってるせいだろうね。過剰に警戒してしまってるのかもしれない。


 よし! 切り替えて、今からのことを考えよう。

 今回ゴブリン退治に乗り出したのは、やっぱりヤーナさんに言われた、経験不足ってことが気になったからだよ。

 ヤーナさんに出された課題として、巨大コウモリや蹴りうさぎの討伐依頼を受けたけど、今度のは自主課題だ。


 これまで出会った魔物で、まだ倒してないのがゴブリンだけなんだ。

 冒険者をやっていく上でゴブリン退治は欠かせない。苦手をひとつひとつ克服していくよ。


 ゴブリンと戦うイメージトレーニングしていたら、馬車がデンジー廃鉱山ダンジョンに到着したみたい。


 ミスリルが採れなくなって、人気が落ちていくと思われたこのダンジョンだけど、見たところ、それほど前と変わらず盛況なようだ。


 一緒に馬車に乗っていた冒険者たちは、到着したと同時に全員一目散にダンジョン入口へ向かっていったよ。どうやら心配しすぎだったようだね。

 私も馬車を降りて、乗合馬車の御者さんにペコリとお礼をした。そのままダンジョンに向かおうとしたら、一人のオジサンが近づいてきた。

 何だろうって思ったけど、その人が話しかけたのは私じゃなくて……。


「お疲れ。……ん? 見ない顔だな、新入りか? まあいいか、帰りは俺の担当だ。次の便が来るまで、あんたはあっちで休んどきな」


 なあんだ。私じゃなくて御者さんに話しかけたのか。やれやれ、まだ気が張っていたようだ。

 気を取り直して、鉱山前広場へ向かおう。


 あっ、また焼きとうもろこしの屋台が出てるよ。それに今回は、隣に串焼きの屋台まである!

 それなりに人がいるとはいえ、ここでそんなに儲かるのかなあ? とりあえず今日は焼きとうもろこしだけにしておこう。一本ちょうだい!


 他に前回と変わったところといえば、冒険者ギルドの出張買取所ができてるよ。

 なるほど、今はゴブリンの討伐報酬が割増になってるけど、それはこのデンジー廃鉱山ダンジョンのゴブリンだけだ。他のゴブリンと区別するために、現地で直接査定する、というわけだね。


 ダンジョンの入口前には、こないだのギルド職員さんもいるよ。こんにちは~。


「お、薬師の嬢ちゃんか。今日も丸薬を売るのかい?」


 例の毒騒ぎも解決したからね。今日は丸薬は売らないよ。ゴブリン退治に来たんだ。

 それにしても職員さん、真面目にお仕事してるようだね。今日は歯にコーンが挟まってないよ。……と思ったら、胸ポケットに竹串を入れてる。


 ……あっ、そういうことか!

 私はつい、二軒並んだ屋台を振り返った。店のオジサン達は、気付いたようだな、と言わんばかりにニヤリと笑う。


 ええい、仕方がない。串焼きも一本ちょうだい!

 まんまと罠にはまった気分だよ! うまいこと考えやがったなあ! まあ美味しいからいいか。

 食べ終わった竹串でしーはーしながらダンジョンへ向かったよ。やっぱり歯にコーンが挟まってたら恥ずかしいからね。


 ダンジョン入口前では職員さんがチェックしてるから、もしかして入るのを止められるかなって思ったけど、大丈夫だった。

 そういや私がミスリルゴーレムを倒したこと、職員さんには知られていたんだっけ。軽く手荷物チェックだけで通してくれたよ。


 さあて、一度入ったことがあるとはいえ、このダンジョンは、ここいらでは難度の高いダンジョンだよ。

 気を引き締めて入りましょう!



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